2025年ベスト盤:hatao

ライター:hatao

おおしまさんが昨年のベスト盤をご紹介になりましたが、私も同じテーマで書いてみたいと思っていました。

洲崎さんが書いていらっしゃるように、音楽の聴き方は随分変わりましたね。私は車でしかCDが聴けないのですが、海外からCDを取り寄せるのはとても高いので、もっぱらSpotifyにおすすめされるCDを聴いたり、Bandcampに出るアイルランド音楽の新譜を買ったりしています。

そんな中から昨年のベスト3を選びました。

(1) Aoife Ní Bhriain & Cormac McCarthy “Cosán Casta”

クラシック、トラディショナル、ジャズのスタイルを自由自在に使い分けて、恐ろしく技術的で芸術的な完成度の高い音楽を演奏するデュオ。こういったクロスオーヴァー音楽は、クラシック音楽の癖がアイリッシュの曲に出てしまうとか、アイリッシュフィドルの良い意味でのゆるさがクラシック音楽になりきれないといった技術的に未熟な失敗例が多い。そのためあまり期待していなかったのだけど、この二人はそれぞれがものすごく深く、音楽を極めているのだろう。当たり前だけれどアイリッシュのニュアンスやダンス音楽を演奏しても完璧だし、クラシック音楽としても非の打ちどころがない。アイリッシュ・フルートでこういったことをやっている人はいないだろうし、私がやってみたいと思う憧れのひとつ。

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(2) Andrew Caden and Conor McDonagh “Across the Atlantic”

正統派のトラッド、しかもスライゴーの伝統音楽を大西洋の両岸の若い演奏者が取り組んだ作品。Andrew CadenはアメリカでBrian Conwayを通じてフィドルを習い、そのスタイルはMartin Wynneにまで通じるという。Killavil出身のConor McDonaghは南スライゴーのフルートスタイルを継承している。十代からフラーのコンペティションで入賞を重ねてきた二人の音楽は心が弾むようなスウィングと緻密なユニゾン、伝統音楽の可能性がまだまだひらけていること示してくれる。

(3) Charlie Grey and Joseph Peach “Spiorachas “

2021年のアルバムで新譜ではないのですが、去年に出会って繰り返し聴いたアルバム。スコットランドのフィドルとピアノのデュオで、伝統音楽のスタイルとモチーフがベースとなり、現代的解釈による自由な演奏を展開する。普段アイルランド音楽を演奏していると、音のタイミングや一切ぶれないグルーヴといったことに心を砕くのですが、彼らの瞑想的で空間的な音楽は、そうではないあり方を感じさせます。こういう新鮮さや芸術性の高さはスコットランドの得意とするところなのでしょうね。

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3枚通じて、やはり私はデュオが好きなのだなと再認識したのでした。それでは、ブログをお読みの皆さま、今年もどうぞよろしくお願いします。