袋にたくさん笛が刺さっている不思議な楽器「バグパイプ」。実はたくさんの種類があり、その数なんと100種類以上とも言われています。本シリーズでは、そんなバグパイプについてご紹介します!
グレート・ハイランド・パイプスGreat Highland Bagpipes
グレート・ハイランド・パイプス(Great Highland Bagpipes = 略してGHP)は、スコットランドで最も広く演奏されるバグパイプです。
バグパイプ族の中でも世界中でもっとも広く知られており、バグパイプの代名詞的な楽器です。
GHPは1000年以上も前から演奏されていたと言われている、とても独特な構造を持つ楽器です。
まず口にくわえた管(ブローパイプ)を通して、バッグに空気をため、そこに圧力を加えることによって、中にある空気を「チャンター」と呼ば れるリード(音を鳴らす仕組み)のついたパイプに送ることにより音が出ます。
やたらたくさんの「棒」が伸びていますが、チャンターと呼ばれる指で演奏しメロディーを担当するパイプ以外(上に突き出す3本)はドローンと呼ばれ、それぞれがチューニングされた単音を鳴らし続けます。
通奏管(ドローン)は3本で、主音はB♭(移調楽器であり記譜音はA)、旋法はG、記譜上のG(通称LowG)からA(通称HighA)までの9音を出すことができます。
管の先は閉じることがありませんので、アイルランドのイリアン・パイプスやイングランドのノーサンブリアン・スモールパイプスのように音を止めたり、スタッカートな演奏はできません。
とても大きな音量のため、室内での演奏や管弦楽器との合奏には向きませんが、古来から、太鼓との合奏によるマーチングでもっともよく演奏されてきました。
現代では、音響機材を使うことでバンド・サウンドの中でもアンサンブルに使われています。
スコットランド人の魂を表現する楽器としての位置づけから、19世紀には50年間にわたって演奏が禁止された時代もありました。
現在は、日本をはじめ世界各地にパイプ・バンド(鼓笛隊)があります。