伝統的なアイリッシュ音楽に最適なコンサーティーナ


出典 https://blog.mcneelamusic.com/

アイルランドの楽器メーカーMcNeelaが公開しているブログの中から、自分に最も適したコンサーティーナを選ぶためのヒントについて解説している記事を許可を得て翻訳しました。

原文:The Best Concertina for Traditional Irish Music

伝統的なアイリッシュ音楽に最適なコンサーティーナ

楽器の購入は、特にアイリッシュ・コンサーティーナの世界に初めて足を踏み入れる方にとっては、なかなか大変な作業かもしれません。マクニーラでは、初心者の方からプロの音楽家まで、さまざまなお客様にご利用いただいております。ですが皆さんに共通しているのは、「最適なコンサーティーナを見つけたい」という思いです。ですので、これが初めてのコンサーティーナ購入であっても、上位モデルをお探しであっても、私はそのお手伝いをさせていただきます。

このガイドでは、お客様がご自身の音楽の旅のどの段階にいらっしゃっても、「自分に最も適したコンサーティーナ」を選ぶためのヒントをまとめてご紹介いたします。納得のいく楽器に出会えるよう、あらゆる角度から情報をお届けいたします。コンサーティーナに関する疑問にもすべてお答えいたしますので、読み終える頃には、アイリッシュ音楽の世界に踏み出すための知識がしっかりと身についているはずです。

以下にご紹介するおすすめのコンサーティーナは、どれも信頼性が高く、あなたを一流のプレイヤーへと導いてくれることでしょう。さあ、それでは始めましょう!

アイリッシュ音楽に最適なコンサーティーナとは?

伝統的なアイリッシュ音楽を演奏するのに最も適しているのは、C/Gキーの30ボタン・アングロ・コンサーティーナです。

なぜ30ボタンなの?

20ボタンのコンサーティーナは、まったくの初心者にとっては悪くありませんが、アイリッシュ音楽に必要な音をすべてカバーするには足りません。一方で、30ボタン以上のアングロ・コンサーティーナは上級者向けで、アイリッシュのダンス曲を演奏するには不要な音が含まれていることが多いです。ですので、昔話のゴルディロックスの言葉を借りるならば、「30ボタンがちょうどいい」のです。20ボタンモデルは特に小さなお子様には良い選択ですが、長期的には物足りなくなり、結局、より性能の良い楽器に買い替えることになります。そのため、最初から30ボタンのアングロ式コンサーティーナをおすすめいたします。

なぜC/Gキーなの?

CとGの両方のキーで演奏できるため、アイリッシュ音楽に必要な音がすべて揃っているからです。 アングロ・コンサーティーナは「ダイアトニック(長音階)式」であり、C調やG調の音階が基本構造になっています。ただし、3列構成や30ボタンのモデルであれば、完全なクロマチック(半音階すべてが出せる)楽器となり、お気に入りのアイリッシュ・チューンを演奏するための全ての音が揃っています。アングロ・コンサーティーナの調律システムは、Dメジャー、Gメジャー、Aメジャー、Cメジャー、Eメジャーといった人気のキーの低音域〜高音域の2オクターブに対応しており、アイリッシュ音楽に理想的です。

なぜアングロ・コンサーティーナなの?

アングロ・コンサーティーナは「バイソノリック(二重音)」という仕組みで、ボタンひとつで、蛇腹を押す時と引く時で異なる音が出ます。これにより、少ない指の動きとボタン移動で素早く音を切り替えられるため、アイリッシュ音楽に非常に適しており、多くの奏者に人気があります。


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アングロ・コンサーティーナ vs イングリッシュ・コンサーティーナ

アングロ式とイングリッシュ式の違いは何でしょう?

