バウロン作りの芸術


出典 https://blog.mcneelamusic.com/

アイルランドの楽器メーカーMcNeelaが公開しているブログの中から「バウロンの製造工程」についての解説記事を許可を得て翻訳しました。

原文:How to Make a Bodhrán

バウロン作りの芸術

バウロンの製造工程は、本当に魔法のようです。大好きな楽器が目の前で形になっていくのを見ることほど楽しいことはありません。私はもう40年以上も製作の腕を磨いていますが、それでも驚きを禁じ得ません。バウロンの製作技術は、多くの人の興味をそそるものです。好奇心旺盛なお客さまは、自分の真新しい楽器がどのように作られたのか詳しく知りたいと、そのプロセスについてよく私に尋ねてきます。そこで私は、私のプロセスを共有しようと考えました。この愛すべきフレーム・ドラムがどのように作られているのか知りたいのなら、あなたが読むべき記事はここにあります。このユニークな楽器作りの伝統のすべてを知るために、この先をお読みください。読み終わる頃には、あなたもこのエキサイティングな練習に挑戦してみたくなっているかもしれません!?

山羊革をなめす技術

あらためて言いますが、バウロンで最も重要なのは革です。革によって、それぞれのドラムが出す音の質が決まります。バウロンの革は伝統的に山羊の革goat skinで作られていますが、最近ではカンガルーやシカ、その他様々な動物の革で作られた楽器もあります。

弊社McNeela Instrumentsでは、山羊の革を手作業で硬化させ、手作業で伸ばし、適切なコンディショニングと処理を施しています。最も重要なことは、私たちの革が持続可能で倫理的な方法で調達され、厳選され、品質が徹底的に検査されていることです。しかし、私たちがこれらの革を選んだ後はどうなるのでしょうか? ドラムヘッドとして使用する前に、まずキュアリング(革の処理)と呼ばれる工程を経なければなりません。


出典 https://blog.mcneelamusic.com/

山羊革の処理方法

まず、園芸用の石灰と水を混ぜた溶液が必要です。革が十分に柔らかくなるまで、6、7日間この混合液に浸しておきます。次に、革の裏側の筋肉や脂肪、組織を削り取り、乾燥時に革が腐ったり臭ったりしないようにします。その後、山羊の革を塩水に2日間浸します。塩水は、水20リットルに対して塩2ポンドの割合です。

2日後、革を塩水から取り出し、引き伸ばした後、可能であれば天日で乾燥させます。革は日光で漂白され、またバウロンに特徴的な青白い外観をもたらします。また、革を外に干すことで、悪臭のするバウロンにならないようにすることもできます。革を伸ばし、乾燥させることは重要なステップです。この工程により、革がより柔軟になり、また油分を取り除くことができます。


出典 https://blog.mcneelamusic.com/

ドラムヘッドを作る

乾燥したら、革を木枠に貼り付けます。

少しわかりにくいのですが、この工程は革が濡れた状態で行います。そのため、まず30分から1時間ほど水に浸さなくてはいけません。そして湿った革を、バウロンの円形の木の縁にゆるく張ります。乾燥すると革が縮むので少したるみが必要ですが、あまりたるみすぎると強い音色が出ません。実に微妙なバランスです。

その後、革はいくつかの方法でバウロンに取り付けることができます。

釘を打ったり、ホッチキスで留めたり、接着したり。私の好みは接着する方法です。一番丈夫できれいに仕上がりますが、どの方法でもかまいません。ホッチキスで留めたり、釘で打ったりするのは、革をしっかり張るために必要なこともあります。

接着剤が塗り終わり、革が所定の位置に収まったら、革が乾くまで固定できるよう、縁に太めのゴムをつけ、余分な部分を切り落とします。そして待ちます。革が自然に乾くように、バウロンは放っておく必要があります。革が乾くのを待つ間、時々叩いて張りを試すのですが、まだ出来上がったばかりのバウロンを弾いてみたいという衝動を抑えることが大切です。革がリムにぴったりと密着し、叩くと共鳴するようないい音色が出れば完成です。


出典 https://blog.mcneelamusic.com/

音色を整える

乾いたら、ドラムヘッドの縁に黒い絶縁テープを貼ります。なぜかというと、テープを貼ることで音の響きを止め、不要な倍音(オーヴァートーン)が減り、高音(ハーモニクス)が改善されます。つまり、バウロンの音が良くなります。テープを貼っていないバウロンを好んで演奏する奏者もいますが、私は自分のバウロンが最高の音色を奏でるように、すべてのバウロンにテープを貼っています。私の意見では、そうすることでドラムの音に大きな違いが出るのです。テープを貼ったら、リムの周りに革かビニールのバンドを鋲で取り付けて、バウロンをきれいに仕上げます。


出典 https://blog.mcneelamusic.com/

その次は?

革を養生している間、私は忙しく円形の木製バウロンのフレームを作ります。各フレームは正確に計測され、直径18、16、15、14インチにカットされます。私はこの工程をとても楽しんでいます。トーンウッド選び(パインウッドpinewoodローズウッドrosewoodが私のお気に入りです)、仕上げ、ニス、カラーラッカー。そういったことを創造的に選択するので忙しいのです。また、カットアウトやさまざまなフレームの形を試すのも好きで、『ウェーブ・バウロンThe Wave Bodhrań』のように少し変わったものができることもあります。このバウロンが誰の手に渡り、何年か後にどんな物語を語るのだろうかと考えます。

さらなる一歩

調律可能なチューナブル・バウロンを作る場合(実際によく作るのですが)、私は内側のフープも準備し、革にかかる圧力を調整するための真鍮の金具を取り付けます。チューナブル・バウロンは、革の張力を調整できます。革をきつく張れば音色のピッチは高く、革を緩くすれば音色のピッチは低くなります。

可能な限り最高の音色を出すために、私は常に革が完璧に固定されるように努めていますが、個人の好みの重要性も理解しています。

バウロン奏者の中には、深い低音の音色を好む人もいれば、トップエンドの演奏を可能にするために張りを強くすることを好む人もいます。そのため、私はチューニング・システムを備えたバウロンを製作しています。

私のMcNeelaパフォーマンス・バウロン・シリーズは、使いやすい8ポイント・ハンド・チューニング・システムを採用していますが、私の中級バウロンのいくつかは、チューニング・ペグを回すのに六角レンチが必要な6ポイント・チューニング・システムを採用しています。どちらのシステムも、すべてのバウロン奏者が自分の演奏に最も適したテンションを見つけられることを保証します。


出典 https://blog.mcneelamusic.com/

自分だけのバウロンを作ろう

自分の楽器を作ることほど、満足のいくことはありません。自分の手で作った楽器で音楽を奏でるというのは、本当に満足感を与えてくれます。私はこの創造的なプロセスを幸運にも長年楽しむことができました。そして、今その喜びを皆さんと分かち合いたいと思います。そこでMcNeela Instrumentsでは、DIY Bodhrán Kitをご用意しました。

ご心配なく。私があなたに代わって、最も難しい過程のいくつかは完成させてあります。しかし、もしあなたが少し気後れしていてすぐに演奏できるものを手に入れたいのであれば、私のアイリッシュ・バウロンの全商品をご覧になって、私の作品があなたの目に留まるかどうか確かめてみてはいかがでしょうか。

どの楽器が自分に合っているのか、ちょっとしたアドバイスが必要な場合は、いつでも私の便利なブログ記事をご覧ください。