【ケルトの笛奏者の紹介】Bard

プロフィール

Bardは「アイルランド」「宮-Love in palace」などの韓国ドラマのテーマ曲を担当したことでその名を世間に轟かせたバンド“二番目の月”のメンバーがIrish traditional projectとして活動しているアイリッシュフォークバンドだ。

2007年の夏にアイルランドへと旅立った“二番目の月”のメンバーであるパク・ヘリは伝統的なアイルランド音楽に魅了され、Missing Island出身のギター兼ボーカルだったキム・ジョンファンと共にBardを結成。

アイルランドを旅しながら感じた文化や伝統音楽の素晴らしさを音楽に込めて発信し、韓国内では馴染みのなかった“アイリッシュフォークバンド”として支持を集めた。

Bardとはケルト族の言葉で“吟遊詩人”“放浪詩人”を意味し、その名の通りライブハウスやストリート、ヨーロッパのフェスティバルなどの様々な場所で自由な音楽活動を行っている。

2010年 1stアルバム「Bard」発表
2012年 2stアルバム「Road to Road」発表

※残念ながらBardは2017年に解散してしまいました。

メンバー

パク・ヘリ(アコーディオン、アイリッシュホイッスル、アイリッシュフルート、ボーカル) キム・ジョンファン(アコースティックギター、マンドリン、バウロン、バンジョー、ボーカル)

ファーストアルバム”Bard”

結成から約4年間ライブを中心に活動してきた彼らはパク・ヘリ、キム・ジョンファンを主軸にバイオリン演奏者のユン・ジョンス、パーカッション演奏者のイ・スヒョクが合流し4人のメンバーで2010年Bardの名でファーストアルバムを発表。

作詞、作曲、演奏はもちろん全体的なプロデュースまで行ったこのアルバムは、アイルランドの伝統音楽と叙情的なフォークが感じられる一枚だ。

最初の収録曲である「朝が来れば」(Hope For The Morning)は、アイルランドの民族音楽を全面に出した明るく爽やかな曲だ。
アイリッシュホイッスルが気持ちの良い朝を美しく表現し、軽快で楽しげなメロディーが“始まりの朝”を描いている。

アイリッシュホルンで始まる「Bird Song」は韓国の伝統音楽を彷彿とさせるメロディーが印象的だが中間で曲調が一転。軽快でアップテンポなリズムは、空を飛び回る鳥たちをイメージさせる。

メンバーのキム・ジョンファンが歌う「聴いているだろうか」(Are You Listening)の、”あの人は聞いているだろうか”と繰り返し問う声には”去って行ったあの人を懐かしむ切ない思い”が込められている。

「道で育った森」(Forest Up From Street)は、パク・ヘリの清らかで繊細な歌声が心に染みわたる曲だ。
旅人たちの歌と旋律が森を作り、花を咲かせ育っていく様子を描いている。

ロンドンのお嬢さん”を意味する「London Lasses」はアイルランドの伝統音楽だ。田舎から上京してきた農村の男の目に映った自由奔放で活気のある都市の少女たちを描いている。

同じくアイルランドの伝統音楽である「Donny Brook Fair」。タイトルはアイルランドのダブリンにあるDonny brookという通りで行われる祭りの名前であり、アイルランド伝統の踊りの名前でもある。その名の通り“祭り”を彷彿とさせる軽快な曲だ。

ビールのおいしいアイルランドのパブ。そこで行われるパーティーで人々が飲み、食べ、楽しく踊る様子が描かれた「アイルランドの味」(The Taste of Ireland)は、リズムに合わせてつい体が動いてしまうような心地よいテンポが印象的だ。

ボーカルであるキム・ジョンファンの繊細ながらも芯のある歌声が印象的な「声」(Voice)は、号令を合わせて荒波を進んでいく船員たちが海の向こうで待つ愛しい人を思う切ない気持ちを歌っている。

続く「She moved through the fair」は、両親に結婚を反対され死んでしまった女性が恋人の枕元に立つという内容のアイルランド民謡だ。
キム・ジョンファンの歌声がどこかもの悲しさを感じる印象的なメロディーをより一層切なくしている。

「Ships are sailing」「Toss the feather」の2曲はアイルランドの伝統的なダンス曲である。
軽快で爽やかな曲調は、人々が笑いながら楽しく踊る様子を連想させる。