イングリッシュ・コンサーティーナは「ユニゾノリック(単一音式)」の楽器であり、ボタンを押しても引いても同じ音が出ます(これはピアノ・アコーディオンと同じ仕組みです)。

このタイプは主にイングランドのフォーク音楽で使用されることが多いですが、中には伝統的なアイリッシュ音楽に非常に効果的に使用している奏者もいます。アングロ・スタイルのコンサーティーナと同様に、イングリッシュ・コンサーティーナも完全なクロマチック対応です。左右それぞれ中央の2列がCメジャーになっており、シャープやフラットなどの変化音は外側の列に配置されています。イングリッシュ・コンサーティーナには30ボタンや40ボタンのモデルが一般的です。

イングリッシュ・システムでもアイリッシュ音楽を演奏することは可能ですが、アイリッシュ・コンサーティーナ特有の速いテンポについていくのが難しく感じられるかもしれません。

デュエット・コンサーティーナについて

コンサーティーナを探す過程で、あまり見かけることのない「第3のタイプ」、デュエット・コンサーティーナに出会うかもしれません。この楽器は、イングリッシュ式と同様に「ユニゾノリック」であり、ボタンを押しても引いても同じ音が出ます。しかも完全なクロマチック対応です。右側には高音(トレブル)、左側には低音(ベース)が配置されており、中音域は左右両方にまたがって配置されています。通常、最低でも2オクターブの音域をカバーしており、メロディーは右手で、伴奏は左手で演奏します。この構造から「デュエット(重奏)」と呼ばれているのです。

このタイプのコンサーティーナは、イングリッシュ式やアングロ式よりも大きく、ボタン数も圧倒的に多いのが特徴です。アングロ、デュエット、イングリッシュの各コンサーティーナの違いについては、以下のブログ記事で詳しくご紹介しています。

【コンサーティーナFAQ】イングリッシュ、デュエット、アングロ・コンサーティーナの違い

30ボタン・アングロ・コンサーティーナの配列

アングロ・コンサーティーナで最も一般的な配列は、「ジェフリーズ(Jeffries)」配列と「ウィートストン/ラチェナル(Wheatstone/Lachenal)」配列の2種類です。どちらの配列も、左右それぞれに15個のボタン(計30個)と、右側にエアリリース・ボタン(蛇腹の空気抜き用)が付いています。ただし、右手側のボタンが奏でる音の配置が若干異なります。

ジェフリーズ配列とウィートストン配列の違いとは?

以下の図をご覧いただければわかる通り、その違いはわずかです。

しかし、アイリッシュ音楽を演奏するプレイヤーにとっての注目ポイントは、ジェフリーズ配列では右手のC#が「引き」で鳴るのに対し、ウィートストン配列では「押し」で鳴るという点です。その他の違いについても、下記の図でご確認いただけます。


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どちらの配列が最適なのでしょうか?

まず大前提として、どちらの配列が「優れている」「難しい」といったことはありません。最終的には個人の好みによるところが大きいです。どちらの配列も初心者の方にとっては同じように適しています。とはいえ、ジェフリーズ配列はアイリッシュ・コンサーティーナの奏者の間で好まれる傾向があります。そのため、もしご自身が伝統的なアイリッシュ音楽をメインに演奏したいとお考えで、かつ選択の余地があるのであれば、ジェフリーズ・システムを選ぶのも良いかもしれません。

なお、アングロ・スタイルのコンサーティーナの中には、ウィートストン配列でしか作られていないモデルもあります。実際には、ウィートストン配列の方が流通量としては一般的です。ただし、この配列でも伝統的なアイリッシュ音楽を演奏することに何の支障もありませんのでご安心ください。学習面においても、信頼できる講師であれば、どちらの配列でも問題なく指導してくれるはずです。どちらを選んでも、あなたの音楽の旅が充実したものになることには変わりありません。


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自分に合ったコンサーティーナの見つけ方

コンサーティーナを選ぶ際には、考慮すべき要素がいくつもあります。最も重要なのは、あなたのコンサーティーナ演奏のレベルによって選択が決まるということです。しかし、価格や予算もまた、意思決定に大きな影響を与えます。

コンサーティーナの値段は?

