みなさん、今日は何の日かご存知ですか?
「聖ジョージの日」、さらに「世界本の日」でもあります。
日本ではあまり一般的とはいえないので、ご存じない方も多いかもしれません。
実はケルト文化と深い関係があるのです。
この2つの記念日、それぞれどんな日なのかざっくりと解説します!
「聖ジョージの日」
4/23は、イングランドの守護聖人「聖ジョージ」の命日です。
国によって表記が異なり、「ゲオルギオスの日」や「聖ユーリーの日」などと呼ばれたりします。
スペインのカタルーニャ地方では「サン・ジョルディの日」と呼ばれ、バラと本を贈り合うというとってもロマンチックな文化があるのだそう。
聖ジョージ
イングランドの守護聖人である聖ジョージには「竜」にまつわるたくさんの伝説が残されています。
そのうちの一つをご紹介しましょう。
カッパドキアのセルビオス(Selbios)王の首府ラシア(Lasia)付近に、毒気は振りまく、人には咬み付く、という巨大な悪竜がいた。人々は、毎日2匹ずつの羊を生け贄にすることで、何とかその災厄から逃れることとなったのだが、それが通用するのはそんなに長い時間のことではなかった。羊を全て捧げてしまった人々は、とうとう、人間を生け贄として差し出すこととなった。そのくじに当たったのは、偶然にも王の娘であった。王は城中の宝石を差し出すことで逃れようとしたが、もちろんそんなものでごまかせるはずはなかった。そのかわりに8日間の猶予を得た。
そこにゲオルギオスが通りかかった。彼は毒竜の話を聞き「よし、私が助けてあげましょう」と出掛けていった。
ゲオルギオスは生贄の行列の先にたち、竜に対峙した。竜は毒の息を吐いてゲオルギオスを殺そうとしたが開いた口に槍を刺されて倒れた。ゲオルギオスは姫の帯を借り、それを竜の首に付けて犬か馬のように村まで連れてきてしまった。大騒ぎになったところで、ゲオルギオスは言い放った。
「キリスト教徒になると約束しなさい。そうしたら、この竜を殺してあげましょう」
こうして、異教の村はキリスト教の教えを受け入れた。
このお話も地域によって何パターンか派生バージョンが伝わっており、スペインのカタルーニャ地方に伝わるお話では、退治された竜から流れ出た血がバラに変わったという結末になっています。
そして、「サン・ジョルディの日」にバラを贈り合う文化が誕生したのです。
もともとはバラだけを贈りあっていましたが、4/23はイングランド出身の伝説的な作家であるシェイクスピアの命日(諸説あり)ということもあり、バラと一緒に本も贈り合う文化に変わっていきました。
世界本の日
続いては「世界本の日」について。
ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)で制定された国際的な記念日で、読書や著作権保護の促進を目的とした様々なイベントが開催されます。
イベント内容は特にこれといった決まりはありませんが、読書に関するイベントが多いようです。
日本でも、「子ども読書の日」として学校や図書館、本屋さんなどでイベントが開催されていたりします。
世界本の日」が4/23となった理由
もう一つの記念日「聖ジョージ(サン・ジョルディ)の日」にカタルーニャ地方での本を贈り合うという文化はユネスコにとっても大きなヒントとなりました。
さらに、シェイクスピアだけでなく、『ドン・キホーテ』の作者セルバンテスや『インカ皇統記』の作者インカ・ガルシラーソ・デ・ラ・ベーガなどといった著名人の命日も4/23であるなど、「本」にまつわる様々な要因が重なり制定に至ったのです。
大型連休はケルト文学に浸りませんか?
もうすぐGWの10連休がやってきます。
たまにはケルトの音楽だけでなく、文学に触れてみるのも楽しいかもしれません。
※ちなみに、アイルランドでは「聖ジョージの日」や「イースター(復活祭)」と重なる影響で4/23ではなく3月の第一木曜日が「世界本の日」なのだそうです!