Donegal Fiddle Week 2025:松井ゆみ子

ライター:松井ゆみ子

今年もグレンコラムキルで開催されたフィドルウィークに参加してきました。

40周年記念ということで、バンド「アルタン」のマレードや、わたしが大好きなマーティン・マッギンレーも講師陣に登場。奇しくも今年はウエックスフォードのフラーキョールと同じ週の開催に。熱狂している南東部を背に、北部へと向かうへそ曲がりなわたし。前週はベルファストで1週間トラッドフェスが開催され、来年のフラーキョール開催地でもあることから、かなり贅沢な講師陣を迎えていた模様。北アイルランドでのフラーキョールは初の開催で、歴史的な催しになることでしょう。アイルランド国技のコルカパーク競技場で、英国生まれのラグビーの試合が開催されたのと同じような重さだと思います。

今年も去年と同じ先生のクラスにしてほしいとリクエストしていたので、苦痛だったレベルチェックを回避。今回はわたしのフィドル仲間のViviと一緒なので心強さ倍増。タバカリーのサマースクールのクラスで一緒だったイギリス青年ロッドも、わたしの話でドニゴールの合宿に興味を持ち、ほんとに来るかな?と思ったら来ていました。キャンピングカーでミルタウンマルベイのクランシーサマースクールからずっとフェスを巡っている強者。少なくないのですけど。でも彼は上のクラスに入っちゃって苦労し、われわれのクラスに編入。

苦労したのはね、彼がミルタウンマルベイからタバカリー、その直後のドラムシャンボー、おまけにベルファストとサマースクール巡りしてきていて、脳がチューンでいっぱいいっぱいになっていたからだと思う!どれに参加するかはよく吟味して、参加したあと少なくとも1週間はおさらいに当てないと。各地で習ったチューンがごっちゃになってもったいないと思う。

われわれのクラスは大人4人、こども3人で下から2番目。隣はこどもばっかりのクラスでしたけど、たどたどしいながらジョン・ドハティのチューンを習っていました。おお!ドニゴールのレジェンドのひとり、トラベラーズのユニークなフィドラー、ジョン・ドハティ。ここではケッシュジグよりまずドハティ。すてき。

こども3人のうちの最年少8歳の女の子は去年となりのクラスで、レッスン後に床に大の字になって寝転がってた子だ。背が伸びていてすぐにわからなかった。あとの2人は2年ほど地元でフィドルを習っているそうだけど、こども陣は3人とも耳コピができないのでABCの譜面で。でも先生、すぐには譜面を書かずにまずは聞いて覚えるを実践します。

ドニゴールのチューンはときどき、奇妙な、足を踏み外したようなリズムを使う箇所があったりするし、こんな場所で♯を使う??というような、人を喰った演奏をするので先生の演奏を聴くのが第一。譜面に引きづられると絶対につかめないのがドニゴール訛りのフィドルだと思っています。

レッスン初日に習ったのはHighland。ジグやリールと同じくダンスのリズムのひとつですが、スコットランド起源でドニゴールならではのチューンです。奇才コン・キャシディの作品で、なかなかにトリッキー。

下から2番目のクラスといってもあなどれません。翌日は偶然、いちばん上のクラスと同じチューンを習ったし。速さとオーナメンテーションの入れ具合は異なりますが。

他の地では習えないチューンばかりなのでレッスンも貴重ですが、ドニゴールのフィドル名手たちの演奏を聴く機会に恵まれるのも大きな魅力。

今年は大好きなマーティン・マッギンレー/Martin McGinley(ダーヴィッシュ創設者)とダーモット・マクロックリン/Dermot McLaghlynの演奏を聴けたのが大収穫でした。

マッギンレー先生のお茶目な演奏から。

これ、大好きな映像。フィドル、借り物なのですよ! こんな演奏された後に楽器返されても・爆笑

知る人は少ないと思いますが、鬼才ダーモット・マクロックリンの演奏を。

この人の演奏聴くと、ドニゴールチューンを弾くのは無理っ!と思うのですが、性懲りも無く通い続けます・笑

最後にご存知アルタンのマレード。独奏だとこんな勇ましい演奏を!

フィドルウィーク中、パブでのセッションもほぼ全員がフィドル。ケーリーバンドも数人のぞいて20名ほどが全部フィドルで、オーケストラのような演奏もまたドニゴールらしいユニークな光景なのです。

”フィドル・カウンティ”ドニゴールの話は尽きないので、いずれまた。