バウロンのお手入れに関するヒント


出典 https://blog.mcneelamusic.com/

アイルランドの楽器メーカーMcNeelaが公開しているブログの中から「バウロンのお手入れ方法」についてまとめた記事を、許可を得て翻訳しました。

原文:Top Tips for Caring for Your Bodhran

FAQ – バウロンのお手入れに関するヒント

バウロンを大切にするためにできる最善のことは、その革の手入れを学ぶことです。

バウロンの革は、バウロンの中で最も重要な部分です。革はバウロンの音質を決定しますし、それだけに最も気難しい部分でもあります。バウロンの革は山羊の皮から作られており、山羊が頑固なのは有名です。

よくお客様から、新しいバウロンのお手入れ方法について質問を受けます。そこで、お客様の疑問にお答えし、楽器を最高の状態に保つことができるよう、この便利なガイドをまとめました。

バウロンの慣らし運転について

新しいバウロンの革を使いこなすことは、新しい靴を履きこなすことに似ています。バウロンを演奏すればするほど、その革は馴染んでいき、より良い音を奏でることができます。

良いコンディショニングは、慣らし運転のプロセスを大いに助けてくれます。それにぴったりのものがあります。当店のバウロン・クリームです。

バウロン・クリームは、ランベグLambegを含む高級なバウロンの山羊革のためにアイルランドで特別に開発・製造されたバウロン・コンディショニング・クリームです。

このクリームにはラノリンと蜜蝋が含まれており、バウロンの革に潤いを与え、滑らかでしなやかな革に仕上げ、張りを与えます。定期的にお使いいただくことで、バウロンの革を長持ちさせ、穴が空いたり破れたりするのを抑えることができます。

ラノリンクリームやグレープシードオイルは、バウロンの革に安全に使用できる適切な代替品です。


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バウロン・クリームの使い方

バウロン・クリームを容器から少量取り、指を使ってバウロンの前面の革膚にマッサージするだけです。大きな円を描くようにして、クリームを革に広げます。その後、一晩置いて染み込ませます。

翌日に柔らかい布(リントフリー、糸くずの出ない繊維が理想)で円を描くようにして革を拭き、余分なクリームを取り除きます。革が乾いてベタつきがなくなるまでこすり続けます。革の感触や質感だけでなく、音にもすぐに違いが出てきます。

バウロンの革の表側のみに塗ることをお勧めします。チューニングできないバウロンの場合は特にそうしてください。なぜか? クリームは水分の吸収を妨げます。チューニングできないバウロンの音色を調整するには、水分を吸収することが必要になります。チューニングできないバウロンの音色を調整する最も簡単な方法は、霧吹きで革を濡らすことだからです。

どのくらいの頻度でバウロンの革を手入れすればいいのでしょうか?

乾燥した気候の地域にお住まいの方は、より頻繁にバウロンの革のケアを行う必要があります。最低でも月に1回、革の乾燥具合に応じてもっと頻繁に行います。自分の肌と同じように、バウロンにも気を配ってあげてください。

湿度の高い地域にお住まいの場合は、バウロンのお手入れの頻度を減らす必要があります。月に1回程度にしておきましょう(革が乾燥していて、どうしても水分を必要としている場合を除く)。

しかし、冬に乾燥し、夏に湿度が高い地域にお住まいの場合(訳者注記:まさに日本のことですね)は、冬の乾燥した時期にバウロンのお手入れをしすぎないように注意してください。

なぜでしょう? バウロンは、湿度と温度の両方の変化に対する反応が異なるからです。乾燥した環境では、革の水分が失われ、革が引き締まって音程が上がります。湿度の高い環境では、革が水分を吸収し、膨張して緩み、音程を下げてしまいます。

バウロンには、温暖な気候と適度な気象条件が理想的です。残念ながら、これは私たちにはコントロールできません。しかし、私たちはバウロンの手入れの仕方を学び、天候の変化に対応することができます。そうすれば、どんな状況でも最高のサウンドで演奏することができます。


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バウロンの革を引き締める方法

すべてのマクニーラ製バウロンは、気候の違いによる革への負担を避けるため、テンションを緩めた状態で出荷されます。新しいバウロンが届いたら、環境に合わせて革の張力を調整する必要があります。

