初心者のためのバンジョーのチューニングと持ち方ガイド


出典 https://blog.mcneelamusic.com/

アイルランドの楽器メーカーMcNeelaが公開しているブログの中から、バンジョーのチューニングについての解説記事を許可を得て翻訳しました。

原文:A Beginners Guide For Tuning and Holding The Banjo

初心者のためのバンジョーのチューニングと持ち方ガイド

初めてバンジョーを手にする方に向けて、チューニングの方法と正しい持ち方について必要な情報をお届けします。本記事は『エンダ・スカヒルのアイリッシュ・バンジョー・チューター:Learn Irish Banjo Vol .I』からの抜粋です。

(訳者注:リンク先がエラーになっていますが、下記と同じ商品となります)
https://celtnofue.com/items/detail.html?id=4418

はじめに:バンジョーの正しいチューニングと持ち方

バンジョーのチューニング

ここで使用するのは、標準的なアイリッシュ・バンジョーのチューニングである GDAE です。G弦は構えたときに天井に最も近い弦で、中央Cよりも低いGの音です。E弦は床に最も近い弦であり、音の高さとしては最も高いため「トップストリング」とも呼ばれます。

バンジョーをチューニングする最も簡単な方法は、デジタルチューナーを購入することです。質の良いチューナーであれば十分に役立ちます。ピッキングした直後の音は、一瞬だけ音程が高くなり、正しい音に落ち着いた後、わずかに低くなって、最終的にまた正しい音に戻るという特性があります。これはすべての弦楽器に共通する問題です。そのため、チューナーのインジケーターが落ち着くのを待ってください。

もう一つの方法は、ティン・ホイッスルやピアノ、音叉などの楽器を基準にして、1本の弦を正しくチューニングし、それを基に他の弦を合わせていくという方法です。


出典 https://blog.mcneelamusic.com/

A弦から始めましょう。この弦を基準音に耳で合わせてチューニングしてください。最初は難しく感じるかもしれませんが、リラックスして目を閉じ、2つの音が同じかどうかを感じ取るようにするとよいです。

バンジョーのペグを少しずつ回して、基準音と一致していると思える音に近づけてください。最初に目的の音よりも低めの音から始めて、徐々に高くしていく方法のほうがやりやすいと感じるかもしれません。

音に集中しすぎると、かえって混乱することがあります。1本の弦が正しくチューニングできたら、それを基準にして他の弦をチューニングできます。ただし、バンジョーのイントネーション(=ネックの上の方に行くほど音がシャープになるような状態)が悪い場合、この方法は完全にはうまくいかないことがあります。

最初は、7フレットを使ったチューニング方法を試してみてください。たとえばD弦の7フレットの音はAです。この音を押さえて、すでにチューニング済みの開放A弦と比べましょう。D弦を調整して、7フレットAの音が開放A弦と同じになるようにします。

A弦の7フレットは高いEの音です。このようにして、一方の弦を基準に他の弦を合わせていきましょう。いずれは耳だけで自然にチューニングできるようになります。自分の耳を信じてください。耳でチューニングする能力は、時間をかけて育っていくものです。

バンジョーの持ち方

バンジョーの持ち方の基本的な考え方は、右手と左手、腕の動きが自然に楽器と連動する、快適で安定した姿勢を取ることです。足をしっかり床につけ、背中が支えられるように座ります。

バンジョーを膝の上にのせます。バンジョーのテールピース側を右腰に軽くあてがい、左腰とバンジョーのリムの左側の間に少し空間を持たせます。自分の目線から見たとき、左腰とバンジョーのネックの付け根との角度がだいたい30~45度になるようにします。

バンジョーは、手で支えなくてもある程度安定して座るはずです。左手や右手でバンジョーを支えすぎると演奏の妨げになるため、なるべく支えに使わないようにしてください。必要であればストラップを使いましょう。とても便利な道具です。バンジョーのネックは、鏡に正面から映したときに、自分の体に対して約45~65度の角度になるのが理想です。ネックが肩の方に上がりすぎると、右手の位置が不自然になってしまいます。

リラックスしましょう。バンジョー演奏においては、肩から指先まで力を抜くことがとても大切です。肩に力が入ると、ピックの持ち方や弦の弾き方に影響し、動きが硬くぎこちなくなってしまいます。

