出典 https://blog.mcneelamusic.com/
アイルランドの楽器メーカーMcNeelaが公開しているブログの中から、子どもの頃に習っていた楽器を大人になってから再び学び直したい方へのアドバイスを許可を得て翻訳しました。
原文:The Adult Beginner – Relearning your Childhood Instrument
大人の初心者 ー 子どもの頃の楽器を学び直す
大人になってから楽器を始めることの難しさについて、よくお問い合わせをいただきます。特に、子どもの頃に習っていた楽器を大人になってから再び学び直す際の困難についてのお話です。
子どもの頃に何の苦もなく楽器を習っていたにもかかわらず、他のもっと重要に思えることに気を取られて、惜しくも辞めてしまったという方は、今や世界中に数えきれないほどいらっしゃいます。そして今、もしあの時続けていたら…と、あの日々を切なく思い返しながら、自分の選択が間違っていたのではないかと気づき始めるのです。
そんな中で、あの特別な楽器をもう一度手に取りたい、もう一度学び直して、いずれは人前で演奏したり、他の音楽仲間と一緒に演奏したいと思う方が多くいらっしゃいます。
アイルランドの伝統音楽の世界において、セッションに参加して演奏することほど心が躍る体験は、他にそう多くはありません。もしあなたが子どもの頃の音楽づくりの日々を懐かしく思い出しているのであれば、地元のセッションに加われることは、まさに夢の実現と言えるでしょう。
嬉しいことに、それは決して不可能なことではありません。確かに、いくつかの課題には直面するでしょう。しかし、それらは決して乗り越えられないようなものではなく、ぜひ本気で取り組んでみていただきたいのです。
私たちMcNeela Instrumentsでは、大人になってから楽器を始める方や再チャレンジされる方に、できるだけ充実した音楽の旅を体験していただきたいと願っております。ですので、もし楽器をもう一度始めようかどうか、ほんの少しでも迷っていらっしゃるのなら、ぜひこの先を読み進めて、勇気とインスピレーションを受け取ってください。
出典 https://blog.mcneelamusic.com/
音楽を始めるのに、遅すぎるということはありません
ピアノやヴァイオリンから離れて、6年、あるいは60年が経っていたとしても、嬉しいことに、大人になってからもう一度その楽器を学び直すことは、十分に可能です。
子どものほうが物事を覚えるのが早いと言われますが、それは確かにその通りです。子どもは自然に心を開き、感受性が高く、まだ脳にたっぷりと余白があるのです。それに加えて、子どもには時間の余裕があり、心のスペースにもゆとりがあり、ためらいが少なく、子どもならではの恵まれた条件が整っています。
時間と自己信頼
子どもたちの最大の利点が「時間」と「自信」であるならば、大人の学び手だって、それが少ないという理由だけで諦める必要はありません。かつて手にしていた技術を、もう一度取り戻すことはできるのです。
自分自身に、「時間をつくること」と「心に余白を与えること」を許してあげてください。もちろん、苛立ちや落ち込みを感じることもあるでしょう。でも、それを理由にあきらめてはいけません。というのも、どんなに上達した人でも、完全に楽器を極めきった人などいないからです。音楽には、つねに新たな発見と学びがあるのです。
本当に価値のあることは、決して簡単には成し遂げられません。学ぶということは旅であり、そしてその「旅そのもの」にこそ大きな意味があります。忍耐と粘り強さは、やがて報われます。そしてその達成感は、子どもの頃に感じたそれよりも、きっと二倍嬉しいものになるはずです。
出典 https://blog.mcneelamusic.com/
自分に合ったアイルランド音楽の楽器を見つけるには
まず大切なのは、自分に合った楽器を見つけることです。
必ずしも「完全な入門者向け」の楽器を選ぶ必要はありません。ただし、かつての経験やレベルにもよりますが、「少し進んだ初心者向け」や「中級者向け」の楽器を検討するのがよいでしょう。
大切なのは、「演奏しやすく」「指の動きに素直に反応してくれる」楽器であること、そして「美しい音が出る」ことです。こうした要素がそろっていれば、自然と練習への意欲も湧いてくるはずです。
基本技術の再習得
きっと、いくつかの基本的な技術をもう一度学び直すことになるでしょう。でも、たとえばヴァイオリンを例に挙げるなら、指は音の位置をある程度覚えているはずですし、弓の持ち方も手が覚えていることでしょう。
もちろん、腕がなまっていたり、感覚がかなり鈍っていたりすることもあるかもしれません。しかし、よく設計された中級レベルの楽器を選べば、かつてのレベルにできるだけ早く戻れるよう、しっかりとサポートしてくれます。