チューニング可能なバウロンの革を締めるには、それぞれのネジを時計回りに半回転ずつ回してテンションを広げます。バウロンの演奏者の中には、対角線にあるチューナーを交互に回すことで、均一なテンションを得ることを推奨する人もいます。

チューニングペグを使用する際は、締めすぎないように注意してください。テンションが高すぎると、どんなに優れたバウロンの革でも伸びてダメージを受けてしまいます。

最初はチューニングが必要なものもありますが、時間が経てば落ち着き、安定します。


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チューニングできないバウロンをチューニングする方法

チューニングできないバウロンの革が非常に緩んでいる場合は、湿った布で優しく擦るか、水を入れたスプレーボトルで霧吹きをしてください。

ドライヤーやラジエーターなどの弱い熱源の近くで、しばらくの間、バウロンを放置します。慎重に加熱してください。温まると、まず革が緩み、音程が下がります。しかし、一旦熱源から離すと、冷めるにつれて革が締まり、音程が上がります。


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あなたのバウロンの正しいテンションとは?

覚えておいてほしいのは、革が硬いほど音の高さが高くなるということです。緩めれば音程は低くなります。豊かで深みのある低音と演奏のしやすさのバランスがとれるまで、調整を続けてください。

バウロン奏者の中には、より低音を好む人もいれば、トップエンドの演奏を可能にするためにテンションを上げることを好む人もいます。その選択はあなた次第です。自分の演奏に最も適したテンションを見つけるには、多少の試行錯誤が必要かもしれません。

最も重要なことは、革が全体的に均一なテンションを持っていることです。つまり、片側だけがきつくなったり、緩んだりしないようにすることです。


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バウロンの保管方法

演奏後ケースにしまう前に、チューニングのネジを少なくとも1回転させて革のテンションを下げてください。そして次に演奏するときには、ネジをちょうど1回転させるだけでよいのです! 少なくとも理論上は。天候の変化によっては、その都度少しずつ調整する必要があるかもしれません。

しかし、バウロンのトップ・プレイヤーであるロナン・オスノディRónán Ó Snodaigh氏は、バウロンをケースにしまわないことを提案しています。バウロンのマエストロは、バウロンを手の届くところに置いておくことで、より頻繁に演奏できるようになると言っています。

もしあなたがロナンの言う通りにするのであれば、その場所を慎重に選ぶ必要があります。不器用な人がバウロンに足を突っ込んでしまわないように、楽器スタンドを使うことをお勧めします。私も経験がありますが、いまだにそのショックから立ち直れません。

バウロンの保管に適した環境とは?

バウロンは、温度が均一な涼しい場所に保管してください。バウロンは必ずケースギグバッグに入れて保管してください。予期せぬ衝撃からバウロンを守り、温度や湿度の変化からもバウロンを保護します。

すべてのMcNeela バウロンには、無料のギグバッグが付属しています。高品質のギグバッグは、お持ちのバウロンを長持ちさせるための確かな投資です。

極度に乾燥した気候の地域にお住まいの方は、バウロン(およびその他の木製楽器)を加湿器と一緒に保管することをご検討ください。同様に、極端に湿度の高い地域にお住まいの方は、除湿器をお使いになるとよいでしょう。あるいは、アイルランドへの移住を検討してみてはいかがでしょうか?

長距離を移動する場合も、同じルールが適用されます。


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バウロンの革をはずす方法

時折、古いバウロンの革が反り返ってゆるくなり、音色や鮮明さが失われることがあります。そのような場合でも、絶望しないでください。お手持ちのバウロンの革を張り替えることができます。

McNeela Instrumentsでは、すべてのメーカーとモデルのバウロンに新しい革を提供し、装着することができます。ご連絡いただければ、お使いの古いドラムに新たな命を吹き込みます。

もし、あなたの愛用の楽器が何らかの理由で修理不能になった場合(おそらく、何度もセッションをしたり、ワイルドな夜を過ごしたりしたことが原因でしょう)、当社のオンライン・バウロン・ストアで、高品質でお求めやすい価格のバウロンをいつでもご覧いただけます。あらゆるレベルのプレイヤーに適した製品をご用意しています。

どの楽器が自分に合っているかわからない場合は、私のブログを読んでみてください。
The バウロン Maker’s Guide to Buy a バウロン(バウロンメーカーによるバウロン購入ガイド)をご覧ください。