ライター:オンラインショップ 店長:上岡
有名な歌手グループの名前として有名ですが、今回は実際のケルトという民族の中の女性たちに焦点を当てたお話をしてみたいと思います。
歴史的なグループとして絶大な知名度を誇るバイキング(北欧の海賊、最近は優れた海洋商人とも)の歴史の中で、「女性は戦士にもリーダーにもなれた」という、今のご時世に語り継がれている「古代から男性優位社会は脈々と受け継がれて来ている」という弊害的な歴史感が、地域によっては全く違っていたということは、割と発見されています。
ちょっと真面目な話をすると、今の文化に影響を与えているのは、基本的に「勝ち組集団の思想」です。もしも、バイキングがヨーロッパの覇権を長く握った世界線があったなら、今とは違う発展をし、今になって女性の権利拡大に苦心する必要がなかったのかもしれませんね。
と、少し話が逸れてしまいましたが、ケルトの文化の中での女性はどのような存在だったのでしょうか。
なんて質問を投げかけましたが、わざわざバイキングの例を持ち出していることでわかるように、ケルト文化の中の女性は、とても重要で大きな役割を担っていました。
女性がリーダーになる、権力を持つ、戦闘を教えることができるのは当然で、土地を持つことも、離婚することも(これはのちにキリスト教をメインにしたローマ帝国〜中世のヨーロッパの人たち全員がびっくりするレベルのことなのです)、さらにはその地域における裁判長、弁護士、市長、祭司のすべてをひっくるめたような最強の役職「ドルイド」になることもできたそうです。
これはその当時のローマ帝国や、それまでのギリシャ文明を見ても、またその後続く中世の歴史を見ても、かなり先進的で現代的な制度を持っていたということがわかります。
さらに言うと高齢者・障害者・子どもの権利保護にも熱心な側面もあったように、社会保障がすごく充実した集団だったんです(こちらは当時のドルイドが決めることだそうなので、だめドルイドが出てきたら、ちょっと話が変わる)。
ドルイドについては別でちょこっとまとめていますので、興味があればぜひご覧ください。(第57〜61回のコラムです)
ちなみに、2009年にドイツのドナウ川近くで発見された遺跡があるんですが、その後の調査でそれがケルト人女性のお墓だったことがわかりました。この女性が誰なのかは今のところ明らかにはなっていませんが、めっちゃたくさんの装飾品(この精巧さが研究者を驚かせたそう)と、また同時に亡くなったと見られる子どもも一緒に埋葬されていたことから、すごく裕福な女性 or 王女さまじゃなかろうかと言われています。
そんなわけで「蛮族」「野蛮人」という言葉で語られがちな古代ケルトの民族ですが、実際のところ、むしろ先進的で平等な制度を持っていたり、お墓の女性のように確立された埋葬文化を持っていたりと、全然蛮族じゃないことが、日々明らかになっている、というお話でした。