出典 https://blog.mcneelamusic.com/
アイルランドの楽器メーカーMcNeelaが公開しているブログの中から「ティン・ホイッスルやロー・ホイッスル」について解説している記事を許可を得て翻訳しました。
原文:The Complete Guide to The Irish Tin Whistle
ティン・ホイッスル完全ガイド
ティン・ホイッスルは、世界で最も偉大な楽器のひとつです。軽くて手に入りやすく、値段も手頃なこの小さなアイルランド音楽を象徴する楽器は、初めてアイルランドの伝統音楽を学ぼうとする人に私が最もお勧めする楽器です!
この楽器は、様々な形や大きさ、そして様々な値段で販売されています。この万能な楽器について知るべきことは意外と多いものです。そこで、アイルランドで最も人気のある楽器の一つであるティン・ホイッスルについて、あらゆる疑問にお答えするために、この便利なティン・ホイッスルFAQをまとめました。もしこの楽器について質問があるのなら、あなたは正しい場所に来たのです。まずは基本的なことから……。
ティン・ホイッスルとは?
ティン・ホイッスルは、シンプルな6つの指孔のある木管楽器です。伝統的なアイルランド音楽と関係の深い、フィップル(リコーダー様の発音する仕組みがある)式の笛の一種で、ペニーホイッスル、アイリッシュ・ホイッスル、ケルティック・ホイッスル、ファドーグストーンfeadóg stáin(アイルランド語、発音はfa-dohg-stawn)とも呼ばれます。
多くの人は伝統的な金属ボディのホイッスルに親しんでいますが、現代のホイッスルは真鍮、ニッケル、アルミニウム、デルリン、ポリマー、木材など、さまざまな素材で作られています。
それぞれの素材は、独自の音色や音質を生み出します。ニッケルメッキを施した真鍮製のホイッスルは、真鍮製のものよりも明るい音色で、よりまろやかな音がします。一方、デルリン製ホイッスルは、木製のホイッスルに似た、驚くほどウッディな音色を奏でます。
どのような素材で作られた笛であっても、お手入れやメンテナンスは必要です。お手入れ方法については、私のブログ記事で詳しくご紹介しています:Irish Tin Whistle Care & Maintenance(ティン・ホイッスルのお手入れとメンテナンス)
ソプラノ、アルト、テナー。ホイッスルの音域分類
現代のティン・ホイッスルには、さまざまな大きさのものがあり、さまざまなキーがあります。
これらのキーは、3つのカテゴリーに分けられます。
- ソプラノ・ホイッスル:BbからHigh Gまで
- アルト・ホイッスル:Low FからLow Aまで
- ロー・ホイッスルまたはテナー・ホイッスル:Low CからLow Eまで
ソプラノ、アルト、テナーとは、その笛が演奏される音域を表す言葉です。
ティン・ホイッスルのキーの選び方
ティン・ホイッスルには様々なキーがあり、一般的にはLow D管からHigh G管まであります。
D管は標準的なコンサート・ピッチ(A=440hz)のティン・ホイッスルで、初心者から中級者まで幅広くお勧めします。以下のビデオで、この特徴的なアイルランドの音色をお聴きください。
標準的なD管ティン・ホイッスルは、アイルランド音楽で最も一般的なキーであるニ長調(Dメジャー)とト長調(Gメジャー)、およびそれらの並行短調であるロ短調(Bマイナー)とホ短調(Eマイナー)を快適に演奏できます。
また、指孔を半分ふさぐことで、限定的な派生音を演奏することもできますが、演奏速度やチューニングに影響を与える可能性があるため、半音階は通過音での使用に限定することをお勧めします。
アイリッシュ・ティン・ホイッスルではどのようなキーで演奏することができますか?
ティン・ホイッスルで様々なキーを演奏することは、これ以上ないほど簡単です。曲や指使いを覚え直す必要はなく、別のキーのホイッスルを購入すればいいのです。
ティン・ホイッスルは、移調楽器です。つまり、演奏できる音は、その笛の調によって決まるのです。どういうことでしょう?
D管で最低音を吹く場合、6本の指を降ろしそれぞれの指孔を1本ずつ塞ぐと、D(レ)として聞こえます。しかし、C管の笛で同じ運指をすると、代わりにC(ド)が出ます。クロス・フィンガリングや指孔の「半分閉じ」を使わずに、どの笛でも最も簡単に演奏できるキーは、トニック(その笛の主音)とサブドミナント(トニックの4度上)、さらにそれらに関連する自然的短音階です。例えば、D管では、Dメジャー、Gメジャー、Eマイナー、Bマイナーを快適に演奏することができます。また、Gの音孔を半分ふさいでG#が吹けるので、Aメジャー(D管のドミナント。主音の5度)を演奏することもできます(ただし、これはときどき派生音を吹く場合にのみお勧めします)。各ホイッスルで最も演奏しやすいキーについては、以下の便利なリストをご覧ください。
出典 https://blog.mcneelamusic.com/
各音域の音色について
もし他のキーでホイッスルを吹いてみたいのであれば、以下の2つの重要なことを覚えておいてください。
- キーが高いほど音は明るくなり、キーが低いほど音はまろやかになります。
- キーが高いほど楽器は小さく、キーが低いほど楽器は大きくなる。
Dキー以外で最も人気のあるティン・ホイッスルのキー(そして私のお気に入り)は以下の通りです。
ここでは、Bb管のWild Irish Whistleを名手ブライアン・ヒューズBrian Hughesが演奏した例を紹介します。ロバート・ハーヴェイRobert Harveyが演奏した標準的なD管の明るさとは異なる、メロウな音色を聴くことができます。
ロー・ホイッスル
ロー・ホイッスルとその象徴的な音色をアイルランドの木製フルートだと勘違いしている人がよくいます。しかし、ロー・ホイッスルはティン・ホイッスルと密接な関係にあるのです。ローDホイッスルは、ソプラノDホイッスルより1オクターブ低く調律されています。そのため、標準的なソプラノ・ホイッスルよりも管が太く、長さも2倍ほどあります。また、その音色は、標準的なDホイッスルよりも深く、よりまろやかです。下の動画で、両者の違いをご覧いただけます。
ソプラノやアルトと同様に、ローホイッスルにも様々なキーがあります。最も一般的なのは標準的なローDで、アイルランド音楽で最もよく登場するキーは間違いなくDメジャーです。
この人気のある笛のスタイルについてもっと知りたい方は、私の人気ブログ記事「ロー・ホイッスルについて知っておくべきこと」をご覧ください。
ロー・ホイッスルを学ぶ前に、ソプラノ・ティン・ホイッスルを学ぶべきでしょうか?
