コンサーティーナの蛇腹から空気漏れ?不良品だと考える前に知っておきたいこと

コンサーティーナの初心者で、すぐに蛇腹が開ききって(または閉じきって)しまい、弾きにくいと感じられている方がいらしゃるかもしれません。

自分の楽器の蛇腹が緩いと感じたら、不良品だと判断する前に、蛇腹について知っておきましょう。

空気漏れイコール不良品?

いいえ、コンサーティーナはある程度は空気漏れするのが普通です。

驚かれたでしょうか?

まず、空気がどのようにしてコンサーティーナの内外を行き来するのかを考えてみましょう。

コンサーティーナで空気が通過する器官は、リードとパッドの2箇所です。

リードは空気を通す構造

コンサーティーナは、発音器官であるリードをたくさん備えた楽器です。

通常、30ボタン・アングロコンサーティーナでは1つのボタンに対して2枚のリードが割り当てられているので、60枚のリードがあることになります。

リードが発音するためには、薄い金属片であるリードの「舌」の周りを空気が通過して、リードを震わせる必要があります。

リードは本来、空気を通すものだということを認識しましょう。

パッドの気密性

リードに空気を通すための弁の役割をするのがパッドです。

30ボタンのコンサーティーナには、エアボタンを含めると31個のパッドを備えています。

パッドは棒状の金属部品であるアームにくくりつけられており、アームはボタンの運動に付随して上下します。

ボタンを押すとアームとパッドが同時に持ち上がり、パッドが通気孔を開放して、空気がリードに流れ込む仕組みです。

一度上がったパッドは、ボタンから指を離すとバネの力によって戻り、再び通気孔を閉じます。

通常アームはバネの力によって下がった状態になっており、パッドが通気孔を押さえつけることで、ある程度の気密性を保っています。

パッドは蛇腹を広げる動き(外からの空気を蛇腹に取り込む際)にはしっかりと空気の流れを遮断しますが、蛇腹を閉じる動き(蛇腹の中の空気を排出する際)に対してはパッドが下から空気により持ち上げられる状態になるため、完全に空気漏れを防ぐことはできません。

そのため上級機種であっても、ボタンをひとつも押さない状態で蛇腹を閉じたり開いたりする場合、少しずつ空気が漏れます。

完全に気密にするにはバネをものすごく強くすると良いのですが、そうするとボタンを押した時に強い力が必要となり、弾きにくくなってしまいます。

あるいはパッドをシリコン製にするなど素材を変えることや、パッドが隙間なく沈み込むような通気孔を掘るなど構造を変える方法もあるのかもしれませんが、そのような楽器には出会ったことがありません。

楽器をひっくりかえす気密テストは正しいか

よく知られた機密テストの方法として、コンサーティーナの蛇腹を閉じた状態でひっくり返し、自重により完全に蛇腹が開ききるまでの秒数を図るというものがあります。

しかし、これはエンド(両端の部分)の重さが楽器によって異なるため、正しい評価は難しいと思われます。

つまりエンドが重いほど、蛇腹は速く開きます。

完全な条件で気密をテストしようと思うなら、蛇腹だけを取り出して気密テストしたり、一つ一つのパッドの気密テストをする必要があり、そう簡単ではありません。

ただし、何もボタンを押していないのに異常だと思えるほどに蛇腹がすぐに開ききる(あるいは閉じきる)という場合は、パッドや蛇腹の空気漏れが疑われますので、修理に出したほうが良いでしょう。

蛇腹が閉じやすい楽器は不良品なのか

以前に当店のお客様から、当店で取り扱っているIrish Concertina Companyの楽器の蛇腹が空気漏れを起こしているという指摘を受けた際に、代表のSwean Garvey氏に報告したところ、以下の通り回答をいただきました。

蛇腹が閉じやすいことをどう感じるかどうかは奏者の好み次第です。

動かしやすい蛇腹が酷く空気漏れをしているというわけではありません。

動かしやすい蛇腹は軽く演奏ができ発音や強弱のコントロールがしやすいという利点があります。

反対に動かしにくい蛇腹は操作が硬く腕力がいるため弾きにくいと感じる奏者もいます。

当店の蛇腹はアイルランド人の好みに合わせて柔らかめに設定していますが、サマースクールなどで当店の楽器を演奏した日本人の反応を見ると日本人は硬めの蛇腹を好む傾向があるようです。

なお、動かしやすい蛇腹の楽器については、替え指やエアボタンの操作をマスターすることによって不自由は感じられなくなるとのことでした。

購入の判断基準は

初めての楽器を購入する際にベストなのは、経験豊富なコンサーティーナ奏者に店頭で楽器を選んでもらうことです。

それが不可能なのであれば、よく整備された楽器を一台レンタルしてある程度蛇腹の扱いに慣れておき、自分なりの弾きやすさの判断基準を持ってから選ぶと良いでしょう。


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以上、今後の楽器選びの参考にしてくださいましたら幸いです。

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