コンサーティーナは、他の楽器と同様に、価格は大きく異なります。初心者向けのコンサーティーナはおよそ200ユーロから始まり、ヴィンテージのコンサーティーナは7,000ユーロをはるかに超える価格に達することがあります。

良質なスターター用のコンサーティーナは400ユーロ以上します。コンサーティーナを探す際には注意してください。あまりにも安い楽器にだまされてはいけません。しばしば、価格はコンサーティーナの低品質さを反映しています。今多めに払うことが、長期的にはお金の節約になります。

良質な中級者向けのコンサーティーナは1,000ユーロを超え、上級者向けのコンサーティーナはそこからさらに価格が上がっていきます。

最も重要な質問

伝統的なアイルランド音楽用にコンサーティーナを購入する際に覚えておくべき質問は次のとおりです。

値段は?
もし不自然に安すぎたり、あなたの予算を超えているなら、その候補から外しましょう。

30キーのアングロC/Gコンサーティーナか?
もしアイルランドのコンサーティーナ音楽を演奏したいなら、これが最適なタイプです。

良質なスチールリードを備えているか?
リードはコンサーティーナが出す音をコントロールします。最高の音を保証するために、最高品質のチェコ製またはイタリア製のリードが望ましいです。詳しく知るために読み進めてください。

アフターサービスはあるか?
コンサーティーナは多くの可動部を持つ複雑な楽器です。最低1年間の保証を提供し、将来的に修理が必要になったときに頼れる販売者から購入するべきです。

音が気に入るか?
驚くべきことに、ある楽器が素晴らしいものであっても「正しい」製作者ではないという理由で見過ごしてしまう人が多いのです。もしそのコンサーティーナの音が気に入り、演奏性が良いなら、それを買いましょう! 本当にそれだけのことです。

コンサーティーナを探す際、特にオンラインで販売されているものを探すときに注意すべきもう一つの点は、「コンサーティーナ・アコーディオン」という表現を目にするかもしれないということです。心配しないでください。聞いたことのないハイブリッド楽器ではありません。これは単にコンサーティーナを指す別の呼び方にすぎません(ただし、アイルランド音楽の世界では広く使われている用語ではなく、主にアメリカで見られるようです)。

さて、ここからは私が個人的におすすめする、初心者に最適なコンサーティーナをいくつかご紹介しましょう…。

初心者に最適なコンサーティーナ(£400/€500以下)


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The Wren コンサーティーナ

The Wren(レン)は、初心者のニーズに応えるために設計された、手頃な価格のアングロ・コンサーティーナです。コストパフォーマンスに優れており、私は現在市場に出ている初心者向けコンサーティーナの中でもトップクラスだと自信を持っておすすめします。世の中には安価で信頼性に欠ける楽器が多く出回っていますが、The Wrenはしっかりと作り込まれており、丈夫で長持ちするコンサーティーナです。早く上達したいと願うあなたにとって、この楽器は心強いパートナーとなってくれることでしょう。

The Wrenが初心者に最適な理由

大きめの黒いボタンにより、ボタン配置を把握しやすく、難しい運指にもスムーズに対応できます。高品質のスチールリードによって、クリアで力強い音色を奏でることができます。楽器の音が良ければ良いほど、演奏が楽しくなり、練習意欲も高まります。8折の蛇腹(ベローズ)が柔軟な操作性をもたらし、快適に演奏できます。調節可能で耐久性のあるストラップが長時間の演奏にも対応し、手首への負担を軽減してくれます。音質だけでなく、美しい外観にもこだわっており、洗練された仕上がりが見た目にも魅力的です。フォーム入りのハードケースが付属しており、持ち運び中の衝撃や傷から大切な楽器を守ってくれます。

