ボタン・アコーディオンは、B/CとC#/Dのどちらの配列がアイルランドの伝統音楽に向いていますか?


出典 https://blog.mcneelamusic.com/

アイルランド音楽で使用される2種類のボタン・アコーディオンの配列について、アイルランドの楽器店McNeelaのブログを翻訳しました。

[原文]Which Accordion Tuning Is Better For Traditional Irish Music – B/C or C#/D?

ボタン・アコーディオンは、B/CとC#/Dのどちらの配列がアイルランドの伝統音楽に向いていますか?

アイリッシュ・アコーディオンの愛好家からよく受ける質問のひとつに、チューニングに関するものがあります。B/CC#/D、どちらのアコーディオンの配列が伝統的なアイルランド音楽を演奏するのに適しているか、です。そこで、この話題について書くことにしました。このしばしば混乱を招く、時に議論を呼ぶテーマについて、少しでも指針を示すためです。

まず、B/CとC#/Dのボタンアコーディオンのチューニングは、どちらも伝統的なアイルランド音楽に適していることを知っておくことが重要です。違いは、楽器の物理的な演奏方法にあります。

ですからチューニングの選択は、最終的には個人の好みになります。この先をお読みいただければ、ご自身で判断するために必要な情報をすべてお伝えします。

何が違うの?

簡単に言うと、従来のB/Cボタンアコーディオンでは指の動きは大きくなりますが、蛇腹の動きは小さくなります。C#/Dボックスでは指の動きは少なくなりますが、蛇腹の動きは大きくなります。これは何を意味するのでしょうか?

ご存知のように、ボタン・アコーディオンの鍵盤は、バイソノール式(蛇腹の押し引きで異なる音高)の2列鍵盤です。つまりボタンを押すたびに、蛇腹を押しているか引いているかによって、2つの別々の音を奏でることになります。それでは両方のアコーディオンに共通するDメジャー・スケールを見て、どこに違いがあるのか見てみましょう。

Dメジャー・スケール。B/Cアコーディオンの運指と蛇腹

B/Cチューニングでは、全部で7つのボタンを演奏する必要があることがわかります。そのため、フィンガリングにも工夫が必要です。なお、蛇腹の動きはかなり制限されています。

Dメジャー・スケール。C#/Dアコーディオンのフィンガリングとベローズ

C#/Dアコーディオンでは、同じ音階を演奏するのに、4つのボタン(3′、4′、5′、6′)しか必要ありません。つまり、1つのボタンに1本の指、言い換えれば2音ごとに1本の指を使うのが便利なのです。しかし、蛇腹はB/Cアコーディオンよりもはるかに動かさなければなりません。つまり、それぞれの音を出すために、蛇腹を切り変えなければなりません。

音の違い

蛇腹の動きは、音の流れにも影響します。B/Cアコーディオンは滑らかで流れるような音、C#/Dアコーディオンは細切れリズミカルな音が特徴です。
現代のボタン・アコーディオン奏者の多くは、特にジグやリールでは、より滑らかで流れのある音を好みます。これはB/Cアコーディオンが得意とするところです。

一方でC#/Dアコーディオンは、パンチの効いたリズムを重視するシュリーブ・ルクラSliabh Luachraスタイルのダンス音楽でよく使われます。そのエッジの効いたサウンドとリズムの推進力は、生き生きとしたスライドやポルカを演奏するのに最適です。

自分に合ったアコーディオンは?

B/Cチューニングを支持する人の最大の理由は、C#/Dよりも人気があるからです。先生や教材を見つけるのも簡単でしょう。B/Cチューニングは、より多くのクロス・ロー演奏(ボタンの列をまたぐ運動)を必要としますが、練習と経験を積めば問題にはなりません。B/Cの楽器は、アイルランドの伝統音楽で使われている装飾音にも適しています。

すでにB/Cをお持ちの方で、C#/Dへの変更を検討されている方は、現在お持ちのモデルでC#/D配列に該当する運指を試してみると、自分に合っているかどうかがわかります。B/Cでハ長調の曲を演奏するだけで、C#/Dのアコーディオンに必要な指と蛇腹の動きの組み合わせを正確に感じ取ることができます。

メロディオンアングロ・コンサーティーナ、ハーモニカなどを演奏していて、これからボタンアコーディオンに移行しようとしている方は、C#/D配列の方がやりやすいと思います。指使いや蛇腹の動きは、これらのフリーリード楽器に近いものがあります。

どうやって決めればいいの?

