ティン・ホイッスルのデータを計測しています!

ライター:hatao

こんにちは! ケルトの笛のhataoです。

ティン・ホイッスルは規格化されておらず、本当にたくさんの種類があります。

メーカーはアイルランドに限らず世界中にありますし、一つのブランドにも、素材やデザインの違いで何種類ものティン・ホイッスルを製造していることもあります。

当店で常時販売しているのは10数種類ですが、サンプルとしては50種類ほどのティン・ホイッスルを用意しており、その数は増えてゆく一方です。

お客様の立場からは「種類が多いと選ぶのが面倒くさいから、いくつかに絞って売ってほしい!」と思うかもしれません。

しかし、楽器の良し悪しは一概に決めることはできません。

たとえば「音色が良い楽器」と言っても、ピュアな雑味のない音が良いのか、かすれ気味なのが良いのか、価値観は人それぞれ。

あまりに音が綺麗だとアイルランド音楽にならない(!?)という意見も、あってもよいと思います。

「音程が良い楽器」にしても、演奏者の息を吹く力や吹き方の癖によって、感じ方が変わります。

そのため、当店では傾向や値段のことなる代表的な機種を揃えているのです。

私は、ティン・ホイッスルを20年ほど吹いてきて、これまで経験則から管が太ければ音量が大きいのかな、ニッケルよりもブラスのほうが音が柔らかいのかな、などと理解していましたが、きちんと計測すれば、設計と性能との関わり分かるのではないかと考えて、計測を始めました。

使用した器具は以下です。

  • デジタルノギス …… 厚み・幅を測る道具です。
  • 金ものさし  …… 長さを測ります。
  • 巻き尺(紙製と金属製)  …… 周圍を測ります。
  • 温度計
  • スマホの電子チューナー
  • スマホの音量計測器
  • スマホのタイマー
  • デジタルはかり

これを使って、以下の項目について記録を録りました。

  • メーカー名
  • 製造国
  • ウェブサイト
  • ブランド名
  • チューナブルかどうか
  • 職人名
  • ジョイントの数
  • 管の形(円錐か円筒か)
  • ウィンドウウェイの形(円形や直線か)
  • ブレードの形(円錐か円筒か)
  • 価格
  • 主観的な評価(演奏性能、音色、お気に入り度、音程、入手困難度、音量)
  • 重量
  • 管の厚み
  • 全長
  • マウスピース幅
  • ウィンドウウェイの幅と高さ
  • 窓の横幅、空き幅
  • 音量(A=440hzで吹いたときの低音のレと高音のラのデシベル)
  • 気温25℃でA=440を得るためにマウスピースを抜いた長さ
  • ボアの直径 (筒先とマウスピース下の2箇所)
  • 周囲 (最も細い部分と、最も太い部分)
  • それぞれの指孔の直径
  • 指孔どうしの間隔
  • ロングトーン時の息の消費秒数 (A=440hzで低音のラと高音のラ)
  • RTTAチューナーで各音孔の音程
  • ビデオ撮影

丁寧に1本計測すると10分程度かかります。

それに、ノギスやデシベル計も、どのように測るかで簡単に数値が変わってしまいますから、本当に正確な数値を求めることは困難です。

手作りの笛だと同じ職人でも個体差があります。

ですから、これが完全に正しいデータだというつもりはありません。

しかし、比較の材料には使えます。

それから、計測して初めて気がついたことが多くあります。

例えば指孔の大きさ。

職人の楽器はマイクロミリ単位で削って調律しており、必ずしも正円形ではないこと。

なかでも右手中指の指孔は、職人によっては縦長の楕円形に開けているものがあること。

ウィンドウェイの開き具合と息圧との関係。

低音が楽に吹けるのに高音域がシンドイ楽器もあること。

これだけのデータを求めておけば、「重たい楽器、軽い楽器ランキング」「音程の良い楽器ランキング」「息がラクな楽器ランキング」など、簡単に作ることができ、楽器を選ぶ参考にできます。

また将来、自分や誰かが楽器を製造することになったときに役に立つでしょう。

こんなことを、知りたいと思っています。

  • 材質が音色や音量に与える影響
  • ボアの大きさが音量や息の消費量に与える影響
  • ウィンドウェイがまっすぐな形とカーブの形の、それぞれの音への影響
  • ウィンドウェイの幅や高さと音量や息の消費量との関係
  • 円筒と円錐と、音程への影響

笛オタクなので、その名前に恥じないようにとことんやります。

この計測で得た知見を、今後、ブログなどで発表していきます。

どうぞお楽しみに!