Eileen Og:松井ゆみ子

ライター:松井ゆみ子

最近、口ずさむことの多いチューンがEileen Og (アイリーン・オーグ)。Ogeと綴られることもありますが、綴りだけでなく曲名もいくつかあってThe Pride of PetravoreあるいはMcGrath the cattle jobberとも呼ばれます。いずれも歌詞の中からの引用で、チューンのタイトルはニックネームみたいなものなのですね。

まずはゴキゲンなヴァージョンをダーヴィッシュDervishのキャシー・ジョーダンのヴォーカルで。こちらはThe Pride of Petravoreと題されています。

右端にシェイミー・オダウド、その隣がリック・エッピン、チェロのアンとスライゴー仲間が勢ぞろいしています。

このチューンに興味を持ったのは、来日したばかりのフィドラー、オシーンが在籍するグループTéada(ティアーダ)のニュー・アルバム”Coiscéim Coiligh / As The Days Brighten”に収録されていると知ったから。

Téadaのアルバムはこちらで視聴できます。
https://teada.bandcamp.com/album/coisc-im-coiligh-as-the-days-brighten?pk=595

CDはお店で買うのが趣味&主義で、スライゴータウンには、The Record Room Music Shop というとっても素敵なCDショップ兼楽器屋さんがあるためまだ入手していないのですが、シカゴ出身の著名シンガーで俳優のジョン・ライリー John C.Reillyがゲスト参加してEileen Ogを歌っているという記事をどこかで見たのが興味を持つ始まり。同曲にはTéadaのメンバーのひとり(!)シェイマス・ベグリーSeamus Begleyの演奏も。

このチューンは、アイルランドの有名な作曲家パーシー・フレンチ Percy French (1854 – 1920) が古いチューンからリ・アレンジしたもので、ダブリナーズThe Dubliners の演奏で広く知られています。

垢抜けない曲なのですが、聞くのも歌うのも演奏するのも楽しいチューン。なんだか元気が出るのですよね。暗いニュースばかりが目立つ日本で、ぜひとも演奏していただきたいと思うチューンです。演奏のお手本はこれがよさそう。

シメはランカムLankumのヴァージョンで。

彼らのアプローチはいつも斬新で、衝撃的と言ってもいいくらい。このチューンをとりあげたこと自体に興味津々です。

Eileen Ogを知らしめたのはダブリナーズですが、個人的にはずっと、典型的なパブミュージックの印象で実は苦手でした。なのに最近、ルーク・ケリーがかっこいい、と思えるようになっており。わたしのアイルランド人化が進んでいるのかな。ロニー・ドリューの方はまだ未消化のままです。

追記
パーシー・フレンチは画家でもあり、ネットで見ただけですが、印象派の影響を組み入れつつもクラシックな作風で素晴らしいです。多彩さに驚愕。

ところでヨーロッパは猛暑と報道されるなか、アイルランド北西部は置き去りにされたかのように冷夏が続いています。特にうちのあたり、カウンティ・スライゴーのはずれだけ太陽に見放された感じ。ダブリンでも暑い日があったと聞いているし、地元ラジオで「今日は晴れた」とか言っていて、思わず「うっそー!」と叫びました。同じ日にここクリフォニーは小雨で寒かった。

7月。夜はまだしばしヒーターを使っています。洗濯物と家の湿気取りのためなのですが。暦の上で8月はすでに秋の始まり。ですが、しばしば9月に夏の陽気が戻ることがあるので今年もそれに期待しているところです。