コンサーティーナのお手入れ方法


出典 https://blog.mcneelamusic.com/

アイルランドの楽器メーカーMcNeelaが公開しているブログの中から「コンサーティーナのお手入れ方法」についてまとめた記事を、許可を得て翻訳しました。

原文:How to Care for Your Concertina

コンサーティーナのお手入れ方法

コンサーティーナは、イギリスのヴィクトリア朝時代に、小さな機械への熱狂から生まれた、多くの繊細な可動部品からできた複雑な楽器です。そのすべてが、蛇腹からリードに空気を送り込むことで音を奏でるように設計されています。

アングロ・コンサーティーナには無数の可動部があり、コンサーティーナが効率的に作動するためには、これらの部品が最適に機能しなければなりません。

コンサーティーナは温度や湿度などの環境の変化に影響を受けやすく、また、乱暴な扱いにも敏感で、衝撃に弱い楽器です。

楽器の保管方法

以下に、コンサーティーナの収集家・修理士であるクリス・アルガーChris Algar氏による、コンサーティーナをより長く最高の状態に保つための保管方法を記します。この方法は、スムーズなアクションと演奏性を維持するのにも役立ちます。またコンサーティーナに不具合が出た場合のために、簡単な修理方法もご紹介しています。

* 演奏しないときは、コンサーティーナをハードケースに入れ、蓋をして保管ください。これは、コンサーティーナの複雑な内部構造にホコリや砂が入り込むのを防ぐためです。

* 極端な温度と湿度を避けてください。ハードケースに入れたコンサーティーナは、18℃以上25℃以下の室内で保管することをお勧めします。極端な温度や湿度の変化は、コンサーティーナの可動部分に歪みを生じさせ、修復不可能になることがあります。

* 湿度も一定に保つ必要があります。湿度が40%以下になると、部品の状態が変化したり、リードパン(リードを備えている木の板)に影響を与えたりして、演奏に支障をきたす場合があります。

* 冬の間は、楽器を保管している部屋のラジエーター(温水循環ヒーター)の近くに水を入れたトレイを置いて、空気の乾燥を防ぎます(訳者注記:アイルランドの記事ですので、エアコンが普及している日本では加湿器を併用すると良いでしょう)。アメリカの東海岸にお住まいの方は、冬の間の湿度の低さがコンサーティーナの内部損傷につながる可能性があるので、特に注意してください。

* 蛇腹が閉じた状態で保管ください。蛇腹がきちんと圧縮されるように、楽器にしっかりとしたゴムバンドを巻いてから、コンサーティーナをハードケースに収納しましょう。圧縮しておくと、蛇腹がケースの中でひとりでに開いて弾力性を失うのを防ぎ、コンサーティーナの機能が失われることはありません。

破損したコンサーティーナのリードの修理方法

輸送中の衝撃によりリードが外れたり、ずれたりすることがあります。わずかなリードのズレでも、雑音が出たり、全く音が出なかったりと、音の出方が悪くなることがあります。

このような場合には、以下の手順で修理してください。なお、以下の手順は、Wren コンサーティーナ(ケルトの笛屋さんのFurzeと同ランクの製品)専用です。その他のメーカーやモデルの楽器を自宅で修理する場合は、専門家のアドバイスを受けてください。(訳者注記:リードパンへのアクセス方法は機種により異なる場合がありますが、リードの清掃については他機種でも参考になるでしょう。)

ステップ1  ビデオをご覧ください。

ステップ2 簡単な手順をご紹介します。

カバー(エンド)のネジを外し、アクション・パン(アームなど可動部分がついた板)を外して裏返し、リード・パン(リードがついた面)を見ることをお勧めします。リード・パンとリード・トングの周りに埃や砂がないか見て、エアダスター・スプレーで優しく吹き飛ばして取り除きます。


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ドライバー、またはナイフでリードを緩めます(上記動画を見てください)。そして指で、雑音が出たり音が出なかったりするリードをはじき上げます。音高はリードに記されています。

