ライター:松井ゆみ子
今いちばん気に入っているチューンです。
フィドルの小松大さんのサイトで、急逝されたチーフテンズの名フィドラー、ショーン・キーンの演奏するヴァージョンが紹介されていました。バウロン奏者が3人!勇ましい演奏です。
3月のクランコラマガジンではマーティン・ヘイズがグローミングと演奏するヴァージョンをご紹介しましたが、同じチューンと思えないほど印象が異なっています。
チーフテンズの演奏は豪族オサリヴァン率いるクランたちの雄姿を描き、かたやマーティンは、オサリヴァンたちが戦いに敗れて北へ北へと追われる悲哀を描いていると感じています。
解釈の仕方で同じチューンがこんなにも別の表情を見せるのかと驚きました。
個人的にはマーティンの演奏するオサリヴァンズ・マーチが大好き。
チューンを習ったときに「1000人もいたクランたちが最後は30人にまで減っていた」という話を聞き、悲しい歌にしか思えなくなっていたのです。チューンを弾きながら、国を司る豪族とクランたちの姿を思い描く。今までになかった体験です。
何年も前のことですが、ウィリー・クランシー・サマースクール開催期にミルタウン・マルベイのパブでケリーの友人がフィドルを弾いているのを発見。そのとなりで演奏していたのがショーン・キーン!ふつうのパブで市井の人たちにまざって演奏しているところを目撃できたのはラッキーでした。この国ではごく自然なことでもあるのですが。