ライター:hatao
韓国ソウルで10月12、13日の週末に開催されたインターナショナル・フェーレに参加してきました。フェーレとはアイルランド音楽とダンスの祭りのことで、日本でも毎年CCEジャパンが主体となりフェーレ・トーキョーが開催されています。
今回の催しは初めてで、フランス出身で韓国在住のマーティン・ドウ氏が個人的に企画しました。マーティンさんは数年前に韓国に移住し、アイリッシュ・セット・ダンスを楽しまれています。昨年は日本・台湾・韓国のダンサーだけを集めたダンス会を開催したのですが、音楽も取り上げてほしいというリクエストがあり、今回の企画となりました。
参加国は韓国・日本・台湾・マレーシア・シンガポールの5カ国で、日本からはトヨタ・ケーリーバンドの5人(フルートの豊田耕三さんと須貝知世さん、フィドルの権藤英美里さん、ピアノの谷島春香さん、ドラムの佐藤彩夏さん)が招待されました。台湾からはフルートの林世唐氏と台湾人コンサーティーナ奏者のVincent、シャンノース・ダンスのStaci Emer Shihさん、マレーシアからはパイパーFaliq Auri氏とコンサーティーナ&フルートのChan Sher Ly氏が、そしてフルート奏者として私が招かれました。
初日の土曜日はシンドリム(新道林)にあるタップダンス・スタジオの2つの部屋でダンスと音楽のワークショップ。韓国にはケーリーバンドが無いため作りたいということで、ケーリーバンド講習会が開かれました。私はフルート講座を依頼されたのですが韓国にはフルート奏者がほぼいないので、代わりに管楽器奏者の交流会を提案しました。いろいろな国のフルートやパイプ奏者での意見交換はとても意義がある時間でした。
夜はハンガン(漢川)のほとりでセッションとダンス。気候が良く、夜景が綺麗な川辺はたくさんの人で賑わっていました。チキンを食べながらのセッションはとても韓国的でした。
宿泊はイテウォン(梨泰園)のG-Guest houseで相部屋ドミトリーです。ここは人気ドラマ「イテウォンクラス」のロケ地でもあります。ドラマを見たので個人的にはとても興奮しました(が、共感してくれる人はいませんでした(笑)。
翌日の日曜日はイテウォンのThe Craic Houseというパブにて昼すぎから夜までダンスとセッション。まず午後2時からは1時間、各国のミュージシャンによるコンサート。私は韓国人ギターリストのDarrenさんとのデュオや、豊田さんと須貝さんとのフルート・トリオ、そしてケーリーバンドにも参加させていただきました。
それからはずっとケーリーが開催されていましたが、伴奏をしないミュージシャン達はバルコニーでセッションを始めました。夜8時からは全体でのセッション。イベントに参加していなかった韓国人ミュージシャン達もやってきて、曲の間が1分も開かないくらい立て続けに3時間もセッションをして、夜11時に解散。楽しい時間でした。
今回は関係者の集まりという感じで、一般公開のコンサートやダンスのショーはなく、それはそれで良かったと思います。主催者がダンサーだったのでダンスがメインの回となりましたが、次回があるのであれば音楽にも力を入れていただければ嬉しく思いました。
私個人はこの15年くらいは韓国・中国・台湾そしてマレーシアにまでアイルランド音楽愛好家を訪ねて旅を重ねてきたので、このような催しが開催されることは夢のようでした。
ライブやセッションの様子は、韓国人のイム・チェヒョクさんのYouTubeチャンネルで見ることができます。
https://www.youtube.com/@banjoontheroof8425/videos
追記・この催しの前日から2日間、チョンジュ(全州)の無形文化遺産院でユネスコ関係のコンサートが開催され、タイミングよく私たちも見に行くことができました。UPU(アイルランドのバグパイプ奏者協会)とハープ協会から17名の音楽家とダンサーが派遣され、一流奏者ばかりのすばらしいコンサートでした。舞台演出も見事で、これほどのコンサート体験はアイルランドでも不可能だろうと思いました。私にとっては近年で一番のコンサートでした。