それを裏返して、上のビデオで説明されているようにテストします。ブーンという音が聞こえてくるまで、リードを左右に少し動かしてはじき出す必要があるかもしれません。その音が聞こえたら、リードは動作しているはずです。

カバーを閉じて、音を確認してください。

リード・パンを再固定するために、ワックスを少し温める必要があるかもしれません。ドライヤーで少し温めれば完璧です。


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コンサーティーナのボタンが固まってしまった時の修理方法

原因と修理方法

コンサーティーナのボタンが固まってしまう原因は、4つあります。いずれも簡単に修理できますので、ご安心ください。

コンサーティーナのボタンが固まる原因は、以下の通りです。

  • 1. ボタンに余分な接着剤がついている
  • 2. レバーパッドに問題がある
  • 3. レバーの位置がずれてしまっている
  • 4. レバーのスプリングに十分なテンションがかかっていない

ここでは、それぞれの問題に対処し、コンサーティーナを完璧に機能させるための修理方法をご紹介します。最初に、ボタンが固着している場合は、問題が発生しているコンサーティーナのカバーを慎重に取り外す必要があります。ドライバーを使って、コンサーティーナのカバーにある各ネジを緩め、持ち上げて外します。


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次に、ボタンが固着している原因を調べます。問題を起こしているボタンと、完全に動作しているボタンを比較します。これは、ボタンがどのように動作するかを見るお手本になります。コンサーティーナのボタンは写真のようになっています。


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次に、ボタンやレバーに次のような問題がないか調べます。

1. ボタンに余分な接着剤がついている

ボタンに余分な接着剤が付いていて、それが原因でボタンが動かなくなっている可能性があります。ボタンやレバーに余分な接着剤が付着している場合は、軽くやすりをかけて接着剤を取り除いてください。

2. 対応するレバーパッドに問題がある

アクションパンのこのボタンのパッドに問題がある可能性があります。輸送中に位置がずれてしまい、対応する穴を完全に覆っていない可能性があります。そのため、パッドが横のパッドに引っかかり、ボタンが動かなくなっている可能性があります。このような場合は、レバーを軽く曲げて、パッドが穴を完全に覆うようにしてください。穴を完全に覆うためには、レバーを左か右に少し曲げなければならないかもしれません。このような場合には、完璧に動作しているレバーと比較して、それに合わせるようにするのが良い経験則です。レバーの動きが良ければ、スムーズに移動でき、パッドを穴に合わせることができます。


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すべてのボタンは、上の写真のように、互いに平行に配置されている必要があります。

エンドプレートを元の位置に戻すときは、ボタンがすべて直立していることを確認し、ゆっくりと元の位置に戻します。これには多少の時間と集中力が必要ですが、それほど難しいことではありません。

3. レバーが外れてしまった場合

Wrenコンサーティーナでは、ボタンは平行に配置されたレバーの上に置かれています。レバーの長さは決まっていて、アクションパッドにぴったり収まるようになっています。

しかし、輸送中のわずかな衝撃でも、ボタンがずれてしまうことがあります。そうすると、ボタンのあるレバーの端が、レバーを置いている金属棒に引っかかってしまいます。

これは、エンドプレートを外した状態でボタンを押すと、ボタンが下に突き刺さってしまうことでわかります。下の写真を参照すると、アームが引っかかっている箇所がわかります(赤丸で囲ってあります)。


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これを解決する方法はとても簡単です。まず、レバーを動かさないようにしてください。

代わりに、ペンチを使って、このレバーの端をほんの少しだけ切り取ります。ほんの少しの調整で、このボタンが動かなくなります。


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注意:切りすぎると、ボタンがレバーにきちんと収まらなくなるので注意してください。

4. レバーのスプリングに十分な張力がない

このボタンのバネに問題があり、パッドが穴に十分な圧力をかけられないことがあります。この場合、交換用のスプリングをお買い求めください。

(訳者注記:ケルトの笛屋さんではコンサーティーナの部品もお取り扱いしております。
https://celtnofue.com/store/concertina.html