【全ハープ共通】レバー・ハープのレギュレーションの手順

ハープのレバーをかけた時に音痴になってしまう、そんなことはありませんか? もしそうなら、レバーの調整が必要かもしれません。定期的なレバーの調整を施すことで、良い音程を保つことができます。Dusty Strings社がホームページで公開しているマニュアルを許可を得て翻訳しました。ご自身でハープの調整ができるようにレギュレーションを学びましょう。

【全ハープ共通】レバー・ハープのレギュレーションの手順

ハープのレギュレーションとは、レバーとブリッジ・ピンが噛み合った時に、弦のピッチがちょうど半音上がるように、レバーとブリッジ・ピンをセットする作業です。ハープは製造時に調整されていますが、弦の張力に応じてレバー、ピン、サウンドボードの位置関係が少しずつ変化するため、定期的に調整する必要があります。調整が必要な頻度はハープそれぞれで異なるので、ご自身の楽器に調整が必要かどうかを知るには、レバーを下げた状態で各弦を正確に調弦し、次にレバーをかけて正しく半音上がっているかどうかを電子チューナーでチェックしましょう。正しく上がらない場合は、レギュレーションが必要です。

必要になりそうな工具一覧

ドライバーなどは日本のAmazon等で購入ができます。Dusty Strings社から取り寄せることもできます。

※7/64などは米国で用いられるサイズ(単位:インチ)を表しています

7/64 “ボールエンド ヘックス・ドライバー(ラブランド・レバーのネジ用)
5/32″ ナット・ドライバー(Dusty Strings 中ネジ ブリッジ・ピン用)
3/16 ” ドライバー(Dusty Strings大ネジ ブリッジ・ピン、26弦以上のハープ用)
5/32 ” オープン・エンド・レンチ(Dusty Stringsベベルブリッジ・ピン用)
1/4 “オープン・エンド・レンチ(ラブランド・レバーのハンドル用)
T8またはT9トルクス・ドライバー(カマック・レバーのネジ用)
オプションで T5、T6トルクス・ドライバー(カマック・レバーのハンドル用、あまり必要ありません)
4mm ナット・ドライバー(カマック・レバーのブリッジ・ピン用 – Dusty Strings以外のハープ)
5mm ナット・ドライバー(カマック・レバーのブリッジ・ピン用 – Dusty Strings以外ハープ)
6mm ナット・ドライバー(カマック・レバーのブリッジ・ピン用 – Dusty Strings以外のハープ)
電子チューナー

検索や注文時のための用語解説と英文

・ネジ screw
・ハンドル handle … レバーを操作する時に触る持ち手の部分のこと
・ヘックス・ドライバー hex driver … 先端が六角形のドライバー
・ナット・ドライバー nut driver … 先端がメス形状のドライバー
・トルクス・ドライバー torx driver … 先端が星型のドライバー
・ベベルブリッジ・ピン beveled bridge pin … 先端の尖ったピン
・オープン・エンド・レンチ open end wrench … いわゆるスパナのこと
・中ネジ ブリッジ・ピン medium threaded bridge pin
・大ネジ ブリッジ・ピン large threaded bridge pin

手順

1. わずかな調整で済む場合は、ブリッジ・ピンの高さを合わせることで、シャーピング・レバーを調整することができます。ブリッジ・ピンは弦をガイドするピンで、シャーピング・レバーとチューニング・ピンの間にあります。ほとんどのハープには、複数のサイズのブリッジ・ピンがあり、上記のリストを参考に、必要な工具を確認することができます。ネジ式のブリッジ・ピンは、時計回りに回すとネックにねじ込まれます。調整には六角形のピンに合ったサイズのナット・ドライバーを使用します。ベベルピン(上部がとがっているピン)の場合は、5/32″オープン・エンド・レンチを使ってピンの軸を握り、回します。(注意:すべてのハープにネジ式のブリッジ・ピンがあるわけではありません。丸いブリッジ・ピンを使用している場合は、回すのではなく、引き抜くか、叩いて入れる必要があります)

2. ほとんどの場合、レバーをかけた時の弦のピッチが、半音上よりも高くなりすぎていることが多いと思います。この場合、適切なナット・ドライバーを使って、上記のようにブリッジ・ピンの高さを下げます(時計回りに回すと、さらにハープネックにねじ込まれます)。その後、電子チューナーで再度、半音の正確性を確認します。ブリッジ・ピンを低くすることで弦の張力が若干弱くなり、レバーを操作したときに音程を上げる効果が弱まります。通常、1回以上回す必要はありません。

