ライター:hatao
ブルトン音楽担当のhataoです。フランス北西部のケルト文化が残る土地、ブルターニュには魅力的な伝統音楽があります。かねてよりアイルランド音楽との交流も盛んで、フィドルのKevin Burke、Calico、Lúnasa、Gráda、Flookなど多くのアイルランド音楽演奏者がブルトン音楽をレパートリーに取り入れています。
そんなブルトン音楽は、同じケルト音楽というカテゴリーでもアイルランド音楽やスコットランド音楽とは全く異なるので、演奏したいと思ってもとっかかりがつかみにくいことでしょう。ハードルの一つは資料の少なさ。楽譜集や教則本らしいものはほとんどありません。もう一つは多様性。アイルランド音楽のように音楽や踊りが標準化されていないので、ブルターニュ半島の各地域で多様で一口に語ることができません。そして何より英語ではないという言語の壁。
それでも演奏できるようになりたい! という方にまずおすすめするのはこちら。オンラインで好きな時間にビデオを視聴して音楽を学ぶことができる総合的なコースです。
科目はボンバルド、ビニウ、フィドル、アコーディオン、クラリネット、ハープ、ギターがあり、豊富なビデオレッスンが用意されています。ビデオには英語字幕が付いているのはとても助かります。支払いは月額制で、レッスン代としては大変お安いです。残念ながらフルートのコースはないのですが、フィドルの講座を見れば、リズムやアーティキュレーション、装飾などさまざまなことが理解できるでしょう。
他にはこのようなサービスは見つけられなかったのですが、講師のレベルの高さから、こちら1本で間違いありません。
参考資料や楽譜集としては、以下が比較的入手しやすいでしょう。
・アイリッシュ・フルート奏者のDesi Wilkinsonによる英文の書籍
Call to the Dance: An Experience of the Socio-Cultural World of Traditional Breton Music and Dance (Wendy Hilton Dance and Music)
・ブルトン音楽の「オニールの書」とも言うべき、100年前の曲を2,265曲集めた楽譜集
Folk Music of Brittany – Toniou Breiz-Izel: 2265 tunes from Brittany/Breton
・アメリカのMelbayから楽譜集が出ています。デジタル版でも購入できます。
https://www.melbay.com/Products/22192EB/traditional-breton-dance-tunes–fest-breizh.aspx
あとは個別の演奏者を見つけてオンライン・レッスンを申し込んだり、ブルターニュの「スタージュ」と呼ばれる講習会に参加したりするなど、ちょっと骨は折れますが道筋はあります。
ほか、何かよい資料などご存知でしたらぜひお知らせください。