ヨーロッパのトラッド「バル・フォーク」を聴いてみよう

ライター:hatao

ヨーロッパの伝統音楽といえば、アイルランド音楽をはじめとするケルト音楽が大人気です。では、大陸側にはどんな伝統音楽があるでしょう? フラメンコ? ヨーデル? クレズマー? それも良いのですが、実はヨーロッパ大陸にも、ケルト音楽ファンが楽しめる魅力的なトラッドがあるんです。今回は、そんな「バル・フォーク」をご紹介しましょう。

バルフォークとは?

以下、https://www.balfolk.nl/ の翻訳です。

「バルフォーク」とは、西ヨーロッパの舞踊を集めた舞踊形式です。このようなバルフォークダンスの夜を、私たちは通常、舞踏会(バル)と呼んでいます。舞踏会とは、ラテン音楽で言うところのタンゴやサルサのゆうべのようなもので、伝統音楽とダンスを楽しみます。バルフォークでは、カップルダンスとグループダンスの両方が行われます。その際は、必ず生演奏で踊ります。こうして遊び心、居心地の良さ、雰囲気の良さを実現しています。演奏後には、ミュージシャンがセッションをする機会もあります。

・踊り
舞踏会では、みんなで楽しく踊ることが大切です。だから、正しいステップを踏むことよりも、楽しむことが大切なのです。舞踏会では、正規の相手がいなくても、誰にでも声をかけることができ、また誰からも踊りを求められます。多くのイベントでは、事前に簡単なワークショップを開催しています。そのため誰でも参加できます。すべてのダンスにバリエーションと即興の余地があるので、上級者も飽きることはないでしょう。オランダでは各地でレッスンを受けたり、「ソシアル(公開ワークショップ)」で踊りを習うこともできます。また、オランダ国内外の経験豊富な講師によるワークショップを定期的に開催し、踊りを深めています。

現在舞踏会で踊られている踊りは、もともとはヨーロッパ各地の小さな村の結婚式や村祭りで踊られていた(今も踊られている)ものです。フランスなどではこの文化の一部が今も生きていて、音楽が作られ踊られています。現在では、この(民俗)伝統に必ずしも属さないものの、単に踊ったり音楽を作ったりするのが楽しいという理由で、定期的にダンスの夕べやフェスティバルが企画されています。その過程で、スウェーデンのポルスカなど、他の国のダンスも紹介されるようになりました。それがヨーロッパ全土に広がり、特に若い人たちが伝統音楽とダンスに目覚めるようになりました。今日バルフォークは、さまざまな音楽とダンスのムーブメントからあらゆる影響を受けている、活気に満ちた伝統と言えるでしょう。

バルフォークの良さは、ミュージシャンとダンサーの相互作用にあります。音楽家はダンサーと一緒に演奏し、ダンサーは音楽と一緒に踊ります。ミュージシャンがダンサーであることが多く、反対にダンサーが音楽を演奏することも多いです。音楽とダンスが一体化していること、これが音楽の踊りやすさを高めています。この演奏と踊りの組み合わせから、フローニンゲンでは「Spansen」(演奏+踊り)という言葉が生まれました。ですから生演奏のない舞踏会は、舞踏会とは言えません。

舞踏会で演奏するのはオランダのバンドが多いのですが、外国のバンドもいます。伝統的なものを現代的に、奇抜にアレンジしていることが多いです。伝統的な音楽と踊りをベースに、若い音楽家たちが独自の曲を創作します。舞踏会の終わりには、バンドの演奏が終わっても、みんなが家に帰りたがらないようなセッションがよくあるのです。ダンサーがミュージシャンに変身して、ダンスフロアの真ん中で楽器を取り出して演奏し、ダンサーを楽しませてくれるのです。先にステージに上がっていたミュージシャンが参加します。

また、音楽家のためのワークショップも定期的に開催しており、ダンスミュージックの入門編から、より専門的なワークショップまで、幅広く対応しています。楽譜を掲載しているサイトもあるので、同じレパートリーを自宅で準備することも可能です。

https://www.balfolk.nl/

バル・フォークの音楽

踊りには、さまざまなスタイルの音楽が演奏されますが、アイルランド音楽のリールやジグではなく、ヨーロッパ大陸の西側諸国の伝統音楽や、創作音楽が演奏されます。こういったバル・フォークの音楽を提供するバンドや音楽家は、主にフランス、オランダ、ベルギー、ドイツ、スペインなどに数多く存在します。

また必ずしもダンスのために演奏していなくても、創作伝統音楽も同じ音楽ジャンルに属すると考えられています。ブルターニュのダンス・バンドもバル・フォークとして人気があります。

以下に代表的なバンドをご紹介しましょう。バル・フォークではアコーディオンとフィドルが花形楽器ですが、バグパイプとしてはフレミッシュ・バグパイプ、まれにイリアン・パイプスが使われることがあります。例えば以下のYouTube動画の中のHot Griseldaは、ホイッスルやイリアン・パイプスが演奏されており、アイルランド音楽に近い雰囲気が感じられることでしょう。

イギリス

Blowzabella

オランダ

Nargonia

Trio Dhoore

ベルギー

EmBrun

Hot Griselda

フランス

Bargainatt

Startigenn

バル・フォークのバンドは良いものがたくさんあります。
こちらのSpotifyプレイリストをたどって、好きな音楽を探してみてください。