下記の動画では、名手ケイトリン・ニック・ガヴァン(Cáitlín Nic Gabhann)によるThe Wrenの演奏をお聴きいただけます。 または、こちらをクリックして The Wrenについてさらに詳しくご覧いただけます。

プレミアム初心者向けコンサーティーナ(£900/€1000 以下)

もしあなたが「コンサーティーナこそ自分の楽器だ」と確信されていて、最初から長く付き合える本格的な楽器を選びたいとお考えであれば、プレミアムモデルへの投資を検討する価値があります。最初に質の高い楽器を選ぶことで、将来的な買い替えコストを抑えることができ、結果的に経済的です。「これから上達し、さらにその先のステージに進んでいきたい」というあなたには、最適な選択肢がここにあります。


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The Swan コンサーティーナ

The Swan コンサーティーナは、C/Gキーの30ボタン・アングロスタイルのコンサーティーナです。「リベットアクション方式」を採用しており、反応が非常に良く、軽快な演奏感が得られます。スウェーデン製のサウンドスチールから作られたチェコ製リードを使用しており、力強く明るくクリアな音色に、ほんのりとした甘さも加わったサウンドを奏でてくれます。補強された調節可能なハンドストラップと、黒革仕上げの6折蛇腹を備え、演奏者にとって非常に扱いやすい設計となっています。高級感あるジェフリーズ風の仕上げが、演奏性の高さに見た目の美しさを加えています。

初心者から中級者まで幅広く対応する高品質なミドルレンジ・コンサーティーナの詳細はこちら

中級者向けおすすめコンサーティーナ(£1800/€2000以上)

もしあなたが中級レベルに達していると感じているのであれば、次のステージにふさわしい楽器を選ぶ時期かもしれません。この段階では、「自分の演奏レベル=コンサーティーナの性能」と言っても過言ではありません。だからこそ、適切な楽器を選ぶことが重要なのです。幸いなことに、世界には素晴らしい職人たちが手作業で作る、美しく高性能なコンサーティーナが多数存在します。そして、驚くほど美しい音色と反応性を兼ね備えた楽器を、手の届く価格で手に入れることも可能です。たとえば、以下のメーカーは、高品質かつ手頃な価格帯の楽器を製作することで定評があります。

Morse & Co
Bob Tedrow
AP James
Concertina Connection
Marcus
Jose Claro

これらのブランドの中には、私が厳選した「$2500以下のベスト中級コンサーティーナ5選」にも選出されているものがあります。いずれもC/Gキーのミドルレンジ・アングロ・コンサーティーナです。

中級者が気にすべき2つの要素
このレベルになると、以下の2点に注目することが大切です。

  • リード(音を出す金属板)の品質
  • アクション(ボタン〜機械機構〜蛇腹の反応)

コンサーティーナ・リードについて

リードの質は、楽器の音色に大きな影響を与える要素のひとつです。演奏のしやすさ・音の明瞭さ・全体のクオリティのすべてが、どんなリードが使われているかに左右されます。リードの品質には、大きく分けて以下の4種類があります。

Commercial(量産型)
機械による大量生産で、もっとも安価です。小ぶりでアルミニウムの質も低めなことが多いです。

Hand Finished(手仕上げ)
基本は機械で作られますが、リードの舌(音を出す部分)を職人が手作業で装着します。素材によっては音色も優れています。

Tipo a Mano(ティーポ・ア・マーノ)
「手作り風」の意味です。上質な鋼材を使って精巧に作られたものは、手作りリードに匹敵する性能を持ちます。

Handmade(完全手作り)
最高級のアルミニウムと職人の技術によって作られ、レスポンスも抜群です。調律がやや狂いやすいという意見もありますが、その分音の美しさは群を抜いています。

どのタイプでも、素材が優れていれば良い音を出すことができます。信頼できるメーカーであれば、最適なリードを選んで製作してくれますので安心です。

アコーディオン・リードについて

一部のコンサーティーナには「アコーディオン・リード」が使われていることもあります。こちらはやや硬めな吹奏感がありますが、品質が良ければ十分に演奏性も音色も優れています。

