プチ・セッション:松井ゆみ子

ライター:松井ゆみ子

本題の前に、今いちばん衝撃を受けているフィドル・ユニットの演奏を。

前回ご紹介したドニゴールのフィドルウィークで初めて知ったAidan O’Donnellと、Ciaran O’Maonaigh(キアラン・オ・ムーニー・/Altanのマレードの甥)ユニークなDamian McGeehan(ダミアン・マクギーハン)のドニゴール出身フィドラーのトリオ。

演劇に近いパフォーマンスと型破りな演奏で、フィドルの新たな可能性を引き出した画期的なグループだと思います。かっこいい!

さて本題。

わが村の由緒ある古いパブでは月1回、セッションが行われます。平均10名ほどのレギュラー陣、多いときは20〜30名ほどが集結。お客さんがお酒を飲むラウンジでの演奏ではなく、バックルームとよんでいる学校の教室くらいの広さの部屋を使うので、混雑することもなく快適です。夏は観光客が見学しに来たり、店で販売しているティンホイッスルを購入して参加することも。もちろんお酒もバーから持ち込めるし、オーナーからサンドウィッチの差し入れもあり、パーティのような雰囲気です。隣県(ドニゴールとリートリム)で開催される月1のセッションの日程と重ならないよう配慮されているので、けっこう遠くからもミュージシャンたちが集まってきます。

このセッションでの仲間とトリオで月2回の練習会を始めて1年ほどかしら?最初はフィドルのパートナーと二人で練習していたのですが、ホイッスル奏者が加わりトリオに。ホイッスルのアニーはセッション経験が豊富なので、よく演奏されるチューンとセットをリストアップしてくれ、われわれの練習会はぐっとセッションの形態に近づきつつあります。

同じパブのバックルームで練習会していたのですが、オーナーが背中を押してくれて今年からはラウンジで演奏しております。週半ばの早い時間帯なのでお客さんもまばらですからプレッシャーも少なく。

われら女性3名は、まずお喋りで盛り上がり、合間に演奏する感じ? 気づけば”Home Rulers & Kitty’s Wedding(hornpipe)” “Cooley’s & Wise Maid(Reel)”などの有名なセットのレパトワ(Repertoire)が10以上になり、来月からセッションで活躍するフルート奏者がコーチしてくれることに!どういうことになりますやら、またあらためてご報告します。楽しみすぎ。

彼は、うちの近くに住むフルート奏者(やはりセッション仲間。ベテランです)の家を訪れてキッチン・セッションをしているそう。フィドルの上手な娘がいるので、きっと素敵な演奏会なのだろうな〜〜

そもそもパブでのセッションは100年に満たないものですし、伝統音楽は台所で培われてきた文化だと思います。今も同じ形が続いているのは素敵。