
ライター:トシバウロン
読者の皆様、初めましてトシバウロンと申します。普段は一読者の私ですが、今回は普段楽しい現地レポートを書いてくださっている、松井ゆみ子さんについて書いてみたいと思います。
先日6/12~6/17まで、IrelandのSligoタウンで5泊6日ご一緒する機会に恵まれました。事前に遊びに行きたい旨を伝えたところ、街中の宿を手配してくださって、ご自身も宿泊され、ライブ鑑賞やセッション参加のスケジュールを立ててくださいました。お住まいはCliffoneyという、Sligoより2,30分ほど北に行った小さな町なのですが、頻繁に通ってらっしゃるようで、ゆみ子さん曰く「私の庭」だそうです。実際、表道、裏道、美味しいレストラン、カフェ、お土産物屋などに精通されていて、滞在中は、自分で調べる、ということが一度もなかった程です。
勿論、セッションが行われるアイリッシュパブも、スケジュールも頭に入っていますし、ホストミュージシャンも、皆さんゆみ子さんのことを知っていて、私がセッションにスムーズに参加できるよう、予め段取ってくださっていました。こんな快適な旅は今まで経験したことがなく、毎日が王侯貴族気分でした。
ブログでは、アイリッシュ伝統音楽愛好家として記事を書かれていますが、私がゆみ子さんのことを知ったのは、料理研究家としてでした。1991年より、日本とアイルランドを行き来するようになったゆみ子さんは、アイルランドの生活を綴ったエッセイや料理本を多数書かれています。アイルランドのことを日本語で知る書籍としては大変貴重で、渡愛前も後も熟読させていただいています。
最近は料理研究家としての執筆は休みがちになっているようですが
「アイルランド人が魚を食べないのは何故か?」
「アイルランド人は何故みんな猫舌なのか?」
「アイルランドでは何故発酵食が少ないのか?」
など、アイルランド人と食にまつわる探究は衰え知らずで、酒の肴にこういった話を拝聴するのも楽しい時間でした。
とはいえ、やはり最大の関心ごとはアイリッシュ伝統音楽であり、会話の8割は音楽関係の話でした。歴史からゴシップまで、伝統音楽文化全般に関心をお持ちで、博覧強記なのは皆さんもご存知だと思います。ChatGPTに訊いても正確な答えが返ってこない、ニッチな分野のエキスパートが彼女で、お陰で長年の疑問が氷解したり、またはお互いに議論を深め合う夜が続いたものでした。
ゆみ子さんの話で一番印象に残ったのは、彼女が50代前半から始めたフィドルの話です。楽器を新たに始めるには遅すぎる、と普通の人なら誰しも考えるところですが、彼女は逆で、もし20代で始めていたら多分続かなかった、というのです。壁に当たった時、若さのポテンシャルを過信し、他の道を模索しがちだと。逆に今の年齢ではできることが少ないから、心の底から好きで、ちょっとでも成長しているものに集中した方がいい。また練習を重ねることで、身体的な向上が感じられるのも、この年齢でやり甲斐に繋がっている、とか。目から鱗でした。
今回ゆみ子さんとご一緒して強く感じたことは、音楽のみならず、アイルランド人、アイルランドという国への深い敬意です。時に批判的な視線を投げかけながらも、半生を過ごしているアイルランドへ注ぐ眼差しは、誰よりも熱かったです。ご一緒できて幸せな日々でした。ありがとうございます。
もし読者の方で、スライゴー方面に行く予定があり、ゆみ子さんと一度話してみたい方は、ぜひ連絡してみてください。ゆみこさんの強いポリシーで、スマートフォンを持たず、SNSも一切されていませんが、メールの返信はかなり早いです。私でも、ハタオ氏でも、連絡先を知っている者が繋ぎます。圧倒的物量のトークと、アイリッシュ式ジェスチャー、時折英語から日本語に変換できずフリーズするゆみこさんはとてもチャーミングですよ。滞在中のこぼれ話は @トシバウロンのインスタをご覧ください。
