出典 Séamus Ennis by Alan Lomax [Public domain], via Wikimedia Commons]
アイルランドの楽器メーカーMcNeelaが公開しているブログの中から、アイリッシュ・フルートを構えるのが苦手な方におすすめの「パイパーズ・グリップ」という構え方について解説している記事を許可を得て翻訳しました。
原文:The Piper’s Grip for Irish Simple System Flute Players
アイリッシュ・シンプル・システム・フルート奏者のためのパイパーズ・グリップ
アイリッシュ・フルート奏者のためのパイパーズ・グリップ
私は、アイリッシュ・フルートについて、特にクラシック・フルート奏者や、その前にティンホイッスルやリコーダーを演奏していた方々から、よくメールや電話でご相談を受けます。私が販売しているプラッテンスタイルのキーなしアイリッシュ・フルートは指孔が大きめで、特に手の小さな奏者にとっては、指を広げる距離が大きすぎたり、角度が不自然で指や手首に負担がかかったりすることがあるようです。ご相談の内容はそれぞれ異なりますが、まず私がどのような方にも共通してお勧めしているのが、いわゆる「パイパーズ・グリップPiper’s Grip」を試してみることです。
パイパーズ・グリップとは何でしょうか?
この名称は、バグパイプ奏者がチャンター(旋律管)を持つ方法、または近年ではロー・ホイッスルを持つ際の握り方に由来しています。アイリッシュ・フルートの構えに物理的な難しさを感じている奏者にとって、パイパーズ・グリップは解決策となるかもしれません。これは、私の初心者向けフルートにも上級者向けのフルートにも共通して使えるアプローチです。私自身は、クラシック・グリップとパイパーズ・グリップの中間のような持ち方でフルートを構えています。教わった通りのスタイルで、それが一番しっくりくるからです。では、パイパーズ・グリップはどのように機能し、手の小さい奏者にとってどのように役立つのでしょうか?
パイパーズ・グリップでは、最小限の力で音孔をしっかりと塞ぐことができます。重要なのは、その際に指を無理に曲げたりねじったりしなくてよいという点です。
クラシック・スタイルで訓練を受けた音楽家にとっては、この持ち方は違和感があるかもしれません。クラシック・グリップで得られるコントロール感が失われるように感じるかもしれません。それでも、このスタイルの指使いには慣れることができます。これまで大きなアイリッシュ・セッション用フルートを諦めていた手の小さい奏者も、これで演奏できるようになるかもしれません。
最初の図を見てみてください。右手の最初の3本の指について、それぞれどの部分で音孔を塞ぐべきかを赤で示しています。ぜひ試してみて、ご自身の手に合うように持ち方を調整してください。無理のない自然な形で音孔をしっかりと塞げるようになるはずです。
パイパーズ・グリップの方法
出典 https://blog.mcneelamusic.com/
同様に、このグリップは左手にも適用されます。2枚目の図では、上から見たような視点で、どの部分の指が音孔を覆うべきかを示しています。ただし、この図はあくまで指の位置関係を示すためのものであり、手の角度が正確に再現されているわけではないことにご注意ください。
出典 https://blog.mcneelamusic.com/
ハイブリッド・パイパーズ・グリップを試してみるのも良いでしょう。右利きの方の場合、左手はクラシック・グリップ、右手はパイパーズ・グリップで構えるという形になります。私が演奏しているときには、指が音孔の上を覆うように伸びているのが分かると思います。下の動画をご覧ください。
指のストレッチ
アイリッシュ・フルートを始めたばかりの方は、指のストレッチやほぐしも必要になるかもしれません。まずは、寒い冬の日に手を温めようとするような感じで、手をぶらぶらと振ってください。その動きをひじや肩まで広げていきます。これは練習や演奏の前に身体をほぐすのにとても効果的な方法です。
フルートのための指のストレッチにはさまざまなエクササイズがあります。こちらに手全体を伸ばす一般的な方法を紹介している記事がありますので、ぜひご覧ください。
実際、これらのストレッチはすべての音楽家にとって有益で、定期的に行うことが望ましいです。
ベーム式フルートでクラシックの訓練を受けた方にとっては、ベームシステムが「演奏しやすさ」と「人間工学的なデザイン」を目的としていたことを思い出していただくとよいでしょう。一方、シンプル・システム・フルートはベーム式よりも前に作られたもので、正直に言えば、あまり親切な設計ではありません。つまり、フルートがあなたに合わせてくれるのではなく、あなたがフルートに合わせる必要があるのです。時間をかけて、忍耐強く取り組んでください。その努力にはきっと見合うだけの成果があると、私は約束します。
この文章が、シンプル・システムのアイリッシュ・フルートに慣れる手助けになれば幸いです。さらにサポートが必要な方は、info@mcneelamusic.com までお気軽にご連絡ください。また、初心者がアイリッシュ・フルートをマスターするためのさまざまなテクニックや情報が豊富に共有されている「Chiff & Fipple」や「The Session」などのアイリッシュ音楽フォーラムを探してみるのもおすすめです。