出典 https://blog.mcneelamusic.com/
アイルランドの楽器メーカーMcNeelaが公開しているブログの中から、バウロンを演奏するための「ビーター」についての解説記事を許可を得て翻訳しました。
原文：The Best Bodhran Beaters for Traditional Irish Music
バウロンのビーター（ばち）の種類と特徴を解説します
バウロンbodhránは元々（そして今でも）手で演奏することができますが、現代のアイリッシュ・バウロン演奏では、ティッパーtipper、スティックstick、シピンcipínとしても知られるバウロン・ビーター beater（ばち）を好んで使用します。
現代アイルランドのバウロン演奏スタイルの人気が高まるにつれ、バウロン・ビーターの種類も非常に増えています。バウロン同様、ビーターも様々な形や大きさがあり、ビーターによって出る音も異なります。
では、新しいバウロンのビーターを買おうと思ったら、何から始めればいいのでしょうか？ どうやって選べばいいのでしょう？ どのスティックがあなたの求めるサウンドを生み出すのでしょうか？
良いニュースは、バウロン・ビーターはいくつあっても困らないということです。あなたにとっての究極のビーターというものはありません。結局のところ、バラエティは人生のスパイスなのです。
とはいえ、あなたが十分な情報を得た上で決断できるよう、この短いガイドをまとめました。現在入手可能な数多くのバウロン・ビーターの中から、どのような音が出るのか、どのスタイルがあなたの演奏に最も合うのか、読み進めて学びましょう。
木の種類
楽器とは異なり、バウロンのビーターが出す音に材質の選択はあまり影響しません。しかし、木材の選択はティッパーの感触やグリップに影響し、ひいては演奏時の快適さにも影響します。
よく使われる木材には、黒檀ebony、スネークウッドsnakewood、メープルmaple、アッシュash、ウォールナットwalnutなどがありますが、私の個人的な好みはローズウッドrosewoodです。
形状
スティックの形や重さは、演奏者の打ち方や手の動きに影響を与えますが、ほとんどの場合、演奏のしやすさを左右します。快適なバウロン奏者は幸せなバウロン奏者です。
数年前までは、短くて太くて重いティッパーが大流行でしたが、最近のトレンドは長くてスリムでバランスの良いティッパーに移っています。
この違いは何でしょう？
ハード・ティッパーHard Tipper
より伝統的な音を出すティッパーで、古いスタイルのバウロン演奏の代名詞です。一般的に力強く、パワフルでクリアな音色を出します。個人的には、私の演奏スタイルに最も合っていて、音も感触も好みなので、このスタイルのティッパーが一番好きです。
他のバウロンのビーターと同様、形や大きさはさまざまです。カーブしていて両端が球根のように広いものもあれば、スリムでストレートなものもあります。両端が重くしてあるものや、打ち心地や打ちやすさを考慮して、さまざまな切り欠きやグリップがついているものもあります。しかし、サウンドに最も影響を与えるのはヘッドの形です。
大型ラウンド・ヘッドLarge Round Head
ヘッドが大きいため、ビーターの打撃面が大きく、他のスティックよりもアタック感がやや劣ります。ローエンドの音が多く、ソフトで温かみのある音色を生み出します。ただし、小型のスティックに比べると、音がこもったり、濁ったりすることがあります。
ティアドロップ・ヘッドTear Drop Head
小さめのヘッドで、打撃面は比較的大きいものの、低音と高音のバランスが良く、より洗練されたサウンドが得られます。アタックが強く、音が響きやすい特徴があります。このビーターは軽量で、速い演奏に特に有効です。
楕円ヘッドEllipsoid Head
ティアドロップと同じ長所を持つ薄型ヘッドです。大きさの割にインパクト面が比較的大きいですが、その分重量があります。楕円ヘッドはティアドロップよりも低音域が強く、クリアで力強く響く音色を生み出します。
このような細いスティックは通常、より頑丈にするため、特に硬い木材で作られています。
ウェイト・ビーターWeighted Beaters
その名の通り、ウェイト・ビーターには先端に小さな金属製の錘（おもり）が固定されています。ビーターの両端にドリルで穴を開け、真鍮かスチールを接着剤で固定します。
錘はビーターが手の中で楽にスイングするのを助け、手首への負担を軽減します。しかし、奏者によっては重すぎて、手に負担がかかりすぎると感じることもあります。できるだけ多くのバウロン・ビーターを試し、自分に合ったものを見つけることが大切です。
ホット・ロッド・ティッパーとドウェル・ティッパーHot Rod and Dowel Tippers
ホットロッド・ティッパーは、近年非常に人気があります。この種のビーターは、ハード・ティッパーよりもずっとソフトな音を出します。また、パーカッシブなクリック音（カチカチいう音）を得ることができます。最も基本的な形は、細い木の「ダボdowel」をテープで留めただけのものです。ホット・ロッドは、一般的なハード・ティッパーと同じ打撃面をカバーしますが、打点あたりのアタックが大きく、ふくよかで暖かく、響きのある音色を生み出します。
多くのバウロン奏者が、汎用性の高さからこのビーターを好んで使用しています。ほとんどのホットロッド・ビーターには、ダボを締めたり緩めたりする機能を備えており、様々なサウンドを楽しむことができます。ダボの間隔が広いほど音は柔らかくなり、クリック音が増します。ダボをきつくしたり近づけたりすると、硬いスティックの音に近くなります。また、ドウェル・ティッパーとハード・ティッパーをミックスしたハイブリッド・ビーターもあります。
スプリット・ティッパーSplit Tippers
スプリット・ティッパーはハード・ティッパーで、その名の通りビーターの一端で割れており、ドウェル・ティッパーのような効果があります。ヘッドの形状によって音色は異なりますが、一般的に強く響く音色で、ホットロッドビーター特有のパーカッシブなクリック音が加わります。
ミックス・ビーターMixed Beaters
ハイ・ハット・ミックスHi Hat Mixと呼ばれるハイブリッド・ビーターもあります。
これは、ティッパーの真ん中に軽くて硬い芯があり、その外側をダボが取り囲んでいます。このミックス・ビーターは、ハード・ティッパーの重さと力強いサウンドの両方の利点を提供すると同時に、ドウェル・スティックの温かみのあるパーカッシブなスリックも提供します。両方の長所を併せ持ちます。
ブラシ・ビーターBrush Beaters
ブラシ・ティッパーは、ソフトでまろやかな音色を奏でます。音量が小さいため、セッション・プレイには不向きですが、適切な音楽セッティングでは素晴らしい雰囲気を作り出します。ホットロッドと同様、ブラシ・ビーターも調整が可能です。ブラシの毛を伸ばしきった状態で演奏すれば優しくスウィッシュするようなサウンドが得られ、押し込めばアタックが強調されます。いずれにせよ、出る音はソフトで優しいものになります。
このタイプのビーターは、効果的なスネアとしても使えます。Rónán Ó Snodaighがそのような目的で使っているのを観察してみましょう。
マクニーラ・ティッパーMcNeela Tippers
McNeela Instrumentsでは、いくつかのビーターやティッパーを購入し、実際に試してみることをお勧めしています。そうすることで、どれが自分に最適かを判断することができます。このビデオでは、バウロンのエキスパートであるNeil Lyons氏が、McNeelaのバウロン用ビーターの中から最適なものをご紹介しています。