今年は今年のセンパトデイ・パーティ:field 洲崎一彦


出典 Irish PUB field

ライター:field 洲崎一彦

昨年も確かこの時期に、ここにセントパトリックス・デイについて書いた記憶があります。私とセントパトリック・デイというのは昨年も書いたように、タイミングが合わないというか、偶然が重なってしまってなかなかスマートなお付き合いが出来ずにここまで来ているのですね。それで、昨年の4年ぶりに再開となった当fieldでのセンパト・パーティも随分構えて挑んだのを記憶しています。

昨年のパーティはそれなりに頑張ったのですが、やはり何かまだ消化不良の部分を残したまま、また1年が経ってしまった。そんな感じなのです。

今年は、1月終わりのパブ24周年パーティが終わった直後から、私の頭の中はセンパト・パーティのことでいっぱいになっていました。S店長などは毎日毎日私がセンパトの話をするので、また今日のセンパトの話ですか?と、露骨にイヤな顔をしたものです。他にもっといろいろと考えなアカンことあるでしょう!と。自分でもなんでこんなに毎日毎日センパトの事が気になるのか、よく判らない笑。

なので、よけいに、色々と考えてしまう。うん。要するに、私はセントパトリックス・デイの事がよく判っていないのではないか。一般に、セントパトリクス・デイというのは、アイルランドにキリスト教(カトリック)を伝えたパトリックス聖人をたたえて、彼の命日が3月17日であることから、この日がアイルランド最大の祝祭日となった。という事なのですが、はい、お話は判ります。が、もひとつ私はピンと来ていない。

そうですね。ピンと来ていないのです。

では、クリスマスはピンと来るのか?と自問すると、それはもうピンと来るのです。子どもの頃からクリスマスは絶対的にクリスマスやったもん。では、ハロウィンはどうか?うーん。ハロウィンは確かに日本に定着したのはここ10年ぐらいのことなので確かに新しい。子どもの頃はそんな記念日の存在すら知らなかった。つまり馴染みがないという部分ではセンパトも一緒。が、ハロウィンはなんとなく違和感無く受け入れている自分がいます。別に、センパトに違和感があるというのではありませんが、ハロウィンほどピンと来ていないという感じですか。。。

自分でもよく判らないこの自分のセンパト観。では、こと、自国にキリスト教をもたらしたという事態の大きさが、私の想像力を越えた何かものすごく重大なことなのかもしれないと思い至り、では、この日本で例えれば、パトリックスさんはさしずめ誰に当たるのかを考えてみました。

すると、日本にキリスト教を伝えたのはフランシスコザビエルさんですよね。これは、小学生でも知っている有名は故事ではあるのですが、ザビエルさんをたたえるというような雰囲気はあまり大きくない。そりゃそうか。その後、日本がキリスト教国になったわけではないので、そこまで、人々にはグッと来ないのかもしれない。

すると、キリスト教を仏教と読み替えれば、はい、聖徳太子ということになるのかもしれません。確かに、聖徳太子は昭和の昔には1万円札の肖像になっていたぐらい馴染みがある。が、しかし、聖徳太子にちなんだ祝日など無いのですね。つまり、アイルランドにとってパトリックスさんは日本における聖徳太子以上の存在感で光り輝いているわけです。

と、こういうタイミングで、例のお騒がせぶちょー氏がやって来た。ぶちょー氏というのは前回も紹介しましたが、アイルランド音楽はアイルランドのその地方、地方によって特色が微妙に違う地方色というものがありまして、それならば、ジャパニーズ州という地方色があっても良いではないかをモットーに普段からいろいろと試行錯誤を続けている人物なのですね。この彼が、悔しい!悔しい!とわめきながら鼻の穴を広げてやって来た。何がそんなに悔しいのかというと、どうやら今年のセントパトリックスデイに東京のイベントで「アイリッシュ盆踊り」というのが開催されるのだという。このニュースを聞いてぶちょー氏地団駄踏んで悔しがるの図。