出典 https://blog.mcneelamusic.com/
しっかりした保証がある販売者を選びましょう
もし購入前に楽器を実際に試すことができない場合は、返金保証付きの試用期間がある販売者を探すことをおすすめします。さらに、将来的に楽器をアップグレードしたい場合に備えて、下取り制度があると理想的です。
もちろん、私たちMcNeela Instrumentsでは、これらすべての制度をご用意していますが、他にもオンラインで調べてみるのは自由ですし、むしろ積極的に調査されることをおすすめします。
アイルランド音楽の先生を見つけるには
運が良ければ、地元やオンラインで素晴らしい先生に出会えるかもしれません。
Skypeなどを使ったオンラインレッスンもとても便利ですが、音声と映像にタイムラグがあると、どうしてもストレスを感じることがあります。インターネット接続があまり安定していない場合には、あらかじめ収録されたビデオレッスンのほうが向いているかもしれません。
もし録画型のビデオレッスンを受ける場合は、オフラインレッスンのように、決まった時間を週に1回設けて取り組むようにしましょう。毎週、同じ時間に学ぶことで、習慣化しやすくなります。
こちらの動画では、コンサーティーナ奏者のCaitlín Nic Gabhannによるレッスンの様子をご覧いただけます。どれだけ簡単に始められるか、ぜひ確認してみてください。
アイルランド伝統音楽の先生を探すには
アイルランドの伝統音楽の先生を探すなら、まずおすすめなのが「Trad Connect」というサイトです。また、「Traditional Irish Music Teacher(アイルランド伝統音楽の先生)」でGoogle検索してみると、地域ごとの先生や団体の情報が見つかるでしょう。もうひとつの方法としては、楽器の販売店に聞いてみることです。販売店の方は教師と接する機会も多く、おすすめを教えてくれることがあります。
大人の初心者であることに不安を感じる必要はまったくありません。良い先生であれば、年齢に関係なくすべての音楽家を励まし、導こうとしてくれるはずです。何より先生がいることで、知らず知らずに身についたクセを早いうちに修正でき、次のレッスンに向けてのモチベーションも保ちやすくなります。
やがてレパートリーも自信も少しずつ増えていくので、このタイミングで地域の音楽グループを探してみるのも良いでしょう。
練習と演奏
次に大切なのは、やはり「練習」です。生活スタイルによっては、たっぷり時間が取れる方もいれば、ほとんど時間がないという方もいるでしょう。それでも、毎日少しでも練習を続けるためには、自分を律する力が必要です。忙しい方でも、1日10〜20分だけでも時間を確保してみてください。
嬉しいことに、楽器を実際に手にしていない時間でも、できる練習はたくさんあります。たとえばコンサーティーナであれば、音ごとの指の位置や、押す/引くタイミングを頭の中でイメージしながら練習することができます。こうした「イメージ練習」はどの楽器でも応用可能で、ちょっとしたスキマ時間に実践できます。ただし、実際に楽器を使って音を出す時間も、きちんと確保するようにしてください。
音階(スケール)、コード、アルペジオの練習は非常に重要です。でも、なによりも「自分の好きな音楽を弾くこと」が、情熱を燃やし続け、心を前向きに保つ力になります。これこそが、何よりも大切なのです。
出典 https://blog.mcneelamusic.com/
楽器を始めることでIQが上がる?
楽器を始めることのメリットといえば、まずは何と言っても自分自身、そしてやがては周りの人にも音楽の楽しさや喜びを届けられることです。でも実は、楽器を学び直すことには、それ以外にも「隠れた恩恵」があるのをご存知でしょうか?
楽器を学ぶことでIQが上がるという話、もっと詳しく知りたくありませんか?
脳トレゲームなんてもう必要ありません。大人になってから楽器を始めることは、科学的にも証明された「脳を本気で鍛える」数少ない方法の一つなのです。The Irish Examinerによれば、神経科学者たちは、脳の活性化や強化を目的として「楽器の習得」を推奨しています。
大人の初心者として音楽に向き合うことで、脳内の神経回路が再び活性化します。それによって、認知機能やIQが向上するのです。この効果は、練習中に感じるかもしれない苛立ちや苦労をはるかに上回るほどです。かつて諦めたと思っていたものを再び手にする瞬間――その喜びと達成感は、何物にも代えがたいでしょう。
仮に毎日10〜20分しか練習できなかったとしても、それはまさに「アクティブな瞑想」です。思考のループを一旦止めて、脳にとって最高の刺激を与える時間になるのです。