パイパーの王様たち:松井ゆみ子

ライター:松井ゆみ子

セイント・パディ・デーの日にパブでセッションするために、1週間にひとつずつならったチューンが4つ。歌ものなのですが、うまくセットになるのです。それもそのはず、イルン・パイパーの、まさしくキングといえるリオ・ロウサムLeo Rowsomeが選んで演奏していたもの。

  • The Irish Immigrant
  • Wearing of the Green
  • Irish Rover
  • Minstrel Boy

アイリッシュ・ローヴァーはポーグスのヴァージョンで耳馴染んでいる方も多いのでは?

あとの3曲は、アメリカに渡って活躍したアイリッシュのシンガー、ジョン・マコーマックの歌で知られています。われわれセッション仲間も、マコーマックの古い音源でメロディを覚えました。すでに歌を知っている仲間も多く、個々のチューンはわりあいとすぐに演奏できるようになったのですが、セットとなると出だしがさっと思い浮かばず、おたおた(苦笑)

それが思いがけずつい最近、このセットをラジオで聞きました。

お気に入りの番組“The Rolling Wave”(RTE radio 1)でロウサム・カルテットの特集をしていたのです。オリジナルはリオ本人が1920年代にセットアップしたグループで、ウィリー・クランシーが参加していたこともあったそう。

そしてなんと。近年、リオの孫でパイパーのケヴィン・ロウサムを中心に再結成されていました。知らなかった!

番組にゲスト出演し、スタジオ演奏していたメンバーは、ケヴィンの他にミック・オブライエン、ノリグ・マッカーヒNollaig MacCarthaigh、来日経験のある若手マーク・レドモンド。

同じメンバーで演奏している映像を発見。2018年のフラーTVから。

“The Rowsome Quartet”

先に紹介したセットを演奏していますが、短いヴァージョンをつなげているのはテレビ向きにかな。でもこれを聴き込んでおけばセットもモタつかずにできそう。タキシードはリオの時代からの決まりなのだそうです。かっこいいね。

リオ・ロウサムは、演奏者であり、パイプスのメーカーであり、教師で、リーアム・オフリンが教え子だったことはみなさんご存知かと思います。

リーアムのきっちりした演奏は、彼の性格なのでしょうけれど、リオの教えも大きく影響しているように感じます。“The King of Pipers”は66年にリリースされた、リオの最後のアルバムタイトルでした。

来年のパディー・デーまでまだ日がありますから、ぜひこの4曲のセット、トライしてみてください。アイルランド人魂の込められたチューンばかりで、士気が上がることまちがいなし!