アコーディオン、コンサーティーナ奏者の吉田文夫さんに「コンサーティーナ」について解説していただきました。
楽器の選び方
アングロ・コンサーティーナで広く普及しているのは30ボタン式の物で、左手側、右手側にそれぞれ15個のボタン(たて方向3列(段)に5個ずつ)があって、各列は左手側から右手側に、低→高となっています。
下から2列は、それぞれキー違いですが順番に音が並んでいます。
例えば下段がG音階の列で、中断がC音階の列だと、C/Gと呼ばれている機種になり、アイルランド音楽ではこの機種が一般的ですが、他の国や地域では別の配列の機種も使われています。
アングロ・コンサーティーナは、大まかには、アコーディオン・リードを使った5~10万円程度の量産品、同じくアコーディオン・リードながら製品のクオリティーが高い中級品、コンサーティーナ・リードと呼ばれるより深みのある音色の高級品の3種類に分けられると思います。
殆どの方が最初に購入されるのは量産品タイプになり、「ケルトの笛屋さん」ではWrenとSwanがあります。
WrenとSwanではお金に余裕があればSwanをお薦めしますが、いずれこの楽器を長く続けて行くなら中級品、高級品が必要になって来ますので、親切なガイド書も付いているWrenは、リーズナブルでもあり十分に値打ちがあると思います。
その他、量産品は国内外を問わず様々な機種が出ていて、下2列だけの20ボタン式の機種もあります。
代表的な楽器職人
コンサーティーナ、中級品や高級品のメーカーは、受注限定での製作になるので、中には完成まで数年かかる場合もあります。
個人でコンタクトするしかありませんが、下記のサイトもご参照ください。
http://irish.cocolog-nifty.com/flute_concertina/
https://www.concertina.net/forums/
練習のしかた
アングロ・コンサーティーナで、アイルランド伝統音楽の奏法を学べる教室等は国内には殆どなく、独学や周りの経験者の方に手ほどきを受けるという事が一般的です。
独学の進め方としては、C/G機種の場合やはりG音階やC音階のスケールが弾きやすいので、先ずはそれらのキーの曲から始めて、段々とD音階、A音階等の曲にもトライしてみるのが良いかと思います。
幾つかの同じ音が、蛇腹の開閉が反対で違う場所に付いていますので、それらを上手く活用して合理的に弾く事も出来ますし、半音系も殆どの音は備わっているので、弾きやすい、弾きにくいはありますが、結構どんな調の曲でも弾けたりします。
小指など最初はなかなか上手く動きにくい指も、段々と慣れて行きますので根気よく練習の回数を重ねて行く事が上達の秘訣になります。
国内の参考サイトとしては下記の様なものがあります。
https://www.studio-acoustic.com/category/musicschool/irish-music
http://www.isc.meiji.ac.jp/~katotoru/acco-concertina.html
本格的にアイルランド伝統音楽の演奏を志す方には、やはり本場のプレイヤーから学ぶ事が一番になります。
サマースクール等現地でのレッスンを受ける事も出来ますが、それが叶わない方は本場の音源(CD、動画等)をよく聴く事、また最近はOAIM (Online Academy of Irish Music)等の有料動画レッスン・ビデオ・サービスで、海外の演奏家のオンライン・レッスンを受ける事も出来ます。
楽器の維持管理
繊細で壊れやすい楽器ですので、乱暴に扱わない事、高音多湿を避ける事はもちろん、特に日本の梅雨時には蛇腹などにカビが発生しやすいので、ケースに入れたまま長い間置いておく事は禁物。
また特に量産品では度々不具合が起こりやすいので「ケルトの笛屋さん」の『コンサーティーナ取り扱い説明書』や海外のメンテナンス本等を参考に、簡単な修理の知識を身につけておくことが望ましいです。
関連リンク
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https://celtnofue.com/blog/archives/6454