「アイリッシュ盆踊りは、我がジャパニーズ州スタイルの秘密兵器としてこの夏にワシがやろうと考えていたのだ!」

「先を越された!」と、涙ぐまんばかり。

そうか。それは悔しかろう。と慰めつつ、私もさっきまで頭の中にあったネタとぽろっと口に出してしまいます。

「それでは、日本のパトリック聖人と言えばこれはもう聖徳太子しかおらんと思うのだが、ひとつ、聖徳太子をテーマにアイリッシュソングに歌詞を作って、当センパトパーティで披露してくれんだろうか。。」

「何じゃ、それは?! ワシは忙しいんじゃ!」

彼は私の提案を歯牙にもかけずに帰っていったのですが、2,3日してやはりというかさすがというか、何の説明もない謎の言葉の羅列がメールで送られてきたのでした。

「ちはやぶる 神代も聞かぬ 竜田川 から紅に~」と来たもんや。これはもう止まらない。ぶちょーはすぐに止まれない。

一方、S店長と私が話し合いたかったのは、昨年のパーティで登場願ったパトリキウスさん(パトリックスさんの本名とのこと)は今年もおいでになるのか?ということだった。そうなのです。S店長はセンパト・パーティでは当然また自分がパトリキウスさんの扮装をして登場せねばいけないと信じ込んでいる。そういう所に使命感を持っている人なのですね。が、私としては、今年はずばり17日にパーティをやるわけなのでパトリキウスさんは忙しいだろうからウチのパーティにやって来るという筋書きにはリアリティがなさ過ぎるやろうと言う意見を彼に進言したのです。内心は、昨年のパトリキウスさんの扮装がただ緑の服や帽子をかぶったピエロのようなお祭り人間にしか見えなかったという客観的な感想もありまして、あれは、パーティにおいでになるお客様にはワケがわからず混乱を招くだけやろうと考えていたのです。

しかし、翌日にはS店長。店の裏にしまい込んであった、昔作ったパトリックスさんの帽子をひっぱり出して来てテープで修繕し始めた。今年もパトリキウスさんは来るのですね。。やっぱり。。。

そして、いよいよパーティ前日です。当日の店のスタッフ要員が強力に人手不足であることが発覚するのです。こうなると、S店長もパトリキウスさんになってる場合ではなくなります。パトリキウスさんありきの思惑は全て水の泡となります。いやはやどうしたもんか、どうしたもんか、、もはや、行き当たりばったりでしか助かる道は無い!

さて、当日です。3月17日当日です。パーティ時間の19時前から来店者ぞくぞく。これが全て外国人観光客と来たもんや。え?ウチのパーティでこういう光景になるの?と、うろたえてしまうぐらいの状況。皆さん日本語はまったくわからない。なのに、この日の為に練った出し物などの企画はいつもどおりのfield風のゆるゆる企画。酔っ払いのおっさん2人でガンダム談議をしてこの中の誰が注目してくれようか!もちろん日本語ですから。。。真面目な企画もおふざけ企画も日本語が通じるのが前提。すべてそれが前提。外国人観光客のお客様たちが少しでもステージに顔を向けてくれるのは、結局何か楽器を持って演奏している時だけ。それがたとえアイリッシュ音楽であろうと無かろうと。。。。と言うか、ちょい固めな雰囲気で真面目にアイリッシュ音楽を演奏した時などは、こんな堅苦しい雰囲気で酒を飲めというのか!と文句たれるアメリカ青年。。。

私がこの1ヶ月半の間思い悩み続けて来たことは何だったのか! 何をしても意味がなかったという無力感にさいなまれるわけです。

後で、S店長に聞くと、この時にきていたアメリカ青年数人が、今、アメリカではセントパトリックス・デイはパトリックス聖人もカトリックもそんな事はあまり関係なくて、この日はとにかく酒飲んで騒ぐ日なんやでーと言うてたとか。

あらら、時代は先に行ってたわけです。つかもうとするとまたもや指の隙間からつるりと抜け出て行ってしまうパトリックスさんなのでした。とほほほ。

というわけで、来年こそはガツンと手応えのあるセンパトパーティにすべく、今から準備するのだ!嘘。(す)