以前、スペイン・オルテゲイラのケルト音楽フェスティバルで見事優勝を勝ち取ったKoji Koji Mohejiさんにインタビューを行いました。
https://celtnofue.com/blog/archives/2320
同じくバンドメンバーでフィドル奏者の奥貫史子(おくぬき・あやこ)さん(ニックネームはぬっきーさん)にもインタビューしましたので、2回に分けてお送りします!
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奥貫さんは埼玉県在住。
今回はhatao & namiの4枚目のCDのゲスト演奏をお願いしたため、大阪で直にお話を聴くことができました。
聞き手はhataoとnamiです。
インタビュー開始!
自己紹介をお願いします。
hatao
普段はヴァイオリンとフィドルで活動していて、クラシックとアイリッシュ、それからスコティッシュ、カナダのケープブレトン、あとはケベックとか、いろいろケルト全般の音楽を演奏しています。
奥貫さん
ケルトの笛屋さんでもCDの販売をしているバンド”KOUCHA”*でフィドルを弾いているぬっきーさん。
その他の活動はどんなものがあるのですか?
hatao
レディー・チーフタンズといって、チーフタンズ*が来日したときに、イベントを盛り上げるために同じ楽器編成で作った女子版のアイリッシュ・バンド。
あとは個人的にいろんな人とつながってライブをやっています。
奥貫さん
*KOUCHA:ハープ(梅田千晶)、バウロン(北川友里)とのトリオ。ケルトの笛屋さんでCD販売中。
*チーフタンズ:Chieftainsは、グラミー賞を受賞したアイルランドを代表する伝統音楽バンド。
クラシックとトラッドでは、今はどちらのほうが多い?
hatao
半々のつもりだけど、クラシックだと教えたりするのは全部クラシックだから、それを含む半々。
演奏はトラッドのほうがちょっと多めかな。
奥貫さん
そもそもフィドルを始めたきっかけは?
hatao
小さい頃からヴァイオリンをしていて、音楽大学を出たんだけど、大学1年か2年の頃にクラシックはリスナーが限定されているから、いろんな人にいろんな形で演奏を届けたいという思いがあったのと、明るい曲調が好きで、じゃあカントリーがいいのかな?と思ってCD屋さんでCDを買ったことがきっかけ。
奥貫さん
それはなんのCD?
hatao
それはフォーメン・アンド・ザ・ドッグ*っていうバンドで、アイリッシュだけどブルーグラスとか色々と混ざってる曲だから、それも入りやすかった。
たぶんゴリゴリのアイリッシュだったら違う聴き方をしていたと思う。
奥貫さん
*フォーメン・アンド・ザ・ドッグ:Four men and the dogはアイリッシュだけでなくブルーグラスやロック、ジャズなどの様々な音楽を演奏するバンド。
じゃあ、フィドルを始めた最初のとっかかりは?
先生に習ったとか、テキストを取り寄せたとか。
hatao
とりあえずCDを聴いた人たちが来日したときに聴きにいったり、周りに誰もやっている人がいなかったのでネットで調べたり。
そしたら東京で功刀さん*と深江さんのワークショップがあるっていうのをなにかで知って初めて行ったの。
奥貫さん
*功刀さん:京都在住のフィドル奏者、功刀丈弘氏のこと。
それって、そうとう前ですよね(笑)
hatao
まだ大学1年の2000年代前半ですね。
奥貫さん
ワークショップを受けてみて、どうでした?
nami
好きだけど、どうやったらいいかわかんないから、とりあえず色んな場所に足を運ぼうと思った。
奥貫さん
フィドルの世界にはすんなり入れましたか?
hatao
弾けるには弾けるけど、奏法が自分のものになるには時間がかかった。
聴いて、弾いてみて、壁を乗り越えた。
フィドルはクラシックとは正反対で、クラシックで「やっちゃいけないこと」が染み込んでるから、やりたくてもできないっていうのがずっとあって。
フィドルをちゃんと習っていなくてどうやったらいいのか分からない時間が長くて、アイリッシュを弾いていてもフィドルらしい奏法ができないから、つまんなくなってきて。
だけど、細々と続けてきた。
そしたらある時、できるようになって、そこから楽しくなった。
奥貫さん
今はクラシックとアイリッシュの使い分けは難なくできるんですね?
hatao
できるようになったと思う(笑)
奥貫さん
両方の活動をしている人って少ないからね。
hatao
トラッドの奏法が腑に落ちたきっかけはありませんでしたか?
