【ケルトの笛奏者の紹介】ガヴィン・ウィラン

ガヴィン・ウィラン

ガヴィン・ウィラン Gavin Whelan(1979-)は、カウンティ・ダブリン出身のティン・ホイッスル、イーリアン・パイプス奏者です。

12歳のときに音楽を愛好する両親の影響でティン・ホイッスルの演奏をはじめ、両親に連れられて伝統音楽が根強く残るカウンティ・クレアに何度も旅行したことにより、クレアの音楽に大きな影響を受けました。

特に影響を受けたホイッスル奏者として、クレアのマイコー・ラッセルが挙げられるほか、ショーン・ライアンやメアリー・バーギンからの影響も本人のインタビュー記事等では言及されています。

十代後半のころにはバンドDál Riadaに結成メンバーとして参加しました。

このバンドの活動期間は数年のみでしたが、メンバーのZöe Conway(フィドル)やMick Brodrick(ブズーキ)は今でも各楽器で一線級のプレイヤーとして活躍中で、ガヴィンの後のCD録音にも参加しています。

2002年にソロアルバム”Gavin Whelan”をリリースすると、伝統的な演奏スタイルに基づいた若手ホイッスル奏者の新星として評価されました。

以降、現在に至るまで精力的にソロアルバムのリリースを続けています。

演奏指導の面では、アイルランド音楽演奏の学位(HND)を取得し、地元の小学校での伝統音楽の指導や、Willie Clancy Summer Schoolをはじめとするサマースクール、フェスティバルでの講師としても活動しています。

演奏動画

ディスコグラフィ

Backtrackin’(2015)
City Lights(2014)
Catch the Air(2013)
Homelands(2011)
In Full Flight(2009)
Another Time(2006)
Gavin Whelan(2002)

レビュー

*In Full Flight
2009年に3枚目のソロアルバムとしてリリースされた作品で、伴奏にギターのDonnacha Moynihan、バウロンのColm Murphy、キーボードのPeter Eadesを迎えて録音されました。また、コンサティーナのAogán Lynch、バンジョーのDave McNevinが参加しています。

ホイッスルの演奏スタイルとしてはあまり癖のない、伝統的なスタイルに忠実な演奏を聴くことができます。

しばしば拍頭にもちいられる詰まったトリプルタンギングがやや特徴的ですが、これはイーリアン・パイプスでしばしば用いられる裏孔を連続してカットする技法を彷彿とさせる奏法です。

ガヴィン自身はPaddy KeenanやRonan Browneといったパイパーたちからも演奏上の影響を受けたといい、本作でもTr.6, Tr.10ではイーリアン・パイプスを演奏しています。

ギター伴奏で参加しているドナハ・モイニハンDonnacha Moynihanは、日本では無印良品の店内BGMの録音にも参加しているため、知らずに演奏を耳にしている人も多いと思われるギタリストです。

Tr.9のThe Torn Jacketでは、その特徴的なスタイルによるアルペジオの伴奏が、ガヴィンのF管ホイッスルの演奏を彩っています。

https://celtnofue.com/blog/archives/7949

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