以前、「Wrenコンサーティーナのボタン位置調整 」という記事をご紹介しました。
https://celtnofue.com/blog/archives/2210
この記事では、レバーの上に取り付けられたボタンの前後位置を調整することでボタンのひっかかりを解消しました。
今回お客様から報告された同様の異常も同じ対処法で簡単に修理ができると思っていたのですが、若干異なる修理が必要となりましたのでレポートします。
今回の症状は、同じく「押したボタンがひっかかって戻らなくなる」というものでした。
1.ボタンが戻らない
まず、問題のあるボタンの位置を特定します。
2.問題のボタン
今回は左手の下列左から2番目でした。目視するとボタンが孔の上にはスキマがあり、下のほうにひっかかっているのが確認できます。矢印の方向に上のボタンを移動させれば解決するはずです。
ご家庭の普通にあるようなプラスドライバーで開封。
3.開封
開封した際に、問題のボタンの場所を再度確認します。
4.問題のボタン
ボタンの前後位置を調整して、フタをしめて、演奏してみて、改善したかどうかを確認しました。これで解決!「たった10分で修理完了!」と報告するつもりだったのですが、ボタンを強く押しこむと、やはり戻らなくなってしまいました。
どうやら、押したときにボタンがあるべき深さよりも深く入りすぎてしまうようです。
深く入る原因は、この問題のボタンが取り付けられているレバーを含む、何本かのレバーの端が短くカットされているためで、短いとレバーを取り付けているバーで止まらずに、レバーが最後まで(リードパンの木部にまで)下がり、結果、カバーを超えてボタンが深く入り込んでしまいます。
この個体だけがレバーがカットされている不良品なのかと疑いましたが、当店の他の製品を開けて比較してみると、まったく同じでした。
構造上または製造上の理由があって、レバーをカットしているのでしょうか……?
5.ボタンを取り出す
さて、深く押せないようにするにはどうしたらよいか思考しました。レバーの下に何か障害物を取り付けて、レバーが下がらないようにしたらよいのかな? と思いましたが、技術的に不可能そうだったので、ボタンのほうを調整して改善を試みることにしました。
まず考えたのは、ボタンがレバーの上をすべって位置がずれてしまうので、ボタンをハンダ付けして、押下したときにボタンがレバーを滑らないようにしたらよいのか? とも思ったのですが、ハンダがありませんし、もし間違った修理をしてしまったら、元に戻せないリスクがあります。
採用した解決法は、ボタンとレバーを留めている金属部分に、バーク・ホイッスルの修理用にストックしているゴム製オーリングを巻いて、押下したときにボタンが下がらないようにすることでした。
6.オーリングをはめる
これにより、ボタンの高さが安定して、強く押しても下がらないようになりました。
7.直りました!
もし、Wrenコンサーティーナでボタンがひっかかる症状が現れた方は、この方法も試してみてください。
オーリングは、針金などでも代用できます。
- 好評をいただいているMcNeela製のコンサーティーナにつきまして、本記事以外にも複数の初期不良・故障が発生しております。そのため、当店にて対象製品をご購入されたお客様に下記サポートをさせていただきます。
https://celtnofue.com/blog/archives/2419
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