3. レバーをかけたときにピッチが半音よりも低めになることはあまりありませんが、同じ方法で対処できます。適切なナット・ドライバーを使ってブリッジ・ピンの高さを上げ(反時計回りに回す)、再度正確に半音上がるかどうか確認します。ブリッジ・ピンの高さを高くすると、弦の張力が若干高くなり、レバーをかけたときの音程を上げる効果が強まります。

4. レバーをかけていない時は、弦はカムとフレット(カムによって弦が押し付けられるスチール・ピン)の中間にあるのが理想的です(図参照)。弦がカム及びフレットのどちらかに寄りすぎていると、弦を弾いたときにどちらかに当たって雑音を発生させる(ビビる)ことがあります。レバーの位置があるべき状態よりも大きくずれ、弦がビビらない範囲内でブリッジ・ピンを上下させてもずれが改善されない場合は、レバー自体を上下にスライドさせる必要があります。

5. レバーの位置の調整は、特に中高音域においては、位置が少し変わるだけでも音程を高める効果が大きく変わるので、慎重に行う必要があります。ハープのネックにレバーを固定しているネジを緩め、レバーを上下にスライドさせます。このとき、レバーが弦と一直線になるように、また、弦の真下に来るように注意してください。またネジを締めるときはきっちり締めますが、締め過ぎないように注意してください。ネジ穴の山(ギザギザ)を削ってしまうと、レバーをネックにしっかりと固定することができなくなり、修理に時間がかかることになります。

6. レバーをかけたときに弦の音が高すぎる場合は、レバーをごくわずかに上(チューニング・ピンの方)に移動させる必要があります。レバーを締めたときに弦の音が低すぎる場合は、レバーをごくわずかに(サウンドボードの方に)下げる必要があります。

7. レバーの位置を移動させてだいたい半音上がる位置がわかったら、先程述べたとおりの手順でブリッジ・ピンで音程を微調整する必要があるかもしれません。

その他の注意点

ラブランド・レバーの場合、レバーが弦に対して正確に平行であること、そしてレバーカムの切り欠きが弦の真上にあることが非常に重要です。レバーが少しでも曲がっていたり、レバーの溝が弦の中心からずれていると、レバーをかけるたびに「ピン!」という音がします。

ラブランド・レバーのハンドルのタッチは、簡単にお好みのものに調整することができます。1/4インチのオープン・エンド・レンチを使い、ハンドル側面のナットを緩めたり締めたりすることで、レバーを倒しやすくしたり倒しにくくしたりすることができます。緩めすぎるとレバーの動きが悪くなり、音色が損なわれる場合があります。また、きつく締めすぎると、レバーを回すことができなくなります。

カマックのレバーでハンドルがグラグラする場合は、ハンドル側面の小さなネジをT6トルクス・ドライバーで締めるとよいでしょう。

レバーのハンドルにひびが入ったり、壊れたりした場合、通常はレバー全体を交換するのではなく、ハンドルだけを交換することが可能です。この場合は、ご自身の楽器のメーカーにご相談ください。

シャーピング・レバーには様々なサイズがあり、それぞれのサイズは狭い範囲の弦径に最適になるように設計されています。レバーやカムを交換する場合は、その弦に合ったサイズのものを購入するようにしてください。同様に、弦を交換する場合は、ハープメーカーが指定した弦を使用するようにしてください。弦とレバーのサイズが合っていないと、弦がビビったり、音色が悪くなったり、レバーが壊れたりすることがあります。

調整が終わったら、レバーかけない状態であっても、すべてのネジがしっかり締まっているかどうか確認することをお勧めします。ネジがひとりでに緩むこともありますし、レバーがハープにしっかりと付いている方が、良い音色を保つことができます。ただし、ネジを締めすぎると、ネジ穴を壊してしまうので注意してください。

Dusty Strings社ホームページの便利なリンク集

工具

https://manufacturing.dustystrings.com/products/a-la-carte-levering-regulation-tools


A la Carte Levering & Regulation Tools

ブリッジ・ピン

https://manufacturing.dustystrings.com/products/threaded-harp-bridge-pins


Threaded Harp Bridge Pins

メンテナンスとトラブルシューティングの情報: (英文)

https://manufacturing.dustystrings.com/harps/maintenance-troubleshooting