5弦バンジョーと4弦バンジョーの違い


出典 https://blog.mcneelamusic.com/

アイルランドの楽器メーカーMcNeelaが公開しているブログの中から「5弦バンジョーと4弦バンジョーの違い」について紹介している記事を許可を得て翻訳しました。

原文:What’s The Difference Between a 5 String Banjo and a 4 String Banjo?

5弦バンジョーと4弦バンジョーの違い

お客様から、4弦バンジョーと5弦バンジョーの違いは何かというご質問をよくいただきます。

弊社McNeela Instrumentsでは4弦と5弦どちらのバンジョーも幅広く在庫しているので、弊社のお客様がこれらの楽器の違いに興味がおありなのは当然でしょう。弦の数はさておき、この2つのバンジョーの違いを見てみましょう。

4弦テナーバンジョー

4弦テナーバンジョーは、今日の伝統的なアイルランド音楽で最もよく演奏されるバンジョーです。

アイリッシュ・テナーバンジョーはネックが短い4弦バンジョーで、通常17フレットまたは19フレットのスケール長を持ち、チューニングはGDAE(フィドルやマンドリンより1オクターブ低い)です。

バンジョーは20世紀初頭のアイルランドのダンスホールで、ギターと同じような奏法でコードをかき鳴らすことで人気を得ました。しかし、アイルランドのミュージシャンはすぐにバンジョーをアイルランドの伝統的なメロディーやダンスチューンを演奏するために使用するようになりました。

バンジョーが今日のような人気を得るようになったのは、1960年代と1970年代のフォーク・リヴァイヴァルの時代になってからです。これはロニー・ドリューRonnie Drew、トミー・メイケムTommy Makem、バーニー・マッケナBarney McKennaなどの代表的なバンジョー奏者の影響によるものです。

アイルランドのテナーバンジョーアイコン、バーニー・マッケナ

ダブリナーズのバーニー・マッケナは、アイルランドの音楽シーンを彩った最も影響力のある4弦バンジョー奏者であると言えるでしょう。実際、今日のアイルランド人バンジョー奏者のほとんどがGDAEにチューニングしているのは彼のおかげです。

GDAチューニングはCGDAチューニング(下記のプレクトラム・バンジョーのチューニングを参照)ほど明るい音色ではありませんが、バーニーは自分の楽器をこのように調弦することで、伝統的なアイルランドの曲を特にフィドル奏者が好むキーで簡単に演奏できることを発見したのです。

今日、4弦テナーバンジョーまたはプレクトラム・バンジョーは、アイルランドのケーリー・バンド(ダンスの伴奏バンド)のラインアップの重要な楽器であり、質の良いアイリッシュ・セッションでよく見受けられます。

現代アイルランドの4弦バンジョー演奏は、キエラン・ハンラハンKieran Hanrahan、ジェリー・オコナーGerry O’Connor, マイク・モロニーMike Moloney, エンダ・スキャヒルEnda Scahillなど、多くの熟練プレイヤーによってさらに革命的なものとなりました。

4弦プレクトラム・バンジョー

プレクトラム・バンジョーは、ジャズでよく使われる4弦バンジョーです。テナーバンジョーより大きく、5弦バンジョーと同じスケール長、ヘッドサイズ、フレット数です。テナーバンジョー同様、フィンガー・スタイルではなく、プレクトラムまたはピックで演奏します。プレクトラム・バンジョーの伝統的なチューニングはCGBDです。


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5弦バンジョー

5弦バンジョーは4弦バンジョーに比べるとアイルランド伝統音楽では一般的ではなく、ブルーグラスやディキシーランドジャズなど北米の民族音楽と関連付けられています。しかし、ダブリナーズの伝説的なバンジョー奏者ルーク・ケリーが5弦バンジョーを弾いたことは有名で、彼の代表的なバラード曲の伴奏に使用されています。

5弦バンジョーの標準的なチューニングは GDGBD で、オープン G チューニングとしても知られています。5弦バンジョーは 4弦バンジョーより大きく、22フレットを備えているのが一般的です。5弦バンジョーはピックを使って演奏することもできますが、より多くの場合、独特なフィンガー・ピッキング・スタイルで演奏されます。


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5弦バンジョーのフィンガー・ピッキング・スタイル

5弦バンジョーの主な奏法は、スリー・フィンガー・スタイル、クローハンマー(あるいはフレイリング)の2つです。クローハンマーとフレイリングという用語を同じように使う奏者もいれば、区別して使う奏者もいます。クローハンマーは親指で他の弦を弾くことができますが、フレイルはドローン弦を弾くことを指します。「ドロップサミング(親指を下げて弾く)」とも呼ばれます。

3フィンガー・スタイルやスクラッグス・スタイルは、この2つのうちシンプルであるため、初心者でもすぐに取り入れることができ、速く習得ができます。クローハンマーやフレイリングは一般的に習得が難しいですが、特徴的な「バンプディティ bump-ditty」のリズムを演奏できるようになれば、速いテンポでの演奏や多様なレパートリーを広げる段階に容易に移行することができます。

世界的に有名なベーラ・フレックBéla Fleckとアビゲイル・ウォッシュバーンAbigail Washburnがバンジョーの専門知識について語る以下のビデオをご覧ください。

バンジョーは5弦と4弦のどちらが良いのか?

さて、あなたは何本の弦のバンジョーを選ぶべきでしょうか。

4弦と5弦のバンジョーを比較するのは、ボタンアコーディオンとピアノアコーディオンを比較するのと少し似ています。これらは厳密には同じ楽器ですが、操作方法は若干異なりますし、異なる演奏技術が必要です。

ほとんどの楽器と同様に、どれを選ぶかは個人の好み次第ですし、どんなスタイルの音楽を演奏したいのかということが重要です。アイルランドの伝統的なジグ、リール、ホーンパイプやその他のアイルランド音楽を弾けるようになりたいなら、4弦テナーバンジョーが最適です。一方でジャズが好きならプレクトラム・バンジョー、ブルーグラスやカントリーが好きなら5弦バンジョーでしょう。


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