チャーリー・レノンのおすすめ作品トップ10


出典 https://blog.mcneelamusic.com/

アイルランドの楽器メーカーMcNeelaが公開しているブログの中から「アイルランド音楽の伝統の中で最も多作な作曲家の一人であるチャーリー・レノン」についての記事を許可を得て翻訳しました。

※訳者注:いくつかの動画が非公開となっていたため、別の動画に差し替えています

原文:Ten Favourite Charlie Lennon Tunes

チャーリー・レノンの作品トップ10

チャーリー・レノンは、アイルランド音楽の伝統の中で最も多作な作曲家の一人であり、彼のアイルランド音楽界への貢献は計り知れないものである。

彼の音楽は、デ・ダナンミック・オコナー、リアム・オフリン、フランキー・ギャビン、ケビン・バーク、シャロン・シャノン、アルタンなど、数多くのアーティストによって録音されている。

2006年には、TG4の名誉あるコンポーザー・オブ・ザ・イヤーGradam Ceoilを受賞し、彼の目覚しい貢献が称えられた。

幼少期

チャーリーは、リートゥリム州のキルティクロガーKiltyclogherにある音楽一家に生まれた。父親はヴァイオリンを弾き、母親はピアノで「何でも」弾くことができた。チャーリーは7歳の時にピアノで音楽の旅を始めた。また、アイリッシュ・フィドルを有名な音楽家である兄のベン・レノンから習った。

私の家族はとても音楽的だったので、私も演奏を始めるのは自然なことでした。私は聴いて学びました。ただただ聴いて覚えたんです。

学校での勉強が嫌になったチャーリーは、代わりに音楽に没頭するようになった。クラシック・ヴァイオリンの勉強はもちろん、クラシックやジャズの和声学も勉強した。

音楽に身を投じたのです。簡単なことでした。

17歳になる頃には、ヴァイオリン、ピアノ、ドラム、そしてコントラバスで多くのケーリー・バンド(ダンスの伴奏バンド)と共演し、経験豊かな演奏家になっていた。

しかし、チャーリーは教育を受けることの重要性に気づき、最終的には通信教育でOレベル、Aレベルを取得した。そして勉強することの楽しさを知り、リバプール大学で核物理学の博士号を取得した。そう、本当に!

リバプール時代には、地元のクラブでジャズを演奏してお金を稼いでいた。 また、1960年から1968年まで、リバプール・ケーリー・バンドのメンバーとして活躍した。この間、バンドは2つのオール・アイルランド・タイトルを獲得し、2枚のアルバムを録音し、アメリカ・ツアーを行った。

しかし1969年、チャーリーは妻でシャン・ノース・シンガーのシール・ニ・フレイトハーラSíle Ní Fhlaitheartaとともにアイルランドに戻り、70年代以降、彼は作曲に重点を置くようになった。

チャーリー・レノンの作品

チャーリー・レノンは、クラシックと民俗音楽の境界線上にある何百もの曲や、いくつかの組曲を作曲している。彼のアイリッシュダンス曲は、甘く流れるようなメロディーで、あらゆる年代のミュージシャンから絶大な人気を得ており、アイリッシュミュージックのセッションで欠かせない存在となっている。

チャーリー・レノンは、アイルランドの伝統的な音楽であるエアやダンスチューンの中でも、最も魅力的で人気のある曲を作っている。彼は、耳と心に残るキャッチーなメロディーと、アイルランドの伝統的なハートビートで踊るリズムで、様々なタイプの曲を、彼の想像力の神秘的な金床で鍛造しているのだ。
― 音楽出版社ウォルトンズ

あらゆるアイルランド音楽家は幸運だ。チャーリーは1冊ではなく、2冊もの自作曲集を発表している。それは1993年にリリースされた『Musical Memories』と、2012年にリリースされた『Musical Memories Volume 2』である。アイリッシュ・フィドルだけでなく、アイリッシュ・ピアノ伴奏のエキスパート・ガイドとしても役立つ。

チャーリー・レノンの曲は、最初の1曲から本格的なフィーリングを備えています。この本の中のすべての曲は、何世代にもわたって伝統的に演奏されてきた曲のセレクションの中にすっぽり入ることができます。そして、この本は、アイルランドの伝統に対する伴奏者の貢献を証明するものです。
― Jackie Small, ITMA

これらの本は、すべてのミュージシャン、特にアイルランド音楽の伝統の中で最も優れた曲によってレパートリーを増やしたい人にとっては、価値ある投資だ。もし、Musical Memories Volume 1を見つけることができたら、ぜひ手元に置いておいてほしい。数年前に廃盤となり、日に日に希少価値が上がっている逸品なのだから。

