町にあふれる音楽:松井ゆみ子

ライター:松井ゆみ子

すでにアイルランドでは平常生活に戻り、音楽シーンも復活しています。

伝統音楽のフェスティバルやサマースクールも目白押し。

クランコラの編集長hataoさんから、日本でもフェーレが3年ぶりに開催されたと聞きました。サイトをチェックしてみたら、なんと!フィドルのオシーン・マーフィが参加していたのですね!スライゴースタイルの演奏を体験できる素晴らしいチャンスだったと思います。

アイルランドの伝統音楽の祭典Fleada Cheoil (フラーキョール)も戻ってきます。日程は7月31日から8月7日、開催地はMullingar(モリンガー)。初めてフラーキョールが開催された町で悲願達成。”The Home Coming”とサブタイトルをつけられている理由は、拙著「アイリッシュネスへの扉」で書きましたのでぜひご一読くださいませ。

メインのフラーキョールに先駆けて、スライゴーではConnacht Fleadh (コナクト・フラー)が開催されています(6月20日~7月3日)。

音楽とダンスのコンペティションが大きな目的のイベントで、いわば地区予選を勝ち抜いてきたツワモノたちの準決勝戦。このあと、Munster(マンスター)フラーが7月13日~16日、Ulster(アルスター)フラーが7月17日~24日と続き、Leinster(レンスター)フラーはメインのフラーキョールと同じ地域なので同時開催。中部域が伝統音楽であふれる状況はとても珍しいので興味津々です。

コナクト・フラーではコンペティションの他に、コンサートはもちろんですが地元スライゴーの歴史のレクチャーもあり、テーマは移民、貿易、港。スライゴーの港は貿易港として重要な役割を果たしていました。じゃがいも飢饉時に多くのアイルランド人をアメリカやカナダに送り出した港でもあります。音楽イベントに、こういうアカデミックなレクチャーを組み込むのは、この国らしくて素晴らしい。

コンサートは地元陣ダーヴィッシュのキャシー・ジョーダンやシェイミー・オダウドをはじめ、ホットハウス・フラワーズも登場します。もちろんオシーンの参加するTeadaも。

Facebookが充実しているのでチェックしてみてください。

https://www.facebook.com/ConnachtFleadh/

フィドルのベン・レノンを偲んでチャーリーとブライアン・レノン兄弟が演奏したコンサートの模様なども見られます。

コナクト・フラーに因んだのか、スライゴー西部の小さなヴィレッジでもトラッド・フェスが開催されました。行くことができずに残念。せめて内容を知りたくてググってみると、”Benbulben Comhaltas”(ベンブルベン・キョータス)というCCEの支部が近くにあるのを発見。スタートのが2015年で、ロックダウンの影響も受けていますから実動5年ほどの若い支部。

Maugherow(マハラウ)というエリアにあるEllens(エレンズ)pubで定期的にセシューンが行なわれていると聞いていましたが、ここを拠点のひとつにしているのでしょう。

エレンズパブは1600年代にオープンした、アイルランドでも屈指の古いパブなのだそう。ようやくパブに入れる日々が戻ってきたので、ぜひとも訪れたいお店です。あ、決まりがあって「来店時には、音楽を演奏するか詩を朗読しないといけません」。練習しておかなきゃ!

Benbuluben ComhaltasのFacebookが素晴らしいので、ご覧ください。

https://www.facebook.com/CCE.IE

こんなに小さなエリアでも、こんなにたくさんのこどもやティーンエイジャーたちが伝統音楽に親しんでいるのだと驚くとともに、この国の音楽が廃れることなく続く理由を実感しています。

https://traditionalirishmusicschool.com/irish-music-summer-schools.html

恒例のサマースクールの数々です。それぞれのwebsite で開催時の模様などがお楽しみいただけると思いますし「いつかこれに行ってみよう!」と、今後の参考にしてくださいませ。