出典 https://blog.mcneelamusic.com/
アイルランドの楽器メーカーMcNeelaが公開しているブログの中から「フィドルとヴァイオリンの違い」についての記事を許可を得て翻訳しました。
原文:FAQ: Top 5 Questions About Irish Violins & Fiddles
フィドルとヴァイオリンの違いは何ですか
「フィドルとヴァイオリンの違いは何ですか?」と聞かれるたびに1ペニーコインをいただけるのだとしたら、今やたくさんのペニーを持っているでしょう。まあ、今となってはペニーは何の役にも立ちませんが……(訳者注:それだけ良く聞かれるという意味のアイルランド式のジョークでしょう)。
しかし、私はいつでも将来のお客様の質問に喜んでお答えしますし、フィドルとヴァイオリンの違いに関してはたくさんの疑問を持つものです。そこで、よくある質問に答えるために、このすぐにわかる簡単なFAQを作成することにしました。もし、下記に答えが見つからない場合は、ご連絡ください。楽器のことなら、いつでもお気軽にご相談ください。
1. フィドルとヴァイオリンの違いって?
簡単に言うと、同じ楽器です。フィドルとヴァイオリンは、ヴァイオリン属の中で最も小さな楽器を表す言葉です。どちらの用語を使うかは、演奏する音楽のスタイルによって異なります。
例えば、アイルランドの伝統的なミュージシャンは自分の楽器をフィドルと呼びますし、他の多くの文化圏の民族音楽家も同じように呼びます。ブルーグラスやカントリー、時にはジャズのミュージシャンも、自分の楽器をフィドルと呼びます。
クラシック音楽では、ヴァイオリンと呼ばれます。実際、クラシック音楽のヴァイオリニストを困らせるのに、ヴァイオリンのことをフィドルと呼ぶほど手っ取り早い方法はありません。
しかし、フィドルとヴァイオリンの演奏方法には大きなスタイルの違いがあり、その結果、演奏者によって楽器のセッティングが異なる場合があります。例えば、フィドル奏者は、ダブルストップやドローンを容易にするために、より平らなブリッジを好むかもしれません。
このような魅力的なスタイルの違いについて詳しく知りたい方は、私のブログ記事をご覧ください。
What’s The Difference Between a Fiddle and a Violin?
2. ヴァイオリンとフィドルどっちが簡単?
この大変な問題にわざわざ足を突っ込みますが、私の意見では、フィドルの方が習得しやすいと思います。
それはなぜか? クラシックのヴァイオリンの先生はテクニックに厳しいですし、当然そうでしょう。正しい姿勢、弓の持ち方、指の置き方、手首の張り方など、様々なことを生徒に教えます。
アイリッシュフィドル奏者の多くはテクニックの重要性を理解していますが、同じようにテクニックに重点を置いているわけではありません。その代わりに、曲やその歴史、音楽そのものの様式的特徴が優先されることが多いのです。
結局のところ、アイルランドの伝統音楽は、小さな家のキッチンで演奏され、耳から耳へと代々受け継がれてきた口承の音楽なのです。ここ数十年の間に、劇場やコンサートホールの舞台で演奏されるようになり、よりフォーマルなものになりましたが、もともとは地味な芸術でした。最近では、アイルランドの伝統音楽家の多くがクラシック音楽の訓練を受け、確かな技術を身につけていますが、それでも、テレマンの「ブーレー」よりもアイルランドのポルカ「ブリッチズ・フル・オブ・スティッチズ」の方が早く覚えられると私は思います。
3. ヴァイオリンとフィドルは同じ音がする?
楽器自体は(どちらもヴァイオリンなので)ある程度同じに聞こえます。しかし、それぞれの楽器で演奏される音楽のスタイルや、使用される演奏スタイルによって、出る音に影響があります。
良質のヴァイオリンまたはフィドルは豊かな響きと音量を持ち、暖かみのある音色を奏でるでしょう。弦のバランスも良いので、各弦の音が同じ音量、同じ質感となります。弦は楽器の音色を決定する最も重要な要素の一つです。ヴァイオリンの弦についてもっと詳しく知りたい方は、私のブログ記事をご覧ください。
Everything You Need To Know About Violin Strings
4. フィドルは何でできている?
ほとんどのヴァイオリンやフィドルは、どれも同じ種類の材木で作られています。これにはスプルースの表面板、メイプルのネックとバックとサイドが含まれます。木材の質は大きく異なります。この品質は、通常、楽器の価格に反映されます。
・スプルース・トップ/サウンドボード
スプルースは強靭で緻密な木材で、何百年も前からヴァイオリン製作に使用されてきました。楽器に必要な強度を持ちながら、密度が高いため、優れた響きを得ることができます。
・メイプルのネック、バックとサイド
ネック、バック、サイドには、見た目と音色の良さで選ばれたメイプル材を使用しています。
・エボニーの指板
指板にはエボニー(黒檀)を採用します。テールピースもエボニーで作られることがありますが、この材料はヴァイオリンの部品の中で最も頻繁に変更されます。
5. フィドルはいくらする?
良質の楽器を手に入れるために大金を費やす必要はありません。とはいえ、一番安いブランドを選ぶのは、あまり良い考えとは言えません。以下に価格帯を提案していますので、各レベルに対してどのくらい費やせばよいのかという手がかりを得られることでしょう。
初心者、学生のフィドルは$750/€750以下
質の良い初心者用ヴァイオリンは$750/€750以下で購入することが可能です。この価格帯のヴァイオリンは、小さなお子様や、ヴァイオリンを習いたいけど、長く続けられるかどうか全くわからないという方におすすめです。
中級者は$750/€750 から$2,000/€2,000
フィドルやヴァイオリンが自分に向いている楽器だとわかっていて、長期的に続けたい場合は、最初からより質の高いレベルの楽器に投資することを検討してみてはいかがでしょうか。このレベルの楽器は価格に大きな差があります。上限はご自身のご予算次第です。高価なヴァイオリンだからといって、必ずしも安価なモデルより優れているとは限りません。あくまでも個人の好みです。
上級者は$2,000/€2,000 から$10,000〜/€10,000〜
この価格帯のヴァイオリンは、楽器の美しい響きを実現する方法を知っている上級者に最適なモデルです。しかし、自分の演奏に長期的な投資をすることは悪いことではありません。
出典 https://blog.mcneelamusic.com/
どこで買えば良いか
フィドルを購入する際は、経験豊富な楽器メーカーや職人から購入するのがベストです。
アイルランドにお住まいの方なら、DrumcondraのCrehansか、ここBaldoyleのMcNeela Instrumentsが、初心者からプロレベルまで、すべてのミュージシャンに適した楽器を幅広く取り揃えています。
さらに詳しい情報が必要な場合は、McNeela Irish Music Blogをご覧ください。このブログには、専門家のアドバイスや情報が満載の、役立つヴァイオリン購入ガイドがたくさんあります。