クラシックとアイリッシュの融合

チャーリーの組曲は、偉大なるショーン・オリアダの作品と同様、アイリッシュダンス曲よりもクラシック音楽の色彩が強い。しかし、あらゆるジャンルに精通し、ヴィヴァルディ、バッハ、ベートーベン、ヘンデルなどの作曲家を好む経験豊かなピアノ奏者に期待される要素である。

オーケストラの作曲について、チャーリーはこう語る。

この2つを融合させるのは、実はかなり難しいのです。どちらにも長所と短所があるので、長所を生かすのです。ある種の調和を求め、出てきたものがリスナーにとって、楽しめないまでも興味を引くものであることを望むのです。
― ボストン・アイリッシュ

10 – The Flying Wheelchair

最初に紹介するのは、私にとって非常に身近な曲である。The Flying Wheelchairは、素晴らしいホイッスル奏者、Donncha Ó Briainに敬意を表して書かれたものだ。Donnchaは、彼自身が本当に才能のあるミュージシャンであるだけでなく、素晴らしいSetanta Whistleを製造している私たちMcNeelaの職人であるJohn O’Brienの兄弟である。

ティン・ホイッスルの名手であるDonnchaは、1979年にデビュー・アルバム『Ceol ar an bhFeadóg Stáin』をリリースした。このアルバムは発売と同時に高い評価を受け、現在でもアイルランドのティン・ホイッスル演奏におけるマスタークラスとして高く評価されている。

Donnchaは筋ジストロフィーを患い、1990年にわずか30歳という若さでこの世を去った。しかし、彼の人生は病気によって定義されるものではなく、短い時間の中で、彼はアイルランドの伝統音楽の世界に永続的な影響を与えた。曲を捧げられるという栄誉、特にチャーリーレノンによって書かれるにふさわしい人物がいるとすれば、それはDonncha O’Briainである(The Flying Wheelchairは1:44から)。

The Sessionの楽譜とABC譜はこちら。

9 – Round The House and Mind The Dresser

アルバム「Deora an Deoraí」(訳注:移民組曲)に収録されている「Round The House and Mind The Dresser」は、つま先立ちになること間違いなしの、生き生きとしたアップビートのリールである。セッションチューンとしても人気があり、どんな楽器でも指を鍛えることができる曲だ。エイリースÉilísとショーンSeánの演奏を聴いてみてほしい。父親の足跡をたどる強力なフィドル奏者だ。

Round The House and Mind The Dresserは上のビデオの3:13から始まる。

また、バンドDanúの伝説的なアイリッシュフルート奏者であるTom Doorleyの演奏も聴く価値がある。彼の演奏を聴いてみてほしい。

ただし、注意が必要だ。初心者に優しいテンポではない。

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8 – Planxty Joe Burke

アイルランドの伝説的なボタン・アコーディオン・プレイヤー、ジョー・バークに敬意を表して書かれたこの曲は、賛否両論ある曲だ。Planxtyというのは、実は曲の一種ではない。「Planxty」というタイトルは、単にその曲が誰かのために書かれた、あるいは誰かに捧げられたという意味なのだ。例えば、アイルランドの偉大な作曲家であり、放浪のハープ奏者であったターロー・オキャロランは、彼のパトロンのために多くのPlanxtyを書いた。

だから、この曲はPlanxtyだと言うミュージシャンもいれば、ホーンパイプやバーンダンスだと言うミュージシャンもいるし、スローダウンしてエアやスローリールのような形で演奏するミュージシャンもいる。どのように分類されるにせよ、チャーリー・レノンのクラシック音楽の影響が、この風変わりな曲に現れていることに同意していただけるだろう。

この曲は、アイリッシュボタンアコーディオン奏者Benny McCarthy(スーパーグループDanúのメンバー)によって、アップビートなダンステンポで演奏されたものだ。

The Sessionの楽譜とABC譜はこちら。

7 – The Peach Blossoms

この曲は紛れもなくバーンダンスで、非常にキャッチーな曲だ。この曲は、セッション曲としてはあまり知られていないが、どの楽器を選んでも、最初から最後まで楽しく演奏することができる。特にフィドルやバンジョーで演奏するのに適しているが、私自身はフルートでドラマチックな演出を加えるのが好きだ。アルバム『Turning the Tune』で、巨匠が演奏しているのを聴いてみてほしい。もし、あなたがこの曲を聴きながら、足をタッピングしたり、バンジョーを演奏したりするのを我慢できるのなら、あなたは優秀賞ものだ。

