ケルティックハープ奏者の河野由貴さんに、ブルターニュ音楽のリズムと踊りについて解説していただきました。
【ブルターニュ音楽】リズムと踊り
みなさん、こんにちは。
ケルティックハープを弾いております、河野由貴です。
本日は、ブルターニュ音楽のリズムと踊りについて、ご紹介いたします。
ブルターニュの伝統音楽では、固有のタイトルが無く、リズムやダンスの名称で呼ばれる曲が多数存在します。
今回、ブルターニュ音楽の中でもよく知られているリズムと踊りを、ご紹介いたします。
An dro (アンドロ)
小指をつなぎ、男女交互の輪、あるいは鎖となって踊る。
楽譜上は4分の2、あるいは4分の4拍子。
Hanter-dro (アンテルドロ)
ヴァンヌ地方やオート=ブルターニュ地方の、3拍子のステップダンス。
男女で腕を組み、狭い輪、あるいは鎖となって踊る。
Ridée/Laridée (リデ、あるいはラリデ)
リデ、あるいはラリデと呼ばれるが、どちらも同じものを指す。
6拍子のものと、8拍子のものがある。
それぞれRidée 6 temps(リデ シットン), Laridée 8 temps(ラリデ ユイットン)などと呼ばれる。
男女交互で小指をつなぎ、腕を大きく振るダンスが特徴。
Ridée 6 temps
Laridée 8 temps
Gavotte (ガヴォット)
古くから伝わる踊り。
16世紀頃には、既に普及し、流行していたとされる。
4拍子。8ステップで1セット。
音楽、ダンスともに地域によって様々なバリエーションが存在する。
輪になって踊られることが多い。
Suite de Loudeac (スウィット ドゥ ルデアック)
ブルターニュの町、Loudeacのセットダンス。
男女交互で踊る。
以下の4部で構成される。
1.Rond de Loudeac:
小指を繋ぎ、輪になって踊るテンポの速い4拍子のロンド。
2.Baleu de l’Oust:
緩急ある2部(Balade/FIgure)で構成される。
- Balade:前半は男女カップルで輪を作る。腕を交差させ、軽く引きずり気味に行進する。
- Figure:後半はその場でロンドのステップ
3.Rond:
2つめのロンド。
4.Riqueniée:
2部(Balade/FIgure)で構成される。男女交互、輪になって踊る。
- Balade:前半16拍、奇数拍の際、腕を前に出す。
- Figure:後半16拍、前後にステップする。男性は腕を上げる際、振り付けを強調する。
Rond de Saint-vincent(ロンド ドゥ サン=ヴァンソン)
ブルターニュの町、Saint-Vincent-sur-Oustの踊り。
小指を繋ぎ、男女交互に輪になって踊る。
ゆったりとしたテンポの、4拍子のロンド。
Ton simple (トン サンプル)
8拍子の同フレーズを2回ずつ繰り返す。
Ton double (トン ドゥブル)
以下のABで構成される。
- A:8拍子を2回繰り返す(Ton simpleと同様)
- B:8拍子の異なるフレーズを2回演奏する
最後に
今回ご紹介したほかにも、様々な種類の踊りやバリエーションがあります。
ぜひ、探してみてくださいね。