スチールリード vs ブラスリード

ブラス(真鍮)製リード:音が柔らかく温かみがあり、音量は控えめです。まろやかな音色を好む方におすすめです。

スチール(鋼鉄)製リード:音が明るく、音量も豊かで、ダイナミックレンジや倍音も広く、耐久性も高いです。

ただし、ブラスリードは激しい演奏には不向きで、セッションなどで強く長時間演奏すると音程が狂いやすくなる場合があります。

一部のWheatstoneやLachenalのモデルには、スチールに匹敵するブラスリードもありますが、例外的な存在です。信頼できる出品者から購入すれば、ブラス製でも満足できる音を楽しめることでしょう。

アクション(反応性)について

コンサーティーナには、主に2つのアクションシステムがあります。

リベットアクション方式:軽いタッチで素早く滑らかな演奏ができるため、反応が良いとされています。

フック&レバー方式(バネ式):特にヴィンテージモデルに多く見られます。良質な設計であれば演奏性も高く、十分満足できる反応性があります。

アイリッシュ音楽の演奏には、素早い指運びと即時のレスポンスが求められます。そのため、高品質な中級〜上級モデルでは、ボタン・蛇腹・リードの全体を通じてのスムーズなレスポンスが求められます。

損傷したリードやリードパンの修理方法についてはこちらをクリックしてください。


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The Phoenix コンサーティーナ

コストパフォーマンスと演奏性の両立を求めるなら、McNeela製「Phoenix(フェニックス)」コンサーティーナに勝る選択肢はなかなかありません。

この楽器は、中級者から上級者に最適な万能モデルであり、高い基準で製作されているため、本格的に演奏技術を磨きたい学生や演奏者にぴったりです。

Phoenix コンサーティーナは、C/G調・30ボタンのアングロスタイルで、反応が非常に速く、素早いパッセージにも楽々対応できます。

ボタンには、耐久性に優れたブラック・デルリン(Delrin)という高機能ポリマーを使用しており、ドーム型で手触りも良く、日常の使用による摩耗にも強い作りとなっています。

この楽器は、上質なチェコ製スチールリードなど、厳選されたプレミアム素材によって製作されています。

リードは高品質なスウェーデン製のサウンドスチールから作られ、職人の手仕上げによって調整されており、明るく甘く、旋律的な音色を生み出します。

良いリードと同様に、弾き込むほどに開きが良くなり、音も育っていくタイプの楽器です。

音量の力強さと、音色の明るさのバランスが絶妙で、「しっかりと聞こえるけれど、他を圧倒しない」という場面に最適な一台です。 まずはぜひ、実際の音を聴いてみてください。

上級者向けコンサーティーナ(£1800/€2000 以上)


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完璧なコンサーティーナを探して

理想のコンサーティーナ探しは、長く険しい旅になることがあります。

「この音色はまさに理想的だけど、アクション(操作性)が今ひとつ……」
「弾き心地は抜群だけど、価格が予算オーバー……」 「見た目も音も自分好みの楽器が欲しい!(誰しも一度は“見た目”で楽器を選んだ経験があるのではないでしょうか)」
「とにかく音色こそが一番大事!」

——そんなふうに、理想と現実の狭間で揺れることもあると思います。

上級者にとってコンサーティーナ選びは、個人の好みと予算のバランスがすべてです。

上級〜プロフェッショナル向けの楽器は高額になることが多く、品質の高いものでは€5,000以上することもありますので、私からのアドバイスはただひとつ。購入前に必ず試奏してから決めましょう。

もしご自身に合った楽器がまだはっきり分からないという場合は、お気に入りのアイリッシュ・コンサーティーナ奏者がどんな楽器を使っているかを調べてみるのがおすすめです。