最後のトラックである「夢見る島」(Eire)は、アイリッシュホイッスルが奏でるメロディーは“二番目の月”の代表曲である「西の空に」だ。

しかしオリジナル曲とは違い、軽やかでありながらもどこか寂しさを感じる。

民族音楽を基盤としたBARDらしいアレンジとなっている。

1. Hope For The Morning(朝が来れば)

2. Bird Song

3. Are You Listening(聴いているだろうか)

4. Forest Up From The Street(道で育った森)

5. London Lasses

6. Donnybrook Fair

7. The Taste Of Ireland (アイルランドの味)

8. Voice(声)

9. She Moved Through The Fair(朝が来れば)

10. Ships Are Sailing

11. Toss The Feather(朝が来れば)

12. Eire(夢みる島)

セカンドアルバム”Road to Road”

2012年5月パク・ヘリとキム・ジョンファンの完全2人体制として再構成されたBardが新しく発表したセカンドアルバム『Road to Road』はアイルランドの伝統音楽とオリジナリティが合わさり前作に比べ一層多彩な音楽性を感じることができる。

キム・ジョンファンの甘美な声色が耳に心地よいタイトル曲「踊る風」(Dancing Wind)は、環境破壊や開発至上主義などによって昔からの場所に潜んだ“小さく美しい秘密”が消えてしまうことを嘆くフォークバラード。

アイルランド風の旋律と軽快なリズム、そしてパク・ヘリの美声が織りなす「今日の旅行」(Today’s Journey)は、人生をひとつの“旅”と捉え、自分なりの方法で旅をすることの楽しみと、そんな予測不能な人生を生きている“私”を歌った気持ちのよい歌だ。

彼らが毎年恒例としている音楽旅行で移動に使うユーロラインのバスを題材にした「Euroline Reel」は、胸をときめかせた旅行の記憶とアイルランドの伝統音楽特融の活気が詰まっている。

そしてアコーディオンの演奏で始まるミディアムテンポの曲「幼少時代」(Kidhood)

“大人になれば世の中からすべての悲しみと痛みをなくし、世界を幸せにできると信じていた”という歌詞には、果てしない夢を抱いていた幼少時代の気持ちを忘れないでほしいというメッセージが込められている。

出会いによって抱く幸福や歓喜、嫉妬や憎しみは、別れによっていつの間にかどこかへ消え去ってしまう。

そんな“愛のもの悲しさ”を歌った「どこへ」(Where are they going)は、囁くようなパク・ヘリの繊細な歌声が印象的な一曲だ。

唯一のコラボレーション曲である「昔話」(A story that’s old but can return no more)は、韓国の伝統楽器であるカヤグムの演奏者ジョン・ミナと共に無分別な開発によって破壊されている韓国の洛東川について歌ったものである。

韓国とアイルランドの伝統音楽、としてフォークを合わせるという彼らの新しい挑戦が見られる。

アルバムのタイトルにもなっている「Road to Road」は、“道”に対する思いを感傷的なアコースティックギターの旋律で奏でている。

続く「The Right Time」は同じくアコースティックで始まる曲だが「Road to Road」とは180度違う曲調で、恋に落ちた時に抱く胸の高鳴りを軽快なリズムで表現している。

“この思いをいつ伝えようか”とタイミングを見計らうドキドキ感を歌った曲だ。重いギターサウンドで始まる「Terminator」は、平安だった森に突如侵入した巨大な機械に追いやられた自然や動物たちが、新たな生きる道を探していくというストーリーの元に作られている。

続く「島の歌」(Song of Eire)は、アイルランド伝統音楽の情緒を感じることができる。
長年に渡り侵略と戦争、大飢饉に苦しめられてきたアイルランドだが、そのような状況でも文学と芸術を大切に守り続けてきた人々について歌った曲だ。

不思議な雰囲気を帯びた曲「ひとつになる」(One)は、静かなアコーディオンで始まり軽やかなアイリッシュホイッスルで終わる。
世界は不平等であるが、ひとつの空の元で生きる私たちは手を取り合い、ひとつになって生きていくべきだという希望を歌っている。

アルバムの最後に収録されている「旅行者の最後」は、人生という旅行を先に終えた人々に贈る曲だ。アイリッシュフルートの美しい旋律がとても印象的である。

このアルバムは、チェロ、カヤグムなどアイルランド音楽では使用しない楽器を用い、より追及されたBardの音楽を感じることのできる一枚に仕上がっている。

1. 춤추는 바람 (踊る風)

2. 오늘의 여행(今日の旅行)

3. Euroline Reel

4. 아이시절(幼少時代)

5. 어디로(どこへ)

6. 오래된 이야기 feat. 정민아 Jung-Mina(昔話)

7. Road to Road

8. The Right Time

9. Terminator

10. 섬의 노래 (島の歌)

11. 하나로 이어져(ひとつになる)

12. 여행자의 마지막 걸음(旅行者の最後)

https://celtnofue.com/blog/archives/7949

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