簡単です。できるだけ多くのアイルランド音楽の録音を聴いて、どのボタン・アコーディオン奏者の音が一番好きかを聞いてみてください。その人の演奏スタイルではなく、楽器の音を聴くようにしてください。

例えば、フィンバー・ドワイヤーFinbarr Dwyer、ジョー・バークJoe Burke、パディー・オブライエンPaddy O’Brien、ボビー・ガーディナーBobby Gardiner,、PJ・ハーノンPJ Hernon、ジェームス・キーンJames Keane、ジョセフィン・マーシュJosephine Marsh、ジョン・ウィリアムズJohn Williamsなどのアコーディオン演奏が好きなら、B/Cチューニングがお勧めです。

アイルランドの伝統的なボタン・アコーディオンの巨匠の演奏を聴いてみませんか? フィンバー・ドワイヤーの象徴的な演奏は刺激的です。

アイルランドの伝統音楽でC#/Dチューニングを採用している奏者としては、バンドDanúのベニー・マッカーシーBenny McCarthyがよく知られています。ベニーが最初にC#/Dの「プレス&ドロー」スタイルのアコーディオンを知ったのは、シュリーブ・ルクラの偉大なアコーディオン奏者であるジャッキー・デイリーJackie Dalyの演奏によってでした。この古いスタイルは、ベニーも演奏していた10キー1列のメロディオン・システムをベースにしているので、間違いなく自分に合っていると感じました。

シャロン・シャロンSharon Shannon、ジョー・クーリーJoe Cooley、アイダン・コフィーAidan Coffey、トニー・マクマホンTony McMahon、ジャッキー・デイリーJackie Daly、マーティンン・オコナーMáirtín O’Connorなどに加えて、ベニーの演奏のファンであれば、C#/Dのチューニングが向いているかもしれません。

ただし、C#/Dチューニングは人気があるにもかかわらず、先生を見つけるのが難しい場合があることに注意してください。また、オンラインのアイリッシュ・アコーディオンの教材では、B/Cチューニングが好まれる傾向にあります。

専門家からのアドバイス

まだ決めかねている方、ご安心ください。どちらのチューニングでも、どのキーでも演奏できますし、どちらも本格的なアイリッシュ・サウンドを得ることができます。どちらを選んでも間違いではありません。

とはいえ、個人的には、アコーディオン初心者の方には、まずB/Cチューニングをお勧めします。よりポピュラーで手に入りやすいというだけでなく、B/Cチューニングの楽器は手頃な価格で手に入るものが多いからです。もししばらくして、どうしてもC#/Dを弾きたいと思ったら、後からでも新しい楽器を購入することができます。簡単ですね。

そこで、当店で販売しているB/Cボタン・アコーディオンをご覧になってみてはいかがでしょうか。ご予算や演奏レベルに応じた製品をご用意しています。

もし正しい楽器を決めるのに少し手助けが必要なら、私は2つの便利なブログ記事を用意しています。アイリッシュボタンアコーディオンの完全バイヤーズガイドと、私の個人的なお勧めのアイリッシュミュージック用ボタンアコーディオンのトップ5(未訳)をご覧ください。

C#/Dボタンアコーディオンは、アイルランド音楽を象徴するC#/Dのプレス&ドロー奏法を学びたいという方にぴったりの楽器です。C#/Dボタンアコーディオンは、弾きやすさを追求した軽量なアコーディオンなので、生き生きとしたポルカをスピーディーに演奏することができます。

[画像出典:www.boxbenny.com]

当店でも取り扱っているアイルランドの楽器店McNeelaのアコーディオン。ぜひお店に足を運んでお試しください。