【シルヴァン・バルー(Sylvain Barou)】ケルトの笛 インタビュー 後編

このインタビューは「albumtrad」というブルターニュのCDショップが2010年に行ったものを、フランス語から翻訳して公開しております。

翻訳:黒川彩子


出典 出典 Sylvain Barou ホームページ

前編はこちら
https://celtnofue.com/blog/archives/4315

――今度はアイルランドにおけるブルターニュ音楽について。

アイルランドでは、ブルターニュ音楽は全く知られていないのですか?今日でも?

いまだに! 相対的に知られていません。

とはいえ、アイルランドのミュージシャンはよく話題にはしており、ブルターニュの音楽家にけっこう惹かれているんです。

ブルターニュ人とは言いませんよ、ブルターニュの音楽を演奏する人々に惹かれているんです。

というのも、彼らは80年代や90年代に演奏されていた音楽に影響を受けているので。

――つまりGwendalやBarzazの影響を受けたということですね。

それでブルターニュ音楽というのが、総じて田舎のローカルな音楽という位置づけになっている。

LunasaやGuidewiresのようなアイルランド音楽グループをよく見かけますが、アイルランド音楽の中にブルターニュ音楽も体系的に位置づけられているのでしょうか。

ケルトという言葉が現れてくるでしょうね。

――商業的な概念ですか?

まさにね。

商業的なアプローチ(批判的な意味ではありません)のおかげでヨーロッパ中に広まっています。

ポーリッグ・リンPádraig Rynneやトーラ・カスティTóla Custyのようなミュージシャンがブルターニュ音楽にどっぷり心酔しているのです。

そしてインスピレーションを得てすばらしい演奏をしています。

彼らの家に行ったことがありますが80%のCDがブルターニュ音楽でしたよ。

――GuidewiresのCDにはliveとありますが、一方観客の前で収録したというわけではないのですよね。
スタジオで収録したわけではなく?

ライブのコンディションで収録しました。

舞台の上で、観客を前にしたのと同じように。

いつもやっているのとは違う、やりにくい場所に行って、コンサートのコンディションで演奏し、コンサートをいくつも録音して選ぶなんてことは、実際生半可なことではなく、時間がないことも含めて大変でした。

最初は「失敗したな」と思ったぐらいです。

ですが、ライブでのスタイルを記録に残したかったので。

あとで録音を聞きましたら、ライブとがっちり結びついていました。

――それから、ミキシングのほうでもすばらしいできですよね、たしか。

ええ、Realworldにお願いしました。

Realworldの録音スタジオで働いているマルゴ・ミグリアリMarco Migliariを知っていたので。

もう二つのアルバムで、私たちの音楽をミキシングしてくれています。

音楽をうまく調整してくれ、とても才能のある人です。

以前から彼のアコースティックのアイルランド音楽に関わりたいと思っていました。

彼はパリにグループの音楽を録音するためにパリに来て、それから一年後Realworldの録音スタジオでミキシングしました。

――このCDの評判はどうですか?よいですか?

アイルランドのプレスはよい評価をしてくれています。

アイルランド人ではない身としてはとても嬉しいことです。

――このアルバムで成し遂げたというふうには思わないのですか?何かを確立したといったようなことです。

「ここで終わり」という風には考えません。
一つのアルバムが終わったら、「次は」というふうに思えるから。

――Guidewiresのlive2はないのですか?

アルバム2枚目はありえます。

――誰とされますか?
今のメンバーと同じですか?

ええ。

おそらくはゲストを数人招いてね。

――ツアーなどの話ですが、日程を決めるのは簡単ですか?

今はとても難しい時期にいると思います。

とりわけ、アイルランド音楽のグループが市場にたくさんありますが、この市場で他の人たちの音楽を前にして自分の音楽を定めるのはとてもむずかしいことです。

永遠の挑戦ですよ。

――アイルランド音楽が10年ほど前のような人気ではないように思いませんか?

まさにモードがありますよね。

サイクルがあると思います。

アイルランド音楽が流行っていたのは確かです。

Guidewirsのようなグループは、この音楽を演奏するのに超商業主義によっているとは言い難いでしょう。

歌もないですしね。

詳細に音楽を提供することではなく、色々とプログラムを編成することに取り組んでいるのです。

――次にお会いできるのはブルターニュですか?それとも大雑把にフランスで?

2011年に。

6月にアイルランドで演奏しました。

けっこうな数のフェスティバルがヨーロッパでありますが、フランスはありません。

2011年にツアーをするためブルターニュのエージェントと組んでいます。

今のところこれ以上の情報はありません。

――今まで話した以外の計画は?

私の次の計画ってのは、次々に姿を変えていくものでね。

――ソロアルバムは?

出します。

計画中です。

今準備しているところですよ。

(2017年追記)Silvainは2015年に ソロ・アルバム「Silvain Barou」を発表、Guidwireは解散となり、ペルシャ音楽、インド音楽、ジャズ・フュージョンの分野での活動をするようになりました。

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