「アイルランド音楽のセッションにベースで参加しても良いですか?」というご質問をいただきましたので、ケルトの笛のhataoが回答いたしました。
質問:
私はギター初級者です。先日、アイリッシュミュージックのセッションにギターを持って初参加しました。7名のセッションで、ギターが4人もいました。ギター奏者が多いため、ギター型のアコースティック・ベースでコードの1度と5度を弾き続けてはどうかと思いました。 この発想はアイリッシュミュージックでは受け入れられるのでしょうか。
回答:
アイルランド音楽では一部のバンドにおいてベース奏者を見ることがありますが、セッションにベースが入ることは一般的ではありません。アイルランド音楽の伴奏の主導権はギター(またはブズーキやピアノやハープなど和音楽器奏者)が受け持ち、伴奏は即興的に付けられます。ベースがセッションで一般的ではないのは、ギター奏者の意図する和音とベースの音とが噛み合わないと、音楽が成立しなくなる恐れがあるからです。
仮にギター奏者が不在であればベースで参加することも可能かもしれません。しかし、どんな伴奏者にも言えることですが、演奏される曲をきちんと覚えて、曲の展開を頭に入れた上で参加することが望ましいでしょう。
メロディ奏者が、知らない曲では参加せずに耳を澄ませて曲を覚えようと努力するように、伴奏者も知らない曲ではやみくもに参加しないほうが良いでしょう。
伴奏の上級者は知らない曲でも見事に伴奏を付けることができますが、それは曲のあらゆるパターンを熟知した上で可能となるのです。
セッションで伴奏者が多くて入る余地がない場合は、なにか一つでもメロディ楽器ができるようにしておけば、曲を覚えるスピードが速まり、セッションをいっそう楽しむことができるでしょう。
なお、ギター奏者など和音伴奏者が複数いる状況ではお互いに意図する和音が異なるためにカオス(混沌)に陥りやすいので、複数の伴奏者が同時に演奏することは控え、メロディ楽器を演奏するか、交代で弾くほうが他の参加者の妨げにならず良いでしょう。
ベース奏者の一例