ライター:hatao
新型コロナウィルスの流行により、全国で外出自粛要請が出ている今日このごろ。
本来であれば春の陽気に誘われて多くの人で賑わうはずなのに、通りは閑散としています。
それは感染症予防にとって必要なことではあるのですが、一方で経済的な打撃は計り知れません。
かき入れ時の歓送迎会で賑わうはずの居酒屋やバーは、クラスター感染を引き起こす原因とされて、マスコミからバッシングを受けました。
いち早く営業を自粛したのは、こうした「夜のお店」です。
あくまでも「自粛」だからと頑張って営業を続けていたお店もありましたが、いよいよ緊急事態宣言が発出されると、営業時間短縮や休業を余儀なくされてしまいました。
私達が愛するアイルランド音楽は、パブ文化とともに発展してきました。
いま、そのパブの多くが存続の危機に立たされています。
パブは狭い場所に、時には立呑み状態で人が密集し、密閉した空間で、ビールを片手に大声でおしゃべりをします。
その人と人の親密さこそがパブの魅力でしたが、それが仇(あだ)となってしまいました。
感染を恐れて、お客さんがぱたりと来なくなってしまったのです。
日本の居酒屋は料理をつまみに酒を飲むお店ですが、パブにはそういった文化がなく、ひたすらビールをあおるスタイル。
テイクアウト料理に業態を変えるように迫られれば、コスト面において本業のお弁当屋さんやコンビニにかなうわけがありません。
その上に、パブは都心の一等地にあることが多く、家賃・アルバイトの人件費などの膨大な固定費が日々かかってきます。
政府の休業補償がはっきりしない今、パブ経営者たちは営業を続けるのか、深でを負う前に撤退するのかを考える時期にさしかかっています。
少なくとも、あと3ヶ月休業要請が続くのであれば、その後に生き残る店はないかもしれません。
いま、私のようなミュージシャンも仕事が飛んで大変ではありますが、ミュージシャンはオンライン・レッスンしたり、音源を作ったり、まだ生き残る術はあります。
アルバイトをしたっていいし、生活保護だって頼れます。
一時的に演奏ができなくても、コロナ終息後にはきっとまた復帰できます。
しかし、パブはそうはいきません。
本業以外で稼ぐ手段が、ほとんどないのです。
そして、潰れたらきっと……。
二度と復活することはないでしょう。
パブがなくなってしまったら、アイルランド音楽をどこで演奏したら良いのでしょうか? カラオケでしょうか、公民館でしょうか。
いいえ、やっぱりパブでなくちゃいけません。
パブは大人の社交場。
人が集まりビールを飲み交わしながら世間話をしたりスポーツを観たり、楽器を演奏したり…。
そういう雰囲気は、パブ独特のものです。
私達のパブを守るために、有志が立ち上がりました。
日本全国のパブ・オーナーたちに話を聞き、何を助けてほしいのかをまとめたサイトがこちらです。
いまは日本中が大変なのですから、すべてのお店を救うことはできません。
しかし、せめて通っていたなじみのお店をそれぞれが助ければ、大きな力になるのではないでしょうか。
たとえそれがお金ではなくても、励ましの言葉だとしても、オーナーにとっては心強いことでしょう。
私たちアイルランド音楽ファンの団結力を活かして、パブとアイルランド音楽文化を守るために、一緒に行動しましょう!
ケルトの笛屋さんは、アイリッシュパブを支援する運動を心から応援します。