バグパイプって、ヨーロッパのトラッドを演奏しているととても身近な楽器ですが、世間一般には全然知られていませんよね。
ズーっと低音のドローンが鳴っていて、均質的な音でメロディが延々と途切れなく続くあのサウンドは、クラシックやポップスなど「普通の」音楽に聞き馴染みのある人にとっては、大変異質に聞こえるはずです。
そんな珍しいバグパイプが、4種類も集まって演奏をするイベントが7月21日に大阪で開催されました。
その名も「バグパイプ箱乱会」
バグパイプは「袋」で吹く楽器なのにどうして「箱」なのかが不思議ですが、チラシを見ると、びっくり箱からいろんなバグパイプが飛び出してくるという意味で「箱」なのかな?と思いました。
会場は大阪の北浜。
中之島から北浜の界隈は商都大阪の古い倉庫があって、昔の賑わいが忍ばれる、雰囲気のよいところです。
きっと、昔は運河で栄えたのでしょう。
会場となった北浜チャクラもまた、古い倉庫を改装したような建物です。
そういえばここへは、何年か前に、バンスリー奏者の寺原太郎さんのチベット音楽のコンサートを見に行ったのでした。
このコンサートの前後は1週間、熊野の家の改装のために和歌山県に行っている予定にしていたのですが、どうしても気になって、途中引き返してきました。
結果、それに値するほどの楽しいコンサートでした。
会場に着くと観客は満席。
40名くらいはいたでしょうか。
臨時席を作ってもらって、なんとか座りました。
出演者は主催がハイランド・パイプスの杉山憲司さん、そしてイリアン・パイプスの金子鉄心さん、ノーサンブリアン・スモールパイプスの原口トヨアキさん、ヒュンメルヒェンの堀田哲章さんの4名。
伴奏者はいません(バグパイプは本質的にソロ楽器ですものね)。
イベントの趣旨はコンサートなのですが、珍しい楽器であることもあって、それぞれの奏者から、ご自身の楽器についての解説がたっぷりありました。
なかでも、リードの調整に苦労することなど、バグパイプ奏者にしかわからない苦労話にうなづきあう様子は、お客さんの笑い(同情?)をさそってましたね。
肝心の実演では、それぞれのバグパイプの魅力あふれるレパートリーの数々を、ソロで披露。
▲耳元でハイランド・パイプスを演奏されて思わず道を塞ぐ3人のバグパイプ奏者たち(笑)
普段のコンサートではソロの演奏というのは珍しいでしょうから、そういったレパートリーを聴く良い機会となりました。
今回は4人での共演は一切ありませんでしたが、バグパイプごとに調律もスタイルも音量も異なるので、そのくらい潔い姿勢に、むしろ好感が持てました。
コンサートの終了後も杉山さんの先生とおっしゃる本場スコットランドのロディさんが、開発中の電子バグパイプを披露したりと、イベントは3時間にも及び、観客の皆さんは大満足の様子で帰ってゆきました。
珍しいバグパイプを一気に鑑賞できる、とてもレアなこのコンサート。
個人的には、規模を拡大してレクチャー形式でQ&Aの時間もあると、知的好奇心も満たされて、もっと楽しめるかと思いました。
バグパイプは数百種類があるということで、国内にも色々なバグパイプの奏者がいますから、また違った種類のバグパイプを集めて開催したいと意気込んでいらっしゃいました。
次回が楽しみです。
このイベントの記事を、出演の原口トヨアキさんが3回シリーズで書いていらっしゃいます。
演奏者目線の面白い記事ですので、ぜひご覧ください。
ケルトの笛屋さんでもバグパイプの普及活動を行っています。
室内で演奏ができ、アンサンブルにも使いやすく、価格もお手頃な「どこでもパイプス」から始められてはいかがでしょうか。