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6 – Ceannt The Piper

アイルランドの愛国者エーモン・セアントÉamonn Ceanntに敬意を表して作曲されたこのジグは、1916年の蜂起を記念してチャーリー・レノンの組曲Áille na hÁilleの一部として作曲されたものだ。イースター蜂起の中心人物であると同時に、エーモン・セアントは才能あるイリアンパイパーであり、120年以上経った今でも繁栄している組織、Cumann na Píobairí Uilleann (The Piper’s Club)の創設者でもある。真のパイピング・チューンがあるとすれば、Ceannt The Piperは、この小さな国が多くを負っている人物へのトリビュートとしてふさわしいものだ。

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5 – The Handsome Young Maidens

もう一つのジグ。こちらはもう少し軽快な曲だ。この曲はチャーリー・レノンの作品の中で最も人気があるだけでなく、現代のアイルランド伝統音楽のレパートリーの中で最も人気のあるジグの一つだと言えるだろう(逆説的ではあるが!)。

その高鳴るメロディーと高度なリズムのために、この曲はあらゆる年齢層のミュージシャン、特にバイオリン奏者の間で根強い人気があるのだ。ここでは、アイリッシュバイオリンの名手、ゾーイ・コンウェイが演奏している(The Handsome Young Maidensは1:09から)。

The Sessionの楽譜とABC譜はこちら。

4 – The Dance of The Honey Bees

このハッピー・リトル・ホーンパイプも、チャーリーのチャーミングな個性が溢れる楽しい曲だ。レノン・ファミリーのアルバム『Dance of the Honey Bees』に収録されているこの曲は、伝説的なアルタンによって人気を博した曲でもある。

この曲は、特にリズムの振り方がバーンダンス的だと言う人もいるかもしれないが、チャーリー自身がホーンパイプと言うのであれば、それで十分である。

The Dance of The Honey Beesは上級者が自分の腕をふるうのに最適な曲で、特に第2部ではオクターブの跳躍がある。特に第2部ではオクターブの跳躍があり、装飾音や3連符を使った装飾の機会が無限にある。

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3 – The Leitrim Lilter

The Leitrim Lilterは、チャーリー・レノンが書いた曲の中で、最も人気のある曲のひとつである。この生き生きとしたリールは、世界中のアイルランド人ミュージシャンに愛されている。セッションやケーリー・バンド、フラー・キョールのグループ・コンペティションやソロ・コンペティションで演奏されるのを耳にすることが多い。この曲は、アイルランド音楽の伝統にしっかりと根付いており、おそらくそれ以前に作られた古いリールよりも、さらに深く根付いていることだろう。この素晴らしい曲を習得することに時間を費やすことは、実に有意義な時間となることだろう。

The Sessionの楽譜とABC譜はこちら。

2 – The Moving Pint

The Leitrim Lilterは本当に人気のある曲ではあるが、The Moving Pintはチャーリー・レノンがこれまでに書いた曲の中で最も人気のある曲と言えるだろう。この熟練した作曲家の曲は、あらゆる年齢層のアイルランド人ミュージシャンに愛され、アイルランド民謡のレパートリーとして両手を広げて歓迎されている。

このドライブ感溢れるリールは、活発でアップビートなテンポで演奏するのがベストなので、初心者のミュージシャンには難しいかもしれないが、一度スピードに乗れば、きっと飛べるようになる。アイルランドの伝説的なフィドル奏者、フランキー・ギャビンの演奏をチャーリー・レノンのピアノ伴奏でどうぞ。

The Sessionの楽譜とABC譜はこちら。

1 – Sound Man, Éamonn

チャーリーの他の作品より少しムーディーな「Sound Man, Éamonn」は、リールというより、それ自体が1つの組曲のような音楽だ。チャーリー・レノンの傑作アルバム「Turning The Tune」に収録されているこの曲は、ピアノで巧みに奏でられる美しいスローエアから始まり、ゆっくりと、しかし着実にマーチのように展開し、駆動力のある生き生きとしたリールへと変化していく。チャーリーの作曲スタイルといえば、甘いメロディーを長調で書くのが一般的である。しかし、この曲は、短調のムーディーな雰囲気を漂わせ、私のお気に入りの曲だ。

The Sessionの楽譜とABC譜はこちら。

伴奏者としてのチャーリーについて

チャーリー・レノンは、有名なフィドル奏者であり、現存する最も多くのアイルランド音楽の作曲家の一人であることに加え、熟練したピアノ奏者でもある。彼の控えめな演奏スタイルは、より古い伝統的なスタイルの一例だが、若干の違いはある。

チャーリー・レノンは、決して重苦しくなく、軽快なタッチで高度なリズムを刻みながら、独特の繊細な演奏を披露している。彼のピアノ奏者としての技量は、アイルランド音楽の伴奏に関する私のブログ記事で詳しく紹介している。