チューンのレパトワ(レパートリー)を増やす:松井ゆみ子

ライター:松井ゆみ子

不思議なことにアイルランドでは”レパートリー”という言葉よりも、フランス語の”レパトワ”を使うことの方が多いです!

フィドル仲間Viviのプッシュが素晴らしく、演奏する機会がぐっと増えています。地元ヴィレッジのパブ・セッションが月1回、隣県リートリムのスローセッションが月1回。われわれふたりの練習会がセッション前に合わせて月2回。ほぼ週1ペースで合奏している感じ。

ふたり練習会も、フィドル2名に加えてホイッスル1名増員。レパートリーも多く、上手な奏者なので練習会もぐっと盛り上がってきております。スケジュール調整のメールには必ず「今、何練習してる?わたしはこのチューン」とあり、知らないチューンだと大あわてでわたしも練習。そんなこんなでレパトワ(レパートリー)が急に増えています。hataoさんの毎日1チューンにはとてもかないませんが!!

この1ヶ月ほどで新規に覚えたのは「Humours of Ennistymon」。地元セッションでよく演奏されるのですが、ようやく覚えた。義兄がエニスタイモンに住んでいるので、いつか弾けるようにならないといけないなとは思っていたのです。義兄はコンサーティーナ担当。Mossie MartinのレッスンYouTubeで自習しました。

「Kid on the Mountain」もなんとか。Kidがヤギのことだと初めて知りました。子ども=Kidの語源なのですって。”なぜに子どもが山に?”と不思議だったのですが解せました。

「The Mountain Road」も、タバカリーのサマースクールのセッションで何度も登場しているのに弾けなくてはずかしかった。スライゴー在住なのに!これもモッシーのyoutubeで覚え、次回のサマースクールで弾くのが楽しみ。このチューンはタバカリーの名物フィドラー、マイケル・ゴーマンの作曲です。彼はトラベラーの歌手マーガレット・バリーとコンビを組み、ユニークな活動をしていました。彼が密造酒のポッチーン(じゃがいもで作るお酒)を運ぶのに、ガーダ(警官)のいない山道を歩いたという逸話から生まれたチューンで、この国らしいでしょう?今、同じく彼の作曲の「Promenade」を練習中。でもこのチューン、Coleman’s Jigとほぼ同じ気がするのですが・・??

ずっと覚えたかった「Banish Misfortune」もようやく制覇。これはねー弾いててめちゃくちゃ楽しい! セッションでも人気なので、交ざれる機会が増えました。

以前、チューンはレッスンを受けたりサマースクールなどで習うことで身につけてきました。今もそういう機会は大事にしていますけれど、セッションに行き出してから「何度も聴いて耳馴染んで、自然に弾けるチューンが増えた」ことに驚いています。全部が全部覚えられるわけではありませんけれど!

たとえば「Cooley’s 」などは「耳にタコ」状態で、ある日ふっと弾けるようになっていました・笑

今トライしているのは「Rolling Wave」。大好きなラジオ番組(トラッドミュージック・オンリーの素晴らしい長寿番組)のタイトルで、毎週このチューンが流れるのに覚えられず。マーティン・ヘイズ先生のyoutubeレッスンで、あと一息のとこまできたとこ。難しいというわけではないのに、トリッキーなチューンで、間違えることしばしば。

同じタイトルの別チューンもあり、hataoさんのyoutubeには別チューンの方が収録されています。

ケヴィン・バークもhataoさんの方のチューンを教えています。わたしはこちらのチューン、タバカリーのサマースクールで習いました。長いこと弾きたかったのはこちら。

hataoさんのチューンもお聴きくださいね!

かなり長い間、チューンのタイトルを覚える気がまったくなかったのですが、そうもいかない! ことに遅ればせながら気づき。まずタイトルがわからないとyoutubeが見つけられず、自習ができない。セッション時「何弾きたい?」とふられたときに答えられない。さわりのとこを弾いてみればよいのですが、これって意外にむずかしいのよ! チューンの出だしがさっと出るのは、かなり弾きこんでいる証。

不思議なことに、家では次々と別のチューンを弾いていけますけれど、人前で最初のフレーズを戸惑わずに弾けるには修業が要ります。わたしはまだまだ。セッションで最初にさっと弾けるの、ほんとに少しだわ。

マーティン・ヘイズ先生の苦言で「ひとつのチューンをちゃんと弾けないうちは、いくらレパトワを増やしても半端で無駄」みたいなことを聞いたことがあり、それはどの先生も言います。

なので肝に銘じていて、あれこれ弾けることを目標にしてはいないのですが、セッションに行くようになってからは、弾けないチューンの間フィドルを抱えて、弾けるチューンが来るまで待つあの屈辱・笑。かつては、フィドル抱えている時間の方が長かったし。でもこの”苦言”はすごく大事なポイントなので忘れないようにしましょう!