ライター:松井ゆみ子
スライゴータウンにあるホークズウエル・シアターHawk’s Well Theatreはこぢんまりとしたヴェニュー(venue、会場)ですが、ラインアップが抜群。
音楽だけでなく演劇やコメディなど様々なジャンルのイベントに活用されています。かつての地元ニューブリッジにも、ホークズウエルと同じくアーツカウンシルが関わる同じような規模のヴェニューがありましたけれど、スライゴーは地元アーティストの層が厚く、特に素晴らしいミュージシャンがたくさんいるのでコンサートの充実ぶりはここにかないません。さらにツアーするミュージシャンたちも必ず立ち寄るので、コンサートのラインアップは贅沢を極めています。
trad@lunchのタイトルで、夏に開催されるランチタイムコンサートは太っ腹に入場無料。毎週水曜日の昼1時10分から40分間、実に中身の濃い演奏を楽しめます。すべて伝統音楽。さすが。
アイルランドでは1時から2時までがランチタイムとして仕事の休憩時間にあたることが多いので、そこを考慮して組まれたタイムスケジュールなのも親切です。
つい先日はイルンパイパーのレナード・バリーLeonard Barryとギターのシェイン・マッガワンShane McGowanさらに若手女性パイパーのイーファ・ファディアンAoife Fadianが参加し、パイプス2名の豪華な演奏。イーファはレナードの教え子と聞いていますが、華奢な体躯を逆手にとるかのような軽やかなパイプスが新鮮でした。
わたしの前に座っていた80代とおぼしき女性は、音楽に合わせてダンスのステップを踏んでいたのが印象的。一番前には1歳に及ばない赤ちゃんを抱くお母さんが、チューンに合わせてスイングさせていて。赤ちゃんは嬉しそうに笑っていました。こういう子どもがすぐに楽器を持つようになるのだよねと確信。
5月から8月いっぱいまでの開催ですが、去年よりも期間が長くなっているので、きっと来年も開催されると思いますからアイルランドに旅される方はぜひスライゴーにも足をのばしてみてくださいね。
このコンサートの少し前、いつものセッション練習会でパイプスとティンホイッスルに合わせてフィドルを弾く貴重な機会がありまして。とてもスリリングな体験だったのです。高音が天空を突き抜けていくような。
パイプスは魂を揺さぶる楽器だと思います。