【キャラ・ワイルドマン(Cara Wildman)】ケルトの音楽家 インタビュー


出典 https://modernbodhran.com/cara-wildman/

スコットランドのバウロン奏者メリッサ・ウェイトMarissa Waiteさんのブログにあるインタビューを、当店でおなじみの翻訳家・村上亮子さんの翻訳でお届けするシリーズ。

今回は女性バウロン・プレーヤー、キャラ・ワイルドマンのインタビューをお楽しみください。

原文:https://modernbodhran.com/cara-wildman/

キャラ・ワイルドマン Cara Wildman

優れたバウロン奏者数名にインタビュー形式の質問を送り、その一部をここに公開します。

これらのインタビューは本当に素晴らしいもので、楽しんでいただけることと思います。

今回は優れたバウロン奏者キャラ・ワイルドマンです。

女性のバウロン奏者をお迎えするのは初めてで、とてもワクワクしています。

女性でバウロンをする方はそれほど多くはありませんが、皆さん素晴らしい方で、いずれ他の方もご紹介したいと思います。

キャラの演奏を聞いたのは少し前のことなのですが、私のフェイスブックの、次は誰の演奏を聞いてみたい?という質問にもらったコメントで思い出して連絡を取り、ありがたいことにこの企画に参加してもらえました。

同じ女性のバウロン奏者の話が聞けるのが素晴らしいのはもちろんですが、バウロンやその文化をより深く学ぶために、北アメリカから大西洋を渡ってやって来た彼女の考え方や生き方は素晴らしいと思います。

どうぞお楽しみください。

また、次に掲載を希望されるミュージシャンがありましたらお知らせください。

どうしてバウロンを始めたのですか。自己紹介をお願いします。

キャラ:種類を問わず、音楽はいつも私の人生の大きな一部でした。

両親は熱心なダンサーで、ウェスタン・スウィングの専門家で、家では様々な音楽性が育っていきました。

溢れるほどの民族音楽(アイリッシュを含む)を聞いたことを覚えています。

そして夕方になると家畜小屋のポーチで、父と2人で古いカントリー・ミュージックを演奏したのはいい思い出です。

10歳の時にハーモニカとピアノを始めたのが始まりでした。

6年生の時にはハウ中等学校のバンドに入りパーカッションを担当しました。

そして音楽教育を学ぶためにテキサス・クリスチャン大学に入り、音楽教育パーカッション専攻で学士と修士を取りました。

テキサス・クリスチャン大学に入って、伝統音楽が好きでたまらないことを再発見しました。

伝統音楽への興味が再燃し、アイルランド音楽を聞くだけでなく、演奏を学びたいという気持ちがわいてきました。

リズムが好きで、すでにパーカッションをやっていましたので、バウロンを選んだのも自然な成り行きでした。

アイリッシュ音楽を学べる北テキサスのフェスティバル(オフラハティ・アイリッシュ・ミュージック・リトゥリートO’Flaherty Irish Music Retreat)のことを聞き、2012年、Máirtín de Cógáinのバウロンのクラスに入りました。

2013年のオフラハティの時にも勉強を続け、奨学金を得て、Myron Bretholtz に学びました。

その後、もう1つ上のレベルに行こうと思って、リムリック大学アイリッシュ伝統音楽表現の修士コースを考えました。

何時間も練習して、オーディションを3つ受けて、何年かして、18ある修士コースの1つに入り、想像もできなかった程私の人生を変えてくれた道を歩み始めました。

世界中の素晴らしいミュージシャンと一緒に学び、生涯の友達になり、アイルランド文化にどっぷりと浸かりました。

アイルランドは私の音楽や教育についての考え方を変えただけでなく、人生の見方を変えてくれました。2017年に課程を終えました。

それは私の人生の1つの章を閉じたものでしたが、むしろ新しい章を開いたもののように感じられました。

最も影響を受けたのはどなたですか?

