ライター:hatao
3回目となる八ヶ岳アイリッシュ音楽フェスに今年も参加しました。当音楽フェスは毎年8月または9月に山梨県北杜市の清里で地元愛好家により主催されているもので、私は2022年の初回から講師、コンサート、楽器出店で関わらせていただいています。
毎回会場やプログラム、講師が変わっているのですが、主な内容としては各楽器に分かれてのワークショップ、座学のレクチャー、講師によるコンサート、セッション、ダンスと一通りカバーしています。ケーリーはないのですが、タイトルの通り「音楽フェス」であることと、また同時期にダンスの催しFisdaNが長野県で開催されるためでしょう。
今年は初めての9月開催で、9月6日(金)から8(日)までの二泊三日でした。講師はアコーディオンの木村穂波さん、フルートの須貝知世さん、ギターの高橋創さん、フィドルの青木智哉さん、パイプスの内野貴文さん、ダンス寺町靖子さんとフルートの私です。
私は初日金曜日の昼に兵庫県を出発。途中、私の店である京都の「ケルトの笛屋さん」で商品をピックアップして、東に向かいます。関西からは東名を走り静岡あたりから中央道を北上するルートと、岐阜から東に抜けるルートとがあるのですが、今回は後者で行きました。金曜晩はカフェ「カメリアニコティ」にて長野在住のメンバー、尾池迪さん、飯井大智さん、早川智絢さんの三人によるライブとセッションが開催されています。なんとかセッションに間に合えばと軽トラキャンピングカーをぶっ飛ばしました。北杜の八ヶ岳山麓あたりまで来ると、別荘地と田畑の静けさと夜の暗さが独特な雰囲気で、今年も帰ってきたなあと実感します。
周囲がまっ暗な中、会場に到着した8時頃にはすでに大勢によるセッションの音が外まで響いていました。こういうときはタイミングが難しい。大盛り上がりの“Humours of Tulla“が終わった頃に入室すると、40人くらいのセッションの輪が私を歓迎してくれました。照れ臭いのですが、知世さんと入れ替わりで前のホスト席で参加させていただきました。夕食は韓国料理「釜山港」を20人ほどで貸切り、ワイワイ食事しました。宿泊は地元の方の別荘に何人かでお世話になりました。
翌日は朝から大忙し。レッスンが2コマ、内野さんとのパイプ&フルートのデュオコンサート、そして宿泊先の竹早山荘での深夜0時までのセッションです。私は「アイルランド音楽の楽曲分析講座」と「ティン・ホイッスル初級」の2つのレッスンを担当、どちらも10人以上の参加者で、講座の中では一番人気だったとか。
パイプスのレクチャー・コンサートは、1時間を内野さんがプロジェクターを使っての講義、その後の1時間は私との無伴奏デュオ・コンサート。お互いに離れているのでリハはオンラインと昨晩の宿泊先での2回だけ。本当は細かなところまですべてのニュアンスを揃えたかったのですが、かろうじてメロディを揃えて形にしたようなものです。それでも、パイプと完全に溶け合う瞬間は本当に気持ちがよい! お客様もそう感じてもらえたら嬉しいです。
夜の山荘でのセッションは、あまりお酒を飲む人がいない中、ほぼ私だけビールを飲みながら4時間楽しみました。これほどまでに楽器のバラエティが豊かで上級者の揃ったセッションは大阪ではまず経験できないので、最高に楽しかったです。
最終日、宿泊した竹早山荘では朝から知世さんと内野さんとのスロー・セッション会が開かれており、私はそれを横目にPCでお仕事。その後はコンサートでおしまい。会場は昨年と同じ「森の音楽堂」で、音響設備のしっかりした整った音楽ホールです。会場に移動して、私は出店の準備。有志ボランティアの数名がお店の管理を完璧に手伝ってくださったおかげで、演奏に集中できました。
コンサートでは、ソロ、デュオ、トリオなど編成を変えながらの90分。普段顔を合わせないメンバーや、「初めまして」の組み合わせもあり、また全体でのリハは当日のみでしたが、さすが皆さんは腕のある演奏家、うまくまとまっていました。私はこの日スロー・エアーの演奏を指名されていたので、この日のために“A Stor Mo Chroi”という歌のエアーを編曲して披露しました。それについては今回の記事で大島豊さんが書いてくださっています。
日曜日のコンサートが終わって帰るメンバーも多かったのですが、居残り組で北杜のアイリッシュ・パブBull & Bearで夕食と打ち上げセッション。これまた少人数でまとまっていて最高に楽しかったです。その後、私と青木さんは須貝さんの新居にて朝までセッションを。明け方に芸術論を語りあって、サムさんにいただいたウィスキーをひと瓶開けてしまいました。翌朝は地元の方への個人レッスンの依頼があったのですが、起きた時はまだ酔っ払っていました(笑)。
今回のフェスで私は普段あまりお会いできない関東の音楽家諸氏やほぼ初対面の青木さん、高橋さんとも交流することができ、よい機会をいただきました。参加者は中部地方や首都圏はもちろん、東北、東海、関西と広範囲にわたっていたのだとか。この規模のアイルランド音楽フェスは日本には存在しないので、人気を呼ぶのは当然でしょう。主催者の手弁当で行っている手作りのフェスで、準備など苦労が多いと思いますが、今後も継続されることを心から願っています。
大島豊さんのブログにて、4回連載で当フェスのレポートが掲載されますのでそちらもぜひお読みください!