管楽器の継ぎ目の気密を保つコルク。一般的には指孔があるボディ側に巻きますが、ミュジク・モルノー製作の管楽器はヘッドの内側に貼られています。この件について職人のモルノー氏に質問をしてみました。
Q:御社の管楽器ではコルクをヘッドの内側に貼っていますが、なぜでしょうか。ボディの外側に貼る場合とは、どう違うのでしょうか。コルクを交換する際に、ボディ側に貼っても問題ないものでしょうか。
▲モルノー製アイリッシュ・ピッコロ
▲コルクがヘッドの内側に貼られている
▲Peter Worrell製アイリッシュ・ピッコロ
▲ヘッドの内側にはコルクが貼られていない
A:ジョイント部のコルクは、チューニングのために楽器を引き抜くときに、空気の通りを妨げる内部の凹凸を最小限にするためのものです。 従来の分厚いテノンとそのテノンに貼ったコルクでは、楽器を抜くと内側に大きな隙間ができてしまい、抜いた分以上に気柱が長くなるばかりか、高音域で気柱が途切れてしまうことがあります。これは先代のラルフが実験していたことで、私はそれを続けています。
とはいえ、私のフルートの一部では、演奏者からの要望もあり、伝統的なテノン、つまりボディ側にコルクを貼るようしています。横笛や笛を吹くとき、演奏者の手による圧力が掛かって笛が曲がってしまうからです。伝統的なデザインのテノンではそのような問題は起こりません。
しかし私の工房で製造しているピッコロやホイッスルなどの小さな楽器では、ヘッドの内部にコルクを貼るデザインで製作を続けています。 貼り替えの際ですが、コルクが笛のテノン側に接着されていると組み立てるのが面倒ですし、引き離したときにチューニングに大きな影響を与えるでしょう。 ですから、あまりお勧めできません。
▲モルノー製アイリッシュ・フルート
▲コルクがヘッドの内側に貼られている
▲Martin Doyle製アイリッシュ・フルート
▲ヘッドの内側にはコルクが貼られていない