ノエル・ヒルの楽器コレクション

伝説的な奏者ノエル・ヒル(Noel Hill)は、Wheatstone、Lachenal、John Dipperなどによる極上のアングロ・コンサーティーナをいくつも所有しています。

彼は、なんとWheatstone製Linotaコンサーティーナを3台も所有していると語っています(一台持っているだけでも羨ましいのに!)。 Wheatstoneは当時最も人気のあったメーカーであり、今でもヴィンテージ市場では非常に高い需要を誇っています。アクションがスムーズでレスポンスにも優れており、多くの奏者に愛され続けている名機です。

この3台のWheatstoneに加え、ノエルはLachenalのアングロ・コンサーティーナや、John Dipper製のCounty Clareミニチュアも演奏しています。

彼が使用する楽器のキーは標準的なC/Gのほか、A/DやAb/Ebなど多岐にわたります。 とくにAb/Ebのモデルは、明瞭で甘く、美しい音色を奏でており、下記の動画でそのサウンドをお聴きいただけます。

ヴィンテージのコンサーティーナについて

多くのアイリッシュ奏者は、上級モデルへのステップアップ時にヴィンテージ・コンサーティーナを選びます。

McNeela Instrumentsでは、Suttner、Morse、Wheatstone、Lachenal、Jeffriesなど、一流メーカーによる高品質なヴィンテージ・コンサーティーナを豊富に取り扱っております。

すべての楽器は、状態・音質・品質を厳選して選び抜いたものです。

中でも、リストの中で目を引く名前があるかもしれません。

そう、「Jeffries(ジェフリーズ)」です。 世界中のコンサーティーナ奏者にその名を知られており、最も優れた職人のひとりと称されています。

ヴィンテージ専門店Barleycorn ConcertinasのChris Algar氏は、Jeffriesの楽器を「史上最高のコンサーティーナ」とまで評しています。

彼のインタビュー記事では、なぜそこまで高く評価しているのかを詳しくご紹介しております。

当店のオンラインストアには、ヴィンテージ/アンティーク・コンサーティーナの在庫一覧が掲載されています。

ただし、これらの楽器は非常に人気が高く、掲載後すぐに売り切れてしまうことも多いため、お目当ての楽器が見つかった際はお早めにご検討ください。

ダブリン近郊にお住まいの方は、ぜひBaldoyleの工房までお越しください。実際に手に取って試奏していただけます。 遠方の方は、info@mcneelamusic.com までお気軽にご連絡ください。コンサーティーナに関するご質問も大歓迎です。

コンサーティーナのお手入れ方法(by Chris Algar)

以下は、Chris Algar氏によるコンサーティーナを長く良好に保つための保存方法です。

保管方法

使用していないときは、必ずハードケースまたはギグバッグに収納し、蓋をしっかり閉めてください。ホコリや砂などが入り込むと、内部の精密な機構に悪影響を及ぼす恐れがあります。

温度管理

コンサーティーナは極端な温度や湿度の変化を嫌います。18〜25°Cの常温環境で、ケースに入れて保管することをおすすめします。急激な温度変化があると、ボタンや内部部品が歪み、最悪の場合修復不可能になることもあります。

湿度管理

湿度も一定に保つことが重要です。40%以下の湿度では、リードパネルや内部構造に悪影響が出る可能性があります。演奏しにくくなったり、音が出なくなることもあります。冬場は、ラジエーターの近くに水を入れたトレイを置くことで、部屋の乾燥を防ぐことができます。特にアメリカ東海岸の冬は乾燥しやすいため、内部の損傷には十分ご注意ください。

蛇腹(ベローズ)の扱い方

保管時には蛇腹を圧縮した状態にしておくことが大切です。本体にきつめの輪ゴムをかけて蛇腹をしっかり締める、ケースの中にぴったり収まるように収納する。このようにしておくことで、蛇腹の膨張を防ぎ、弾力や反応性の低下を防ぐことができます。