右手の使い方

右手はバンジョーの「エンジン」です。無理に力を入れると、動きが詰まってしまいます。手首を支えつつ、自由に手を動かせる位置に右手を置くことが大切です。

まず、「空手チョップ」をする側の手の平、つまり親指とは反対側の小指の下辺りを確認してください。そこがバンジョーの上に乗る部分です。ここが右手の支点であり、手首の支えになります。この部分をテールピースの上に置くか、届かない場合はブリッジの後ろの弦の上に置いてもかまいません。音に大きな影響はありません。

ただし、ブリッジ自体には触れないようにしてください。音がこもってしまいます。また、運動の「ちょうつがい」である手首は反らせないようにしましょう。反ると力が入ってしまいます。

右手の正しい支え方を確認する簡単な方法があります。左手を前に突き出して、拳を作ります。これを支えにして、その上に右手を「空手チョップ」の部分でそっと置いてみてください。右腕をだらんと下げて、手首を支点に手を前後にゆっくり動かしてみましょう。左手がバンジョーのテールピースだと思ってください。これが、実際にバンジョー上で右手を支える理想的な状態です。

右腕全体については、バンジョーのネックから弦、手、手首、肘へとまっすぐラインが通っているイメージを持ちます。実際には完全な直線にはなりませんが、ひとつの目安になります。この直線を作るために腕、肩や背中を無理に動かすのではなく、バンジョー本体やネックの位置を調整してください。

右手の位置は、弦とまっすぐ向き合っていることが大切です。ブリッジを手のひらで軽く包み込むように、自然に手を構えましょう。そうすることで、手首の自然な動きで4本の弦すべてを均等に弾けるようになります。バンジョーを自分の手に合わせて動かすように意識してください。逆ではありません。

弦を弾く位置は、ブリッジから1〜2インチ(約2.5〜5cm)ほど離れたところが理想的です。どの位置で最も良い音がするかはバンジョーによって異なります。ブリッジに近すぎると音が硬くなり、ネック側に寄りすぎると右手の位置が安定しなくなります。

ピックの持ち方

  1. 人差し指を軽く内側に曲げます。
  2. ピックを、曲げた人差し指の外側の縁に沿わせるようにして、第2関節のあたりに下向きに置きます。
  3. その上から親指を乗せます。親指の柔らかい腹の部分を使って、ピック全体を平らに覆うように置きましょう。親指の関節は曲げず、なるべく真っ直ぐに保ち、リラックスした状態を意識してください。
    ピックは親指の重みだけで支えるくらいがちょうどよく、三連符や速いフレーズを弾くときには、ピックが親指と人差し指の間で軽く揺れるくらいの余裕が必要です。決して強く握りしめないでください。

よく見られる持ち方として、ピックを人差し指と中指の平で挟み、親指で押さえる(鉛筆を持つような)方法がありますが、これはおすすめできません。というのも、指と親指が反対の力でピックを支えようとするため、どうしても無駄な力みが生じてしまうからです。

また、バンジョーのヴェラム(皮の部分)に指を置いて支えるのも絶対にやめてください。右手の指がヴェラムに軽く触れるのは問題ありませんし、指を軽く丸めてまとめておくのも大丈夫です。ただ、指をヴェラムに置いたり、ブリッジの周囲に巻き込んだりすると、不要な緊張が生まれてしまいます。

左手の構え方

左手は、バンジョーのネックを軽く包み込むようにして構えます。ネックは、親指と人差し指の間の「くぼみ」にちょうど収まるようにします。手のひらや手の付け根はネックにぴったりくっつけず、しっかりと離しておきましょう。ネックが下がってきてしまう場合は、ストラップを使って支えてください。左腕はリラックスして自然な位置にあり、肘が硬く突き出るような姿勢にはしないでください。

左手のテクニック

左手で目指すべきは、軽くて素早く動ける指です。バンジョーのネックは、常に左手の「くぼみ」で支え、指先は指板の上で高く保ってください。親指に力を入れて握りしめるようなことはせず、ネックを上下に移動できるだけの自由を保ちます。

左手の指の形は、軽く握った「爪の形(クロー)」のようになっているのが理想です。指を立てておくことで、素早く動ける準備ができています。指が寝てしまうと、他の弦に触れてしまいやすくなり、動きも鈍くなります。指を使って音を出すときは、その指をフレットの中央あたりにまっすぐ置いて、しっかり押さえましょう。また、指は常に弦の近くに置き、すぐに使えるようにしておきます。宙をふらふらと泳がせないようにしましょう。

以上は、『Enda Scahill’s Irish Banjo Tutor – Learn Irish Banjo Vol. I』からの素晴らしい抜粋です。