プラテン – 伝統的なアイリッシュ・フルートの立役者

アイルランドの楽器メーカーMcNeelaが公開しているブログの中から、「プラテン・スタイル」など現代のアイリッシュ・フルート製作に大きな影響を与えたRobert Sidney Prattenについて解説している記事を許可を得て翻訳しました。

原文:Pratten – The Man Behind the Traditional Irish Flute Style

プラテン – 伝統的なアイリッシュ・フルートの立役者

アイリッシュの木製フルートについて語るとき、「プラテンPratten」や「プラテン・スタイルPratten-style」という言葉をよく耳にしますが、そもそもプラテンとは誰で、現代のアイリッシュ・フルート製作にどのような影響を与えたのでしょうか。

神童としての少年時代

ロバート・シドニー・プラテンRobert Sidney Prattenは1824年にイングランドの音楽一家に生まれ、音楽の才能に恵まれた神童だったと言われています。彼は兄のフレデリックの助けを借りながら独学でフルートを習得しました。12歳の頃には、その優れた音程感覚など、演奏スタイルが注目され始めていました。実際、評論家たちは当時著名だったフルート奏者ジョセフ・リチャードソンJoseph Richardsonよりも優れていると指摘しました。正式な音楽教育を受けていなかったにもかかわらず、これは驚くべきことでした。

堂々たる体格

プラテンは堂々とした体格の持ち主で、魅力にあふれた人気者でした。最終的には1845年にコヴェント・ガーデンのシアター・ロイヤルで首席フルート奏者に就任しました。彼がコヴェント・ガーデンで行ったソロ演奏は、その力強い演奏スタイルから「モンスター・コンサート」と呼ばれるほどでした。もっとも、アイルランドの人々にとって特に注目すべきなのは、彼が12歳のときにダブリンのシアター・ロイヤルで最初の正式な職を得たことです。

シカマ・フルート

この時期、プラテンが選んだフルートは、1842年にアベル・シカマAbel Sicammaによって製作された、非常に高く評価されながらも忘れられがちなダイアトニック・フルートでした。その主な特徴は、鮮やかで純粋な音色と、当時の他のモデルに比べて改善された音程感でした。プラテンはこのシカマフルートに非常に魅了されていたようですが、それをさらに改良できると考えました。

プラテンの改良されたフルート

それに従い、彼は今や有名で、アイリッシュ・フルート奏者の間で伝説的な存在となった「プラテンの改良されたフルートPratten’s Perfected flute」の設計に着手しました。プラテンは、彼の大きな手、豊富な息の量、そして力強い音色で演奏するスタイルを活かし、より大きなボア、広い歌口、そして大きな指孔を持つシンプルシステム・フルートを提案し、「大きな」フルートサウンドを生み出しました。これが現在、彼が有名である理由です。

ブージー&カンパニーのフルート製作

名高いフルート製作会社ブージー&カンパニーBoosey & Co.の職長ジョン・ハドソンJohn Hudsonと共に、プラテンは1850年代中頃に最初のフルートを制作依頼しました。ハドソンはシカマにも関わっていた人物です。ブージー&カンパニーは、プラテンの改良されたフルートを1900年代初頭まで製造し続けました。プラテン自身は1868年、わずか44歳で亡くなりました。彼は、自分の名前がこれほどまでにアイリッシュ・フルート製作と演奏の伝統的なスタイルと結びつくことになるとは、想像もしていなかったことでしょう。

イングリッシュ・コンサート・フルートが、どのようにしてアイリッシュ・フルートになったか

画像出典:Robert Sidney Pratten 1868, Von Vudu, McGee Flutes