アイルランド音楽の真髄 イリアンパイプスの魅力 (3)パイプスの演奏スタイル

今週末の日曜日に東京人形町で開催される、パイプスとフルートのデュオ・コンサートに向けて毎日ブログを投稿しています。

ここまで読んだみなさんは、イリアン・パイプスの独特なサウンドや演奏方法に興味を持たれたことと思います。今回はパイプスの「演奏スタイル」
について。パイプスには、「オープン・スタイル」と「クローズ・スタイル」の2つの演奏スタイルがあります。

それを理解するためには、まずこちらの動画をご覧ください。

スコットランドのスモール・パイプスの演奏です。世界の多くのバグパイプは、この動画のように筒先が開きっぱなしのチャンター(指で演奏する管)を備えており、そのため音はずっと出っ放しです。そのため装飾音で区切って演奏します。スコットランドのバグパイプ演奏は装飾音がモリモリです。

しかしこれでは「休符が演奏できない」という制約が生まれます。そこで、こちらの動画をご覧ください。

こちらはイングランド東北部のノーサンブリアン・スモール・パイプスの演奏です。このチャンターは先端が閉じられています。そのため、すべての指孔を閉じると空気はどこからも漏れないので、リードへの空気の流れが止まり、音が止まります。休符を演奏することができるのです。

イリアン・パイプスはその中間の楽器です。チャンターの先は開いていますので音は出っ放しタイプの楽器です。しかし、先端をひざに敷いたシートに当てた状態で全ての指孔を閉じると、先ほどのノーサンブリアン・スモール・パイプスのように音を止めることができます。つまり、休符を演奏することができます。そのため座って演奏する必要があるのですね。

こういった楽器の特徴から、イリアン・パイプスにはずっと音を流しっぱなしでレガートに演奏するオープン・スタイルと、一音ずつ音を止めながらスタッカートに演奏するクローズ・スタイルがあります。

こちらはオープン・スタイルの代表例です。流して演奏する感じですね。

こちらはクローズ・スタイルの代表例です。音が短く区切られているのが確認できるかと思います(ブログに埋め込みできない設定の動画のため、リンクをクリックしてYouTube上でご覧ください)。

https://www.youtube.com/watch?v=GrXsmfmqcFA

両極端に見えるこれらのスタイルですが、多くのパイパーは両方の演奏テクニックを組み合わせて演奏するため、どちらかと言えばオープン(またはクローズ)という風に奏者によってバランスが異なります。さて、内野さんのパイプスはどんなスタイルでしょうか?

ぜひライブに見に来てください。

hatao & 内野貴文 フルート&パイプス無伴奏デュオ

【日時】

2023年11月26日(日) 演奏:14時~16時、その後セッション

【会場】

Studio Ode.Inc
東京都中央区日本橋人形町2丁目25−16 人形町ビル 3F

【料金】

2000円(要予約)、セッションのみの参加1000円

【内容】

無伴奏ユニゾンはアイルランド音楽の真髄、中でもイリアン・パイプスは数ある伝統楽器の中でも最もアイルランド音楽を体現しています。フルートとパイプによる伝統的なパイプ・チューンでの端正なユニゾンをお楽しみください。演奏後はセッションも予定しています。 (hatao談)

【ご予約】

こちらまでメールにてご予約ください。
hataoアットirishflute.info または
http://irishflute.info/contact.html

★ライブ特典!★

来場した方に、ライブで演奏する10セット23曲分の楽譜と私のソロ演奏のデータをダウンロードできるQRコードをプレゼントします。パイプのレパートリーを学びたい方はぜひ来場ください!必死のパッチ、やぶれかぶれの大サービスです。