ライター:松井ゆみ子
ダブリンの老舗パブで” バラクラヴァ・セッション” というのが密かに開催されていると聞きつけました。バラクラヴァ(balaclava)は、強盗が被るものと思っていましたが、クリミア戦争(1853~56)時、極寒地での戦いのための防寒アイテムとして生まれたのだそう。それもイギリス兵士たちの妻が編んで持たせたのだとか。知らなかった!
そしてバラクラヴァ・セッションとは。
まだ人前で演奏する自信のない人たちが、パブのバックルームで行うトラッドセッションなのですって。そこはセッションのメッカで、道路に面したメインルームのセッションは演奏者とギャラリー(見る人)でいつも満員。バックルームは有料のコンサートで使われる日もあり、恥ずかしがり屋のための隠れ家というわけでもないのです。が、そういう「これから」の人たちに演奏できる機会を作るパブ・オーナーの心意気がまたすてき。
おおむねスローセッションとよばれる練習会は、アイルランド各所で行われています。でも多くは仲間内でアレンジされるので、ネットワークを駆使して探し出します。幸いわたしの住んでいるヴィレッジのパブでは月1回セッションがあり、最初の1時間半はスロー組に開放されるので、そこに参加しています。
さらに、セッションのフィドル仲間と練習会を始めました。これがとっても楽しい。サマースクールにも一緒に通ったので、おさらいも一緒にできましたし。
彼女はとても知的かつチャーミング、フィドルを通してなかよくなれたのは大きなボーナス。息子が幼い頃からアコーディオンを習っていて、レッスンに付き合ううちにチューンを覚えていったそう。フィドルはそもそも少し弾いていたのだったかな?でも弾かない時期が長くあったらしく、ロックダウンをきっかけにオンラインレッスンをし始めたと聞いています。そういう人がまわりにたくさん!アイリッシュのポジティヴさを感じます。
拙著を出版&販売してくださっている山口県岩国のヒマールで、なんとアイリッシュミュージックの練習会がスタートしました。題して「アイリッシュなロバの会」。好きが高じて、という素晴らしい理由。ヒマールご店主夫妻は楽器の経験があるので、手探りながらリード。最初の参加者お三方はhataoさんからティン・ホイッスルを購入された初々しいビギナーですが、課題曲のサリーガーデンをすでに合奏されて「楽しい〜〜」とコメントされている先行きが楽しみな方たち。とてもアイルランド的な感じでいいわぁ。ヒマールのサイトで詳細をチェックしてみてください。
練習会のキモは、技術レベルが近いこと。多少のばらつきは問題ないですが、速く演奏したい人がまざると厄介です・笑
一緒に演奏できるチューンが多いにこしたことありませんが、毎回同じだと飽きるので、ときどき「課題曲」というか、みんなで新しいチューンにトライするといいと思います。今日びYouTubeがありますから、宿題はひとりでもできるしね。ただ、誰の演奏で学ぶかは決めておかないとオソロシイ結果を招きます(おおげさだけど、ちょっとホント)。
アイリッシュトラッドミュージックは、自分で演奏してナンボの音楽だと思うので、ぜひともトライしてみてほしいです。