【初心者が自力で調べる楽器の話シリーズ】第4回:バグパイプ その3「大自然の中だから大音量」

ローマ皇帝ネロが(も)実施していた「戦場にバグパイパーを」という風習は近代の戦争まで利用されています。映画「プライベート・ライアン」やちょっと古いですが「史上最大の作戦」などで描かれ、非常に有名なノルマンディー上陸作戦。この超過酷そうな作戦中にも、バグパイパー(バグパイプ奏者)は同行しています(ウィリアム・”ビル”・ミリンさん)。が、このパイパー同行は当時、すでにルール違反だったそうです。(前線への同行は許可されていなかったんだとか)

なんでそんなにバグパイプを戦場に持っていきたいかというと、これはこちらのコラムに書いていますが、単純に音が大きいこと、そしてバッグに息を貯めてそれを押し出して演奏しているので、息を吸う時に音が途切れないことがポイントだったそうです。

仮にパイパーが倒れても、すぐに次の人が演奏を繋げれば、敵からすると、撃てども撃てどもバグパイプの演奏が途切れない…!という精神的プレッシャーを与えた、みたいな話でした。

少し話はそれますが、スコットランドはとっても雄大な風景が人気です。

山!谷!湖!そんなところで演奏・練習する分には、この大音量も問題になりません。

ちなみにスコットランドの人口密度は1キロ四方あたり約66人だそうです。

それでもイングランドの方に下っていくと、もうちょっと人口密度が濃くなるわけで、そういった事情が関係あるのかないのか、アイルランドや、スコットランドからイングランドの境あたりにかけて、バグパイプは多様に進化して、様々なモデルが生み出されています。

一番画期的だなと(ビギ丸が)思うのは、息を口から吹き込むのをやめてしまった、飛沫レスモデル(?)イリアン・パイプス。これは吹子(ふいご)を肘でしゅこしゅこ押すことで空気を送り出してバッグに空気を貯めるので、口を利用しないんです。肺活量アップには役立ちませんが、演奏中に口が使えるというのは、笛吹きにとっては魔法のような話だと思います!

だって、演奏中にビールを飲もうがおしゃべりしようが、そして歌おうが、自由なわけですから!

あれ、なんの話をしてたんでしたっけ。

そうでした、バグパイプって大音量なんですよ。

だから、アメリカンジョークには「バグパイプ吹けばソーシャルディスタンスが容易」(うるさくてみんな離れていくから)、「バグパイプと武器を並べて販売すると、バグパイプが売れて、その数日後に武器が売れる」(うるさすぎてしびれを切らした隣人が… こわいジョークですね)というものまであります。

そんな大音量でお馴染みのバグパイプですが、日本の人口密度は1キロ四方あたり340人。スコットランドの5倍強です!そんな中で、普通にバグパイプの練習をしたら、さすがにご近所さんにご迷惑でしょう。

なので(最後にめっちゃ宣伝になってしまいますが)そういった方のために、日本でも演奏しやすい音量控えめ、ドローン少なめ、運指がティン・ホイッスル(アイルランドの超メジャーな縦笛)と共通というオリジナルモデルのバグパイプを開発しています。

その商品については、こちらで解説していますので、よければ読んでみてください。

今回は初心者なりにバグパイプについて色々調べてみました。

これで、バグパイプは

  • バッグに棒が刺さってるわけではない
  • バグパイプはスコットランドの楽器っぽい顔をしてるけど、実はエジプト(中東)が発祥地
  • バグパイプのドローンは小型無人機ではない
  • バグパイプは音がでかい
  • 笛屋さんにはオリジナルのバグパイプがある(露骨)

ということがわかっていただけたかと思います!

このあたりで、初めての「初心者が自力で調べる楽器の話」シリーズひとつめの楽器「バグパイプ」の回を終わりたいと思います。

そして次回からは別の楽器を調べて報告したいと思っています!(さて、何の楽器にしましょうか)

それではまた次回。