すごい人と共演したとか。
nami
そこは覚えてないけど、「あ、これか」ってなった時のことは覚えてる。
奥貫さん
大学卒業後、アイルランドへ
大学を卒業してアイルランドに行ったんだよね。
hatao
卒業して2年後に、1年間。
奥貫さん
その時のことを教えてください。
hatao
もともとワーキングホリデーのビザで行ったんだけど、学校に入るわけでもないし、とりあえず音楽に触れたくて、パブでやっているセッションに行っていたときに、たまたまライブで見たトリオにフィドル奏者がいて、その人が一時期バンドを離れることになって、その間に入ってくれるって頼まれて。
それからパブでお金をもらって仕事で演奏できることになった。
週末はゴールウェイの寿司屋でアルバイト。
日本じゃ寿司を巻けなかったのにアイルランドで巻けるようになった(笑)
奥貫さん
アイルランド滞在中につかんだことってあった?
やっぱり行かないとわからいことってあるじゃない。
ミュージシャンがどうやってその音楽と向き合っているのかとか。
hatao
行く前はトラッドにはこういうものみたいなカタチがあると思っていたけど、実際には色んな弾き方があるし、どれが上手とか下手とかないから、どういう弾き方でも自分のスタイルがあればいいのかなって思った。
奥貫さん
思い入れのある音楽、そしてカナディアン・フィドル
ケルト音楽を広くやっているじゃないですか。
思い入れのある音楽は?
nami
最初はアイリッシュをやってきたけど、最近はケープブレトンのスコットランド音楽に魅了されてる。
ダンスもアイリッシュのシャン・ノースよりも派手なケープ・ブレトンのダンスが、自分には合っている。
奥貫さん
カナディアン・フィドル*との出会いは?
hatao
まずケベック・スタイルのステップをティム*がやってて、それを見て。
ちょっと教えてくれたんだよね。
最初はワケわからなかったけど、ちょっとずつやっていたらハマってきて。
それからそっちの音楽も聴くようになった。
奥貫さん
*カナディアン・フィドル:ケープブレトン島の音楽やケベック州の音楽など広いカナダのフィドル音楽のこと。
*ティム:在日オーストラリア人のギタリスト、シンガーのティム・スカンランTim Scanlanのこと。
最初はタップからだったんだ?
hatao
そうそう。
音楽っていうよりは、タップつながりで聴き始めて。
奥貫さん
カナダにも長期滞在していたの?
hatao
2ヶ月。
トロントから入って、ケープブレトンが長いかな。
あとはプリンスエドワード島のフェスを教えてもらって行った。
プリンスエドワード島はそこの音楽があるんだけど、ケープブレトンの音楽やダンスにも近くて。
あとはケベック州にも行って、フェスやキャンプに参加して曲を習ったり。
奥貫さん
カナダの音楽をやっている人っていないですよね。
nami
タップは誰もいないから、YouTubeで何度も見まくってステップの技を教えてもらって。
あとは向こうで見て覚えた。
奥貫さん
僕、タップしながらフィドル弾くぬっきーさんを初めて見たのは、なんだっけ。
吉祥寺のコピス? レディーチーフタンズで出演していて。
一昨年に自転車旅行で東京行った時。
hatao
え!?そうだったの?自転車で?そっちのほうが驚きだわ(笑)
奥貫さん
後半へ続く
【祝オルテゲイラ優勝】奥貫 史子さん独占インタビュー-後編-
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