キャラ:上に挙げた演奏者の他に、ジム・ヒギンズJim Higgins 、マーティン・オニールMartin O’Neill、イーモン・マリーEamon Murray、コーマック・バーンCormac Byrne、コーム・フェランColm Phelan、ロビー・ウォーシュRobbie Walsh、コーム・マーフィーColm Murphyの方々です。

彼らのスタイルはそれぞれ異なっていますが、みんな今の私に大きな影響を残してくれました。

常に気持ちを奮い立たせておくために、演奏家としてどんな事をしていますか?

キャラ:私より優れた方の演奏を聞いたり、一緒に演奏したりすること、生の演奏を聞くこと、自分の演奏で常にチャレンジすること、そして友達と定期的にセッションすることです。

演奏の中で乗り越えてきた一番大きな問題は何ですか?

キャラ:バウロンを学ぶ上での大きな問題は2つあったと思います。

1つはクラシックの教育を受けた音楽家から伝統音楽の音楽家へと、どのように変貌するかということ、もう1つは何を演奏するかということ。

全てが楽譜に記されていて、そこから外れてはいけない世界から、決まりごとはずっと少なくて、個人の創造性の余地がずっと多い世界へ移ることは、信じられないほど自由で、同時に信じられないほど恐ろしいものでした。

基本的なものでは何を演奏するかはわかっていましたが、それを越えて、それぞれの曲を特別なものにしているのは何か、どうしたら私の周りの音楽家たちがしていることを身に着けられるのか…これを理解するために、たくさん聞いてたくさん練習しなければなりませんでした。

その上に私はアメリカ人で、アイルランドの伝統の中に生まれたのではないので、追いつくためにしなければならないことが本当にたくさんあって(頑張りました)、アイリッシュ・ミュージシャンであるということには、手の届かない基準がいくつかあると感じました。

私は物事を「アイルランド風」にするということに心を配りましたが、それは私が「アイルランド的だ」と感じたものの中から自分で集めた規則でした。

親友でクラスメートのコーム・フェランは、私は「人の感情を害したり、伝統を傷つけたりすること」を気にしすぎると言いました。

「音楽は音楽だよ。その音楽に合っていること、自分で合っていると思うことをすればいい。君は演奏して楽しいかということよりも、他の人がどう思うかを気にしすぎているよ。」と言ってくれました。

これで自分の狭い考えから抜け出て、ただ演奏すればいいのだと考えるようになりました。

これは私にとって大きなターニングポイントになりました。

チャンスをつかんで、飛び込んで、叩きたいように叩く。

ここに至るまでにおよそ7年かかりました。

そして学びたいこと、上達したいことはまだまだありますが、今の自分の演奏に満足しています。

今使っているバウロン、スティック、ケースはどこのものですか。

キャラ:自分のブランドがありまして、メットローフ・ドラムスMetloef drumsのロブ・フォークナーRob Forknerが作るキャラ・ワイルドマン・ライン(Cara Wildman Signature Line)を使っています。

プロテクション・ラケットのケースとスティービー・モイーズStevie Moisesのヘッドロッド・ティッパーを使っています。

あなたの演奏をユニークなものにしているのは何だと思いますか。

キャラ:この質問にはどう答えたらいいのかわかりません。

最初考えた答えは、曲のことがわかっていて、メロディー奏者と伴奏者の両方から何かを引き出して、メロディーを尊重しつつ自分の演奏に加える、でしたが、有能なバウロン奏者なら誰でもそんなことはしているし、それが私をユニ―クな存在にするわけではないと思います。

バウロンを始めたばかりの人に何かアドバイスをお願いします。

キャラ:優れたミュージシャン(バウロン奏者だけでなく‼)の演奏を聞いてください。

自分より上手な人と一緒に演奏し、よく聞き、曲を覚え、聞いて、批評には耳を傾けて、そして、やっぱり聞くのを忘れないでください。

最後にバウロンを学んでいる人に一言。

キャラ:上手になるまで、ひどい状態であっても恐れないでください。

必死で這いずり回って努力して、やがて優れた演奏者になるのです。

ローマは一日にしてならず。

あなたのバウロンも同じことです。

毎日バウロンを手に取ってください。

そうすればあなたのコロセウムを築くレンガの1つになるのです。

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