この質問には、正解も不正解もありません。ほとんどの場合は好みによりますが、いくつかの決め手があります。
例えば、若い奏者は、まだ指が指孔に届かないので、通常、小さいソプラノホイッスルで学ぶ方が簡単でしょう。ローホイッスルは、アイリッシュ・フルートと同じような大きさなので、演奏に必要な指の広げ方に大きな違いがあることを覚えておいてください。しかし、どうしてもロー・ホイッスルが好きで、指孔に手が届くのであれば、いきなり飛び込んでも全く問題はありません。適切な楽器を手にすれば、すぐにでも始めることができるでしょう。
初心者に最適なローホイッスルは?
安価な楽器よりも、高品質でよくできた楽器の方が、音がよく、演奏しやすいでしょう。また、最初からよい音が出れば、練習へのモチベーションも高まります。このような観点から、どのレベルのプレーヤーにも最適なローホイッスルは、ケリー・オプティマKerry Optimaのチューナブル・ローDホイッスルまたはSetantaローDホイッスルが私の一番のおすすめです。もし、初心者のレベルで予算が問題になるのであれば、トニー・ディクソンTony Dixonのチューナブル・ローDホイッスルは、初心者のミュージシャンにとって素晴らしい選択肢であり、ティン・ホイッスル演奏の中級段階まで、喜んであなたを導いてくれるでしょう。
また、ポリマー製やプラスチック製のホイッスルも、軽量で予算に合った選択肢として、これから始める方におすすめです。そして、自分の演奏を次のレベルに引き上げる準備ができたら、いつでも新しい楽器に投資することができるのです。
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チューナブル・ホイッスルとノン・チューナブル・ホイッスルの比較
他の楽器と同様、ティン・ホイッスルも天候の変化、特に気温の影響を受けます。気温が高ければ高いほど楽器も暖かくなり、ピッチの音も高くなります。ですからしばらく混雑したパブでのセッションで演奏していると、始めたときよりも高い音程になっている可能性があります。その逆もまた然りです。屋外や気温の低い場所で演奏する場合、ピッチは少し低くなっていることでしょう。どうすればいいのでしょうか? それはチューナブル・ホイッスルを使うことです。チューナブル・ホイッスルには、音程を調整するためのチューニング・スライドが備わっています。チューニング・スライドを伸ばすと音程が低くなり、縮めると音程が高くなります。
なぜチューニングを調整する必要があるのでしょうか?
ソロで演奏する場合は、上記のような問題はあまり関係ありませんが、グループで演奏する場合は、すべての楽器が互いに調和していることが重要です。アイリッシュ・ミュージックは社交的な音楽ジャンルです。最終的な目標は、一人で演奏することではなく、セッションに参加することです。チューニングスライドを使えば、仲間の音程に合わせることができ、一緒に素晴らしい音楽を作ることができるのです。
チューナブル・ホイッスルの値段は?
初心者用ホイッスル
チューニングの心配がなく、自宅で楽しむために演奏したいのであれば、チューニングできないホイッスルの入門機種がちょうどいいかもしれません。価格も20ユーロを超えることはないでしょう。
訳者注※プラスチックヘッドであればお湯にマウスピースをつけて改造する方法もあります
中級者向けホイッスル
セッションやグループで演奏する場合は、チューニングを意識することが多いでしょう。チューニング可能なティン・ホイッスルは、25ユーロ前後からあります。
上級・プロ用ホイッスル
一般的に、高価なホイッスルはイントネーション(音程)が優れており、音色も優れています。プロ用のティン・ホイッスルは250ユーロ以上することもあります。
どのティン・ホイッスルが自分に合っているのか?
私のおすすめティン・ホイッスル・トップ10をご覧ください。この便利な購入ガイドは、あなたの夢の笛を見つけるのに役立つこと請け合いです!
どのようにすればティン・ホイッスルを吹くことができますか?
ティン・ホイッスルは、すべての年齢層と能力にとって、素晴らしくアクセスしやすい楽器です。他の楽器と同様に、完全にマスターするには努力と練習が必要ですが、始めるのは簡単です。
ステップバイステップで説明した私